月例経済報告(H29.5.24) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が 続いている。 〈先行き〉 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の 効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 |
2017年1-3月期GDP(1次速報)の概要
○ 2017年1-3月期GDP成長率は、0.5%(年率換算2.2%)。
個人消費の動向
○ 個人消費は、総じて見れば持ち直しの動きが続いている。
・ 消費総合指数は、前月比で、12月+0.1%、1月+0.7%、2月▲0.1%、3月▲0.1%。
・ 消費者態度指数(DI)は、前月差で、12月+2.2、1月+0.1、2月+0.1、3月+0.7、4月▲0.7。
・ 3月の実質総雇用者所得は前期比で▲0.3%。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ弱含みとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、12月▲3.2%、1月+8.4%、2月▲6.1%、3月+4.7%。
・持家着工数は前月比で、12月▲1.9%、1月▲0.6%、2月+6.1%、3月▲2.4%。
・貸家着工数は前月比で、12月▲10.3%、1月+9.8%、2月+2.2%、3月+2.5%。
・分譲着工数は前月比で、11月▲4.8%、12月+1.4%、1月+18.0%、2月▲26.4%、3月+17.7%。
○ 手持ち工事高は前月比で、1月+0.7%、2月+2.2%、3月+0.4%。
○ 公共投資は、底堅い動きをみせている。
・請負金額は前月比で、12月+4.1%(出来高▲0.8%)、1月+3.0%(出来高+1.0%)、2月+8.1%(出来高+0.2%)、
3月+0.6%(出来高+0.6%)、4月+5.9%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は改善している。
・有効求人倍率は、12月1.43、1月1.43、2月1.43、3月1.45(正社員は、0.94)で、1990年11月以来の高水準となった。
・完全失業率は、12月3.1%、1月3.0%、2月2.8%、3月2.8%で、1994年6月以来の水準となった。
物価の動向
○ 消費者物価は、横ばいとなっている(3月総合前月比▲0.1%)。
○ 消費者物価上昇率(消費税抜き)は、3月総合前年比+0.2%。
投資・収益・業況
○ 業況は、改善している。
○ 収益は、企業収益は改善している。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
生産
○ 生産は、このところ持ち直している。
・鉱工業生産は前月比で、2月+3.2%、3月▲1.9%、4月(予測)+8.9%、5月(予測)▲3.7%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、2月+4.4%、3月▲5.9%、4月(予測)+22.0%、5月(予測)▲1.8%。
・電子部品・デバイスは前月比で、2月+3.4%、3月▲4.8%、4月+12.2%(予測)、5月(予測)▲1.6%。
・輸送機械は前月比で、2月+4.2%、3月▲1.1%、4月(予測)+11.7%、5月(予測)▲16.3%。
外需
○ 輸出は持ち直し、輸入は持ち直しの動きが見られる。
○ 貿易・サービス収支の黒字は、減少傾向にある。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりの上昇となった。
・現状・季節調整値DIは前月差で、1月▲1.6、2月▲1.2、3月▲1.2、4月+0.7。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに上昇となった。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、1月▲1.5、2月+1.2、3月▲2.5、4月+0.7。
アジア経済の動向
○ 中国では、各種政策効果もあり、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。
・輸出はこのところ持ち直しの動きとなっている。
・消費は堅調に増加しているが伸びがやや低下、生産は伸びがこのところやや上昇となっている。
・固定資産投資は、伸びがやや持ち直している。
・消費者物価上昇率は、このところ低下している。
〇 韓国では、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。
〇 台湾・タイ・インドネシアでは、景気は持ち直しの動きがみられる。
〇 インドでは、景気は内需を中心に緩やかに回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は着実に回復が続いている。
・2017年1-3月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+0.7%。
〇 雇用者数は増加しており、失業率は低下傾向にある。
・4月の失業率は、4.4%
〇 設備投資は、緩やかに増加している。
○ 消費は増加、自動車販売台数はこのところ減少している。
○ 生産は、持ち直している。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、企業部門の一部に改善の遅れも見られるが、景気は緩やかに回復している。
ドイツでは、企業部門の一部に弱めの動きもみられるが、景気は緩やかに回復している。
イギリスは、一部に弱めの動きもみられるが、景気は回復している。
・1-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で、+2.0%(イギリスは+1.2%)
★ フランス マクロン新大統領の主な経済・財政政策
◎企業活動の活性等により経済を再生、雇用の改善等を図る
・法人税の減税(33.3%→25%)
・企業の社会保障負担軽減などを通じた労働コスト削減
・500億ユーロの投資プラン(5年間)……教育や再生エネルギー、医療、農業等に投資
・若年層への職業訓練などを通じた雇用拡大
・600億ユーロの歳出削減(5年間)……失業給付や医療費の抑制、公務員削減など
・17年に財政赤字をGDP比3%以内に抑制