月例経済報告(H27.8.26) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ改善テンポにばらつきもみられるが、緩やかな回復 基調が続いている。 ・消費者物価は、緩やかに上昇している。 〈先行き〉 先行きについては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の 効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、中国経済 をはじめとした海外景気の下振れなど、我が国の景気を下押しするリスク や金融資本市場の変動に留意する必要がある。
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個人消費の動向
○ 個人消費は総じて見れば底堅い動きである。
・ 消費総合指数は、前月比で、4月▲1.6%、5月+0.6%、6月▲0.7%。
○ 自動車販売は、弱い動きである。
・新車販売台数〈含軽〉は前月比で、5月+9.4%、6月+0.7%、7月▲4.3%。
○ 家電はおおむね横ばいである。
○ 百貨店・スーパーの売上はおおむね横ばいである。
・百貨店売上高は前月比で、5月+2.2%、6月▲2.3%、7月▲1.0%。
・スーパー売上高は、前月比で、5月+0.3%、6月▲2.2%、7月+0.2%。
○ 外食及び旅行は、おおむね横ばいである。
・外食売り上げは、前月比で、4月+0.1%、5月+2.3%、6月▲1.8%。
・6月の旅行取扱金額は、前月比で、国内▲4.8%、海外▲3.8%、合計▲4.5%。
○ 消費者マインドは、持ち直しに足踏みがみられる。
・消費者態度指数は、5月41.4(前月差▲0.1)、6月41.7(前月差+0.3)、7月40.3(前月差▲1.4)。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、持ち直しの動きである。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月▲0.7%、5月▲0.2%、6月+13.4%。
・持家着工数は前月比で、4月+1.4%、5月▲1.7%、6月+9.5%。
・貸家着工数は前月比で、4月+3.3%、5月+1.3%、6月+10.5%。
・分譲着工数は前月比で、4月+1.3%、5月+3.8%、6月+22.1%。
○ 公共投資は、総じて弱い動きである。
・請負金額は前月比で、4月▲2.2%(出来高+1.6%)、5月▲6.3%(出来高+3.5%)、6月▲2.9%
(出来高+4.7%)、7月▲8.3%。
雇用・賃金の動向
○ 総雇用者所得は持ち直してきている。
・6月の名目総雇用者所得は前年比で▲1.6%、実質総雇用者所得は前年比で▲1.6%。
○ 若年層の非正規雇用者比率はこのところ低下傾向にある。
○ 有効求人倍率は上昇した。
・有効求人倍率は、5月1.19、6月1.19。
・完全失業率は、5月3.3%、6月3.4%。
物価の動向
○ 消費者物価は、緩やかに上昇している。
・6月のコア(生鮮食品を除く総合;固定基準)は、前月比+0.1%。
・6月のコアコア(生鮮食品、石油製品その他特殊要因を除く総合;連鎖基準)は、前月比+0.1%。
○ 消費者物価(コア)は、前年とおおむね同水準である。
・6月のコア(固定基準)は、前年比+0.1%。
・6月のコアコア(連鎖基準)は、前年比+0.9%。
○ 食料、外食、耐久消費財が上昇に寄与している。
○ 家庭向けの電気代及び都市ガス代には、下落の動きがみられる。
投資・収益・業況
○ 設備投資は、このところ持ち直しの動きがみられる。
・機械受注(船舶・電力除く民需)は前月比で、6月▲7.9%、4-6月期+2.9%(7-9月期見通し+0.3%)。
・輸送機械を除く資本財総供給は前月比で、6月+0.9%、4-6月期▲0.8%。
○ 設備投資の海外比率は減少傾向にある。
○ 企業収益は、総じて改善傾向である。
○ 業況判断は、おおむね横ばいも、一部に改善の兆しがみられる。
○ 中小企業の仕入価格DI(前年比「上昇」-「下落」)は、低下傾向にある。
・中小企業の仕入・販売価格の動向について、中小企業月次景況観測(商工中金)の「販売価格
DI-仕入価格DI」は、4月▲10.6、5月▲11.5、6月▲13.1、7月▲10.6。
・中小企業景況調査(日本公庫)の「販売価格DI-仕入価格DI」は、4月▲14.8、5月▲10.4、
6月▲18.8、7月▲11.6。
生産
○ 生産は、このところ横ばいである。
・鉱工業生産は、前月比で5月▲2.1%、6月+1.1%(予備調査で、7月は前月比+0.5%、8月は
前月比+2.7%)。
○ 輸送機械及び電子部品・デバイスは、このところ弱含みである。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6月+1.0%、7月(予測)+2.0%、8月(予測)+2.1%。
・電子部品・デバイスは前月比で、6月▲1.9%、7月(予測)▲6.5%、8月(予測)+9.4%。
・輸送機械は前月比で、6月+2.5%、7月(予測)+0.6%、8月(予測)▲1.5%。
○ 乗用車の在庫は、軽乗用車を中心に足下で増加がみられる。
○ 電子部品・デバイスは、内外需ともに弱含みである。
・6月の電子部品・デバイス工業の出荷内訳は、出荷全体で前月比▲4.0%、国内向けで前月比
▲6.4%、輸出向けで前月比▲0.2%。
外需
○ 輸出はこのところ弱含んでいる。
○ アメリカ向け資本財及びアジア向け情報関連財の輸出はこのところ減少傾向にある。
○ 輸入はこのところ弱含んでいる。
○ 旅行収支の黒字幅は、拡大している。
・旅行収支は前月比で、5月▲2.1%、6月+37.9%。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)は、6カ月連続で50を上回った。
・現状判断DIは、5月53.3(前月差▲0.3)、6月51.0(前月差▲2.3)、7月51.6(前月差+0.6)。
○ 現状判断は、多くの地域で上昇した。
○ 先行き判断(DI)は、7か月連続で50を上回った。
・先行き判断DIは、5月54.5(前月差0.3)、6月53.5(前月差▲1.0)、7月51.9(前月差▲1.6)。
○ 先行き判断は、多くの地域で低下した。
アメリカ経済の動向
○ アメリカの景気は、このところ弱めの動きも見られるが、回復が続いている。
・2015年4-6月期実質GDPは前期比年率+3.7%
○ 設備投資は弱い動き、生産・輸出はおおむね横ばいである。
○ 雇用者数は増加し、賃金の伸びはおおむね横ばいである。
○ 消費は、増加している。
中国経済の動向
○ 生産は伸びが鈍化、輸出はこのところ弱い動きである。
○ 固定資産投資は、弱い伸びとなっている。
○ 都市部新規雇用者数は伸びがおおむね横ばい、乗用車販売台数はこのところ減少している。
アジア経済の動向
○ 韓国; 景気は減速してきている。
・2015年4-6月期実質GDPは前期比年率+1.2%。
○ 台湾; 景気は弱い動きである。
○ タイ; 景気は減速してきている。
・2015年4-6月期実質GDPは前年同期比+2.8%。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は持ち直している。
・ユーロ圏の2015年4-6月期実質GDPは、前期比年率+1.3%
○ ユーロ圏の消費は緩やかに増加している。
・6月の実質小売売上は前月比で、▲0.6%(なお、ドイツ▲2.3%、英国7月期+0.1%)。
○ ユーロ圏の失業率は、低下傾向にあるが、このところ横ばいである。
○ ユーロ圏の物価上昇率は低水準で横ばいである。