月例経済報告(H29.3.23) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いて いる。 〈先行き〉 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の 効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 |
個人消費の動向
○ 個人消費は、総じて見れば持ち直しの動きが続いている。
・ 消費総合指数は、前月比で、10月+0.1%、11月▲0.5%、12月+0.2%、1月+0.9%。
・ 消費者態度指数(DI)は、前月差で、11月▲1.4、12月+2.2、1月+0.1、2月▲0.1。
・ 1月の実質総雇用者所得は前期比で+1.4%。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ弱含みとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10月▲0.1%、11月▲4.2%、12月▲3.2%、1月+8.4%。
・持家着工数は前月比で、10月±0.0%、11月▲1.6%、12月▲1.9%、1月▲0.6%。
・貸家着工数は前月比で、10月▲5.1%、11月▲1.1%、12月▲10.3%、1月+9.8%。
・分譲着工数は前月比で、10月▲3.1%、11月▲4.8%、12月+1.4%、1月+18.0%。
※東京2020オリンピック・パラリンピック再開発事業(選手村等)
賃貸……約1,490戸
分譲……約4,160戸
○ 公共投資は、底堅い動きをみせている。
・請負金額は前月比で、11月+10.6%(出来高▲1.8%)、12月+4.1%(出来高▲0.8%)、
1月+3.0%(出来高+0.8%)、2月+8.1%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は改善している。
・有効求人倍率は、11月1.41、12月1.43、1月1.43(正社員は、0.92)で、1991年7月以来
25年5カ月ぶりの高水準となった先月と同水準となった。
・完全失業率は、10月3.0%、11月3.1%、12月3.1%、1月3.0%で、1995年5月以来、約22年
ぶりの低水準となった。
〇 連合第一回回答集計結果、賃上げ率は昨年対比で、全体▲0.02ポイント、大企業▲0.02ポイント、
中小企業▲0.01ポイント。
物価の動向
○ 消費者物価は、横ばいとなっている(1月総合前月比±0.0%)。
○ 消費者物価上昇率(消費税抜き)は、1月総合前年比+0.4%。
投資・収益・業況
○ 業況は、緩やかに改善している。
・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、6月+6、9月+6、12月+10、先行き+8。
「大企業・非製造業」は、6月+19、9月+18、12月+18、先行き+16。
「中小企業・製造業」は、6月▲5、9月▲3、12月+1、先行き▲4。
「中小企業・非製造業」は、6月±0、9月+1、12月+2、先行き▲2。
○ 収益は、企業収益は改善の動きがみられる。
・2016年10-12月期経常利益は、全産業+5.2%、製造業+17.0%、非製造業+0.1%。
・製造業では輸送用機械が、非製造業では卸売が、それぞれ上昇に寄与した。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
・2016年10-12月期規模別業種別設備投資は、全規模全産業+3.5%、大中堅製造業+4.6%、
大中堅非製造業▲1.0%、中小製造業+17.9%、中小非製造業+6.8%。
・製造業では化学・食料品・輸送用機械が、非製造業では卸売・不動産・建設が、それぞれ
上昇に寄与した。
生産
○ 生産は、このところ持ち直してきている。
・鉱工業生産は前月比で、12月+0.7%、1月▲0.4%、2月+3.5%(予測)、3月(予測)▲5.0%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、12月▲0.2%、1月▲2.0%、2月(予測)+0.8%、
3月(予測)▲6.8%。
・電子部品・デバイスは前月比で、12月+1.6%、1月+5.7%、2月(予測)+14.9%、3月(予測)▲12.1%。
・輸送機械は前月比で、12月+2.4%、1月▲4.2%、2月(予測)+7.6%、3月(予測)▲4.4%。
外需
○ 輸出は持ち直し、輸入は持ち直しの動きが見られる。
○ 貿易・サービス収支の黒字は、減少傾向にある。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続の下降となった。
・現状・季節調整値DIは前月差で、11月3.0、12月0.0、1月▲1.6、2月▲1.2。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇となった。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、11月+1.0、12月▲0.4、1月▲1.5、2月+1.2。
アジア経済の動向
○ 中国では、各種政策効果もあり、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。
・輸出はこのところ持ち直しの動きとなっている。
・消費は堅調に増加しているが伸びがやや低下、生産は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・固定資産投資は、伸びがやや持ち直した。
・消費者物価上昇率は、このところ低下している。
★全国人民代表大会(3/5~15)
・17年成長率目標を6.5%前後に。安定成長と雇用を重視。
・積極的財政政策と穏健・中立的な金融政策を実施(インフラ投資は16年と同程度)。
・鉄鋼5,000万トン前後、石炭1.5億トン以上の能力の削減。
〇 韓国では、景気は持ち直しの動きが一段と緩やかになっている。
〇 台湾・タイでは、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。
〇 インドネシアでは、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。
〇 インドでは、景気は内需を中心に緩やかに回復しているが、このところ一部に弱めの動きもみられる。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は回復が続いている。
・2016年10-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+1.9%。
〇 設備投資は、持ち直している。
○ 雇用者数は増加しており、失業率はこのところ低下し、賃金の伸びはやや高まっている。
○ 生産は、持ち直している。
〇 コア物価上昇率は緩やかに上昇している。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、企業部門の一部に改善の遅れも見られるが、景気は緩やかに回復している。ドイツでは、企業部門の一部に弱めの動きもみられるが、景気は緩やかに回復している。
イギリスの景気は回復している。
・10-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で、+1.6%(イギリスは+2.9%)