月例経済報告(H29.9.25) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、緩やかな回復基調が続いている。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の 効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 |
個人消費の動向
○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。
・ 消費総合指数は、前月比で、3月▲0.1%、4月+0.9%、5月▲0.8%、6月-0.6%、7月+0.3%。
・ 消費者態度指数(DI)は前月差で、4月▲0.7、5月+0.4、6月▲0.3、7月+0.5%、8月▲0.5%。
・ 7月の実質総雇用者所得は前期比で▲0.1%。
◎ 景気ウォッチャー調査(2017年8月)
【消費の天候による影響がプラスになった業種】
・ 百貨店(東北)……今月は長く低迷が続いていた婦人服に回復の兆しがみられており、ミドルから
シニアにかけて顧客層の売上が伸びている。また、気温が低いこともあり初秋物に動きがみられて
いる。
・ コンビニ(九州)……8月は、東日本と違い、九州南部では猛暑が続き、飲料・氷菓の売上が好調で
前年比10%増であった。来客数・客単価共に上昇しており、順調である。
・ 一般レストラン(北関東)……レストランの来客数・売上共に前年同期に比べ1割程度良い。宴会
売上件数は減少している。お盆休みの天候不順により観光地へ出掛けなかった客が地元での
外食にお金をつかったようである。
【消費の天候による影響がマイナスになった業種】
・ 遊園地(東北)…… 記録的な長雨がお盆を含んだ夏休みを直撃しており、来客数が前年よりも
25%も下回っている。
・ 家電小売店(南関東)……前半は天候不順で暑い日が少なかったため、エアコンの販売数が予定
よりも少ない。今は需要が落ち着いてしまっている。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月+2.0%、5月▲0.6%、6月+0.6%、7月▲3.0%。
・持家着工数は前月比で、4月+1.6%、5月+2.9%、6月▲4.5%、7月▲0.1%。
・貸家着工数は前月比で、4月▲2.4%、5月+0.7%、6月▲6.2%、7月+4.2%。
・分譲着工数は前月比で、4月+9.9%、5月▲5.7%、6月+13.9%、▲11.6%。
○ 公共投資は、堅調に推移している。
・請負金額は前年同月比で、4月+1.5%(出来高+2.2%)、5月▲8.2%(出来高+2.5%)、
6月▲8.6%(出来高▲1.4%)、7月▲13.4%(出来高▲0.7%)、8月+15.1%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用環境の一層の改善、一方で雇用のミスマッチも
・有効求人倍率は、3月1.45、4月1.48、5月1.49、6月1.51、7月1.52で、1974年2月以来
の高水準となった。
また、正社員は、2004年11月の統計開始以来初めて1倍を超えた先月に引き続き1.01。
・完全失業率は、3月2.8%、4月2.8%、5月3.1%、6月2.8%、7月2.8%で、1994年6月以来の
水準となった。
物価の動向
○ 消費者物価は、横ばいとなっている(7月総合前月比±0.0%)。
○ 消費者物価上昇率(消費税抜き)は、7月総合前年比+0.6%。
投資・収益・業況
○ 業況は、改善している。
・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、3月+12、6月+17、9月+15。
「大企業・非製造業」は、3月+20、6月+23、9月+18。
「中小企業・製造業」は、3月+5、6月+7、9月+6。
「中小企業・非製造業」は、3月+4、6月+7、9月+2。
○ 収益は、改善している。
・上場企業の4-6月期前年比経常利益は、全産業で+25.5%、製造業+35.2%、非製造業で+13.4%。
○ 設備投資は、持ち直している。
・2017年4-6月期業種別設備投資は、
全規模全産業で前年同期比+0.6%、前期比▲2.8%。
製造業で前年比▲8.0%、前期比▲5.4%。
非製造業で前年同期比+5.9%、前期比▲1.4%。
生産
○ 生産は、このところ持ち直している。
・鉱工業生産は前月比で、6月+2.2%、7月▲0.8%、8月(予測)+ 6.0%、9月(予測)▲3.1%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、5月▲2.6%、6月+2.2%、7月▲2.5%、
8月(予測)+7.3%。
・電子部品・デバイスは前月比で、5月▲1.1%、6月▲2.5%、7月+4.2%、
8月(予測)▲3.3%。
・輸送機械は前月比で、5月▲13.0%、6月+5.6%、7月▲0.4%、8月(予測)+3.0%。
外需
○ 輸出は持ち直し、輸入は持ち直しの動きが見られる。
○ 貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、横ばいとなった。
・現状・季節調整値DIは前月差で、5月+0.5、6月+1.4、7月▲0.3、8月±0.0。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、5月+0.8%、6月+0.9%、7月▲0.2%、8月+0.8%。
アジア経済の動向
○ 中国では、各種政策効果もあり、景気は持ち直しの動きがみられる。
・輸出は持ち直しの動きとなっている。
・消費は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・生産は伸びがおおむね横ばいとなった。
・固定資産投資は、伸びがおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率は、おおむね横ばいとなっている。
〇 韓国・台湾・タイ・インドネシアでは、景気は持ち直しの動きがみられる。
〇 インドでは、景気は内需を中心に緩やかに回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は着実に回復が続いている。
・2017年4-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+3.0%。
〇 雇用者数は増加しており、失業率は低下傾向にある。
・8月の失業率は、4.4%
〇 コア物価上昇率は、低下している。
○ 消費は増加、自動車販売台数はこのところ減少している。
○ 生産は、持ち直している。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は緩やかに回復している。
ドイツでは、景気は緩やかに回復している。
イギリスは、景気回復は緩やかになっている。
・4-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で、+2.6%(イギリスは+1.2%)
〇 個人消費は、ユーロ圏では増加した。
イギリスは、緩やかに増加した。