月例経済報告(H29.8.28) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、緩やかな回復基調が続いている。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の 効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 |
2017年4-6月期GDP1次速報
○ 実質成長率は、6四半期連続のプラスとなり、前期比10%、年率に換算すると4.0%となった。
○ 民需の大半を占める個人消費や設備投資が堅調に増加し、内需主導の経済成長となっている。
個人消費の動向
○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。
・ 消費総合指数は、前月比で、3月▲0.1%、4月+0.9%、5月+0.2%、6月±0.0%。
・ 旅行・外食・家電(エアコン)の購入が上昇に寄与している。
・ 消費者態度指数(DI)は前月差で、3月+0.7、4月▲0.7、5月+0.4、6月▲0.3、7月+0.5%。
・ 6月の実質総雇用者所得は前期比で+0.3%。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、3月+4.7%、4月+2.0%、5月▲0.6%、6月+0.6%。
・持家着工数は前月比で、3月▲2.4%、4月+1.6%、5月+2.9%、6月▲4.5%。
・貸家着工数は前月比で、3月+2.5%、4月▲2.4%、5月+0.7%、6月▲6.2%。
・分譲着工数は前月比で、3月+17.7%、4月+9.9%、5月▲5.7%、6月+13.9%。
○ 手持ち工事高は前月比で、3月+0.5%、4月+0.8%、5月+1.2%、6月▲1.1%。
○ 公共投資は、堅調に推移している。
・請負金額は前年同月比で、2月+8.1%(出来高+0.7%)、3月+0.6%(出来高+1.6%)、
4月+1.5%(出来高+2.2%)、5月+2.1%(出来高+2.5%)、6月+1.1%(出来高▲1.3%)。
雇用・賃金の動向
○ 雇用環境の一層の改善、一方で雇用のミスマッチも
・有効求人倍率は、2月1.43、3月1.45、4月1.48、5月1.49、6月1.51で、1974年2月以来
の高水準となった。
また、正社員は、1.01;2004年11月の統計開始以来初めて1倍を超えた。
・完全失業率は、2月2.8%、3月2.8%、4月2.8、5月3.1、6月2.8で、1994年6月以来の水準と
なった。
・職種別にみると、介護・IT関係等では求人が多く、一般事務等では給食の方が多くなって
おり、雇用のミスマッチ解消が課題となっている。
物価の動向
○ 消費者物価は、横ばいとなっている(7月総合前月比±0.0%)。
○ 消費者物価上昇率(消費税抜き)は、7月総合前年比+0.6%。
投資・収益・業況
○ 業況は、改善している。
・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、3月+12、6月+17、9月+15。
「大企業・非製造業」は、3月+20、6月+23、9月+18。
「中小企業・製造業」は、3月+5、6月+7、9月+6。
「中小企業・非製造業」は、3月+4、6月+7、9月+2。
○ 収益は、改善している。
・上場企業の4-6月期前年比経常利益は、全産業で+25.5%、製造業+35.2%、非製造業で+13.4%。
○ 設備投資は、持ち直している。
・2017年度設備投資計画における増加寄与の大きい業種は
(製造業)
①化学……自動車や電子・電池向けの部材、素材、研究開発投資
②一般機械……航空機、自動車や産業用ロボット向けの能力増強、生産効率化への取り組み等
③輸送用機械……新世代技術を活用したモデルチェンジ対応、国内生産体制の再構築
(非製造業)
①運輸……鉄道の高速化や安全対策、倉庫・貨物運送の物流施設、空港施設拡充
②不動産……国際ビジネス拠点・防災機能整備など都心部大型開発
③卸売・小売……コンビニ省力化投資等の既存店強化
生産
○ 生産は、このところ持ち直している。
・鉱工業生産は前月比で、5月▲3.6%、6月+2.2%、7月(予測)+0.8%、8月(予測)+ 0.3%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、5月▲2.6%、6月+2.2%、7月(予測)+2.6%、
8月(予測)+7.3%。
・電子部品・デバイスは前月比で、5月▲1.1%、6月▲2.5%、7月(予測)+10.0%(予測)、
8月(予測)▲3.3%。
・輸送機械は前月比で、5月▲13.0%、6月+5.6%、7月(予測)▲1.4%、8月(予測)+3.0%。
外需
○ 輸出は持ち直し、輸入は持ち直しの動きが見られる。
○ 貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、4月+0.7、5月+0.5、6月+1.4、7月▲0.3。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、4月+0.7、5月+0.8%、6月+0.9%、7月▲0.2%。
アジア経済の動向
○ 中国では、各種政策効果もあり、景気は持ち直しの動きがみられる。
・輸出は持ち直しの動きとなっている。
・消費は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・生産は伸びがこのところやや上昇している。
・固定資産投資は、伸びがおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率は、おおむね横ばいとなっている。
〇 韓国・台湾・タイ・インドネシアでは、景気は持ち直しの動きがみられる。
〇 インドでは、景気は内需を中心に緩やかに回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は着実に回復が続いている。
・2017年4-6月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.6%。
〇 雇用者数は増加しており、失業率は低下傾向にある。
・7月の失業率は、4.3%
〇 コア物価上昇率は、このところ低下している。
○ 消費は増加、自動車販売台数はこのところ減少している。
○ 生産は、持ち直している。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は緩やかに回復している。
ドイツでは、景気は緩やかに回復している。
イギリスは、景気回復は緩やかになっている。
・4-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で、+2.5%(イギリスは+1.2%)
〇 個人消費は、ユーロ圏では増加した。
イギリスは、緩やかに増加した。