月例経済報告(H28.2.25) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が 続いている。 ・消費者物価は、緩やかに上昇している。 〈先行き〉 先行きについては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国をはじめとするアジア新興国や資源国等の 景気が下揺れし、わが国の景気が下押しされるリスクがある。こうした中で、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意 する必要がある。 |
10‐12月期GDP1次速報の概要
○ 10-12月期の実質GDP(1次QE)は、前期比▲0.4%、実質GNIは+0.1%。
・ 消費総合指数は、前月比で、9月▲0.4%、10月+0.1%、11月▲1.2%。
個人消費の動向
○ 個人消費は総じて見れば底堅い動きである。
・ 消費総合指数は、前月比で、10月+0.0%、11月▲1.1%、12月+0.1%。
○ 自動車販売は、おおむね横ばいである。
・新車販売台数〈含軽〉は前月比で、11月▲5.4%、12月+1.6%、1月+1.3%。
○ 外食は、持ち直しの動きがみられる。
・外食売り上げは、前月比で、10月+1.5%、11月▲0.9%、12月+0.5%。
○ 家電は、おおむね横ばいである。
○ 消費者マインドは、持ち直している。
・消費者態度指数は前月差で、11月+1.1、12月+0.1、1月▲0.2。
○ 百貨店売り上げは、おおむね横ばいである。
・百貨店売り上げは前月比で、10月0.0%、11月▲4.3%、12月+2.9%。
○ 旅行は、おおむね横ばいである。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲3.3%、10月▲4.3%、11月+2.8%、12月▲2.2%。
・持家着工数は前月比で、9月▲0.7%、10月▲2.9%、11月+2.1%、12月▲5.1%。
・貸家着工数は前月比で、9月▲0.2%、10月▲12.4%、11月+3.5%、12月+1.4%。
・分譲着工数は前月比で、9月▲9.7%、10月+3.9%、11月+6.1%、12月▲6.1%。
○ 公共投資は、緩やかに減少している。
・請負金額は前月比で、10月▲6.0%(出来高▲1.5)%、11月+3.3%(出来高▲2.3%)、
12月▲5.3(出来高▲1.5%)、1月+7.6%。
・手持ち工事高は前月比で、10月▲0.6%、11月+0.0%、12月+0.1%。
雇用・賃金の動向
○ 有効求人倍率は上昇傾向にある。
・有効求人倍率は、10月1.24、11月1.25、12月1.27.
・完全失業率は、10月3.1%、11月3.3%、12月3.3%。
○ 総雇用者所得は持ち直してきている。
・12月の名目総雇用者所得は前年比で+1.0%、実質総雇用者所得は前年比で+0.7%。
○ 人口が減少する中、正規雇用者数が8年ぶりに増加した。
○ 一般(女性)及びパート(男性・女性)の賃金は過去最高となった。
物価の動向
○ 消費者物価は、緩やかに上昇している。
・12月のコア(生鮮食品を除く総合;固定基準)は、前月比+0.1%。
・12月のコアコア(生鮮食品、石油製品その他特殊要因を除く総合;連鎖基準)は、前月比+0.1%。
○ 消費者物価(コア)は、前年とおおむね同水準である。
・12月のコア(固定基準)は、前年比+0.1%。
・12月のコアコア(連鎖基準)は、前年比+1.1%。
○ 食料、外食、耐久消費財が上昇に寄与しており、このところ、生鮮食品の価格は低下している。
○ ガソリン・電気代には、下落の動きがみられる。
投資・収益・業況
○ 受注残高は、過去最高水準となった。
○ ソフトウェア投資は、緩やかに増加した。
○ 中小企業の仕入れ価格と販売価格のDIの差は、30年ぶりの低水準となった。
○ 中小企業の仕入価格DI(前年比「上昇」-「下落」)は、低下傾向にある。
・中小企業の仕入・販売価格の動向について、中小企業月次景況観測(商工中金)の「販売価格
DI-仕入価格DI」は、9月▲8.2、10月▲6.3、11月▲5.3、12月▲7.5、1月▲5.9。
・中小企業景況調査(日本公庫)の「販売価格DI-仕入価格DI」は、9月▲8.2、10月▲6.8、
11月▲2.0、12月▲4.5、1月▲0.4。
○ 設備投資は、おおむね横ばいである。
・機械受注は前月比で、10月+10.7%、11月▲14.4%、12月+4.2%(1-3月期見通し+8.6%)。
・資本財総供給は前月比で、10月+1.4%、11月+1.9%、12月▲3.9%。
○ 倒産件数は、おおむね横ばいである。
○ 企業収益は、改善している。
生産
○ 生産は、このところ横ばいである。
・鉱工業生産は、前月比で、11月▲0.9%、12月▲1.7%、1月(予測)+7.6%、2月(予測)▲4.1%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、11月▲2.4%、12月▲2.7%、1月(予測)+14.0%、
2月(予測)▲4.4%。
・電子部品・デバイスは前月比で、11月▲1.4%、12月+3.9%、1月(予測)+7.5%、2月(予測)▲9.1%。
・輸送機械は前月比で、11月▲0.1%、12月▲2.0%、1月(予測)+6.9%、2月(予測)▲5.3%。
○ 電子部品・デバイスは、スマートフォン関連財が力強さに欠ける。
○ 乗用車は在庫調整の進展を受け、持ち直しの動きがある。
○ 工作機械の受注は減少していたが、足下では横ばいである。
外需
○ 輸出は弱含んでいる。
○ 貿易・サービス収支の赤字は、減少傾向にある。
○ 輸入はおおむね横ばいとなっている。
○ 旅行収支の黒字幅は拡大傾向にある。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)は、2か月ぶりに低下した。
・現状判断DIは前月差で、11月▲2.1、12月+2.6、1月▲2.1。
・現況・季節調整値DIは前月差で、11月▲1.5、12月+0.4、1月▲2.0。
○ 先行き判断(DI)は、3か月ぶりの上昇となった。
・先行き判断DIは前月差で、11月▲0.9、12月0.0、1月+1.3。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、11月+0.1、12月▲0.3、1月▲1.7。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は緩やかに減速している。
・中国の消費は堅調に推移している。
・輸出は弱い動きである。
・生産の伸びが低下するなか、在庫は増加した。
○ その他アジア
・韓国では、景気は内需を中心にこのところ持ち直しの動きがみられる。
・台湾では、景気は弱い動きとなっている。
・インドネシアでは、景気は内需を中心にこのところ持ち直しの動きがみられる。
・タイでは、景気は内需を中心にこのところ持ち直しの動きがみられる。
・インドでは、景気は内需を中心に緩やかに回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、企業部門の一部に弱めの動きもみられるが、景気は回復が続いている。
○ 2015年10-12月期実質GDP成長率は+0.7%。
○ 消費は増加、賃金の伸びはやや高まっている。
○ 設備投資はこのところ弱い動きである。
○ 生産は、このところ弱い動きである。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、企業部門の一部に弱めの動きもみられるが、景気は緩やかに回復している。
○ ユーロ圏の10-12月期実質GDPは、前期比年率+1.1%。
○ ユーロ圏の生産はこのところ弱い動きである。
○ ユーロ圏の消費は増加している。
○ ユーロ圏の輸出はこのところ弱い動きである。