月例経済報告(H29.6.22) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、緩やかな回復基調が続いている。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の 効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 |
個人消費の動向
○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。
・ 消費総合指数は、前月比で、1月+0.7%、2月▲0.2%、3月▲0.1%、4月+0.8%。
・ 消費者態度指数(DI)は、前月差で、1月+0.1、2月+0.1、3月+0.7、4月▲0.7、5月+0.4。
・ 4月の実質総雇用者所得は前期比で+0.6%。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、1月+8.4%、2月▲6.1%、3月+4.7%、4月+2.0%。
・持家着工数は前月比で、1月▲0.6%、2月+6.1%、3月▲2.4%、4月+1.6%。
・貸家着工数は前月比で、1月+9.8%、2月+2.2%、3月+2.5%、4月▲2.4%。
・分譲着工数は前月比で、1月+18.0%、2月▲26.4%、3月+17.7%、+9.9%。
○ 手持ち工事高は前月比で、1月+0.7%、2月+1.7%、3月+0.5%、4月+0.9%。
○ 公共投資は、底堅さが増している。
・請負金額は前月比で、1月+3.0%(出来高+1.0%)、2月+8.1%(出来高+0.7%)、
3月+0.6%(出来高+1.5%)、4月+5.9%(出来高+2.1%)、5月▲8.2%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は改善している。
・有効求人倍率は、1月1.43、2月1.43、3月1.45、4月1.48(正社員は、0.97)で、1974年2月以来の高水準となった。
・完全失業率は、1月3.0%、2月2.8%、3月2.8%、4月2.8で、1994年6月以来の水準となった前月と同水準となった。
・産業別新規求人数では、医療福祉分野の求人の伸びが高水準に寄与している。
物価の動向
○ 消費者物価は、横ばいとなっている(4月総合前月比+0.1%)。
○ 消費者物価上昇率(消費税抜き)は、4月総合前年比+0.4%。
・エネルギー価格上昇が物価上昇に寄与した。
投資・収益・業況
○ 業況は、改善している。
○ 2017年Ⅰ期の経常利益は前期比で、全産業+2.7%、製造業+13.2%、非製造業▲2.7%。
・規模別・業種別分解は前年同期比で、全規模全産業+26.6%、
大・中堅企業+41.3%(製造業+31.2、非製造業+10.1%)、中小企業+5.5%(製造業+4.7%、製造業0.8%)。
○ 収益は、企業収益は改善している。
○ 設備投資は、持ち直している。
・規模別業種別設備投資は1-3月前期比で、全規模全産業+1.3%、
大中堅製造業+0.9%、非製造業+4.0%、中小製造業▲11.3%、非製造業+1.1%。
生産
○ 生産は、このところ持ち直している。
・鉱工業生産は前月比で、3月▲1.9%、4月+4.0%、5月(予測)▲2.5%、6月(予測)+1.8%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、3月▲5.9%、4月+8.7%、5月(予測)▲0.6%、
6月(予測)+4.3%。
・電子部品・デバイスは前月比で、3月▲4.8%、4月+5.2%、5月+2.4%(予測)、6月(予測)▲3.1%。
・輸送機械は前月比で、3月▲1.1%、4月+10.8%、5月(予測)▲15.6%、6月(予測)+7.5%。
外需
○ 輸出は持ち直し、輸入は持ち直しの動きが見られる。
○ 貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続の上昇となった。
・現状・季節調整値DIは前月差で、2月▲1.2、3月▲1.2、4月+0.7、5月+0.5。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続の上昇となった。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、2月+1.2、3月▲2.5、4月+0.7、5月+0.8%。
アジア経済の動向
○ 中国では、各種政策効果もあり、景気は持ち直しの動きがみられる。
・輸出はこのところ持ち直しの動きとなっている。
・消費・生産は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・固定資産投資は、伸びがやや持ち直している。
・消費者物価上昇率は、このところ低下している。
◎ 一兆元規模の企業負担軽減措置を発表
【減税 (3,800億元程度の減税)】
・増値税(付加価値税)の税率区分の簡素化
→ 13%の税区分を廃止、農産物・天然ガス等の税率を13%から11%に
(17年7月1日~)
・小企業向け所得税優遇措置の対象拡大
→ 課税所得額を30万元以下から50万元以下に(17年1月1日~19年12月31日)
・科学技術型中小企業の研究開発費用課税控除比率引上げ等
→ 50%から75%に(17年1月1日~19年12月31日)
【手数料の引下げ等(6,300億元程度の負担軽減)】
・鉄道貨物輸送料金引下げ、送配電価格引下げ
・証明書発行費等有償の行政サービス費用の廃止
・建設業者が工事施工時に預託する保証金割合の上限引下げ等
〇 韓国・インドネシアでは、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。
〇 台湾・タイでは、景気は持ち直しの動きがみられる。
〇 インドでは、景気は内需を中心に緩やかに回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は着実に回復が続いている。
・2017年6月政策金利1.25%。
・2017年1-3月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+1.2%。
〇 雇用者数は増加しており、失業率は低下傾向にある。
・5月の失業率は、4.3%
〇 設備投資は、緩やかに増加している。
○ 消費は増加、自動車販売台数はこのところ減少している。
○ 生産は、持ち直している。
◎再投資政策の見直しについて(17年6月FOMC)
・経済が予想通りに推移すれば、今年中にバランスシート正常化プログラムの実施に着手予定
・削減額の上限は当初月額100億ドル(米国債60億ドル・MBS40億ドル)、
1年かけて500億ドルに拡大、以降500億ドルを維持
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は緩やかに回復している。
ドイツでは、景気は緩やかに回復している。
イギリスは、一部に弱めの動きもみられるが、景気は回復している。
・1-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で、+2.3%(イギリスは+0.7%)
〇 個人消費は、ユーロ圏では増加した。
イギリスは、一部に弱めの動きもみられるが、増加した。