〈現状〉
景気は、世界景気の減速等を背景として、このところ弱い動きとなっている。
〈先行き〉
先行きについては、当面は弱い動きが続くと見込まれる。その後は、復興需要が引き続き発現するなかで、 海外経済の状況が改善するにつれ、再び景気回復へ向かうことが期待されるが、欧州や中国等、対外経済 環境を巡る不確実性は高い。
(リスク要因)
・ 世界景気のさらなる下振れや金融資本市場の変動等が、我が国の景気を下押しするリスク
・ 雇用・所得環境の先行き
・ デフレの影響
等
7―9月期GDP 1次速報の概要
○ 7-9月期の実質GDPは514兆円、前期比年率で▲3.5%。
・ 1―3月期+5.2%、4―6月期+0.3%。
・ 震災前の10―12月期の実質GDPは515兆円。
・ 7-9月期の名目GDPは470兆円、前期比年率で▲3.6%。
投資の動向
○ 設備投資は、弱含みである。
○ 上場企業は製造業を中心に減益となっている。
○ 住宅建設は横ばいである。
・ 9月の住宅着工総戸数は、前年比で、全国+15.5%、被災3県+42.6%。
○ 公共投資は、堅調に推移している。
・ 4-10月期の公共工事請負金額は、全国合計前年比+16.5%。
消費・雇用の動向
○ 個人消費は、弱い動きとなっている。
・ 消費総合指数は、前月比で、8月+1.6%、9月▲0.7%。
○ 新車販売台数は、引き続き減少している。
・ 前月比で、9月▲11.3%、10月▲6.0%。
○ 雇用情勢は、改善に足踏みがみられる。
・ 完全失業率は、低下している。8月4.2%、9月4.2%。
○ 製造業の雇用者数が大きく減少している。
輸出・生産の動向
○ 輸出は、弱含みである。
・ 対前月比で、7月▲4.8%、8月+2.6%、9月▲2.3%。
○ 生産は、減少している。
・ 対前月比で、9月▲4.1%。予測調査で、10月▲1.5%、11月+1.6%。
物価の動向
○ 国内企業物価は、このところ下落テンポが鈍化している。
・ 10月は、対前月比▲0.1%、対前年比▲1.0%。
○ 原油・穀物相場は、このところ弱含みとなっている。
○ 消費者物価は、わずかながら下落している。
・ 9月におけるコア(生鮮食品を除く総合)は、対前月比0.2%、対前年比▲0.2%。
・ コアコア(生鮮食品、石油製品その他特殊要因を除く総合)は、対前月比▲0.1%、対前年比▲0.6%。
○ 物価上昇を予想する消費者の割合は、おおむね横ばいである。
アメリカ経済の動向
○ 景気は、弱めの回復テンポが続いているが、このところ底堅さも見受けられる。
・ 消費は、緩やかに持ち直している。
・ 住宅着工件数は、持ち直しの動きがみられる。
・ 雇用者数は、増加している。失業率は、低下傾向にある。
○ 「財政の崖」が、回避できなければ来年の成長を大きく下押しする。
アジア経済の動向
○ 中国は、景気の拡大テンポがやや鈍化しているものの、このところ安定化の兆しもみられる。
・ 生産は、伸びがおおむね横ばいである。
・ 輸出は、伸びがこのところ持ち直している。
・ 固定資産投資は、緩やかな伸びである。
○ インドは、景気の拡大テンポが弱まっている。
○ その他は、景気が総じて足踏み状態にある。
ヨーロッパ経済の動向
○ 景気は、弱含みである。
・ ユーロ圏・主要国の実質GDP成長率は、英国を除くと弱い動きとなっている。
・ ユーロ圏の生産は、弱い動きとなっている。
・ ユーロ圏の失業率は、上昇している。ギリシャ8月25.4%、ポルトガル9月15.7%、アイルランド9月15.1%、イタリア9月10.8%、スペイン9月25.8%、フランス9月10.8%、英国9月7.8%、ドイツ9月5.4%。