月例経済報告(H30.3.16) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 |
2017年10-12月期GDP(2次速報)
○ 2017年10-12月期の実質国内総生産は、前期比+0.4%(年率+1.6%)となった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直している。
・ 消費総合指数は、前月比で、9月▲0.5%、10月▲0.4%、11月+1.6、12月▲1.0%、1月±0%。
・ 消費者態度指数(DI)は前月差で、10月+0.6%、11月+0.4%、12月▲0.2%、1月±0%、2月▲0.4%。
・ 1月の実質総雇用者所得は前期比で+0.6%。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ弱含んでいる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10月▲1.4%、11月+0.3%、12月▲0.7%、1月▲3.1%。
・持家着工数は前月比で、10月▲1.4%、11月▲0.1%、12月▲0.1%、1月+0.5%。
・貸家着工数は前月比で、10月▲1.4%、11月▲0.1%、12月▲3.5%、1月▲2.2%。
・分譲着工数は前月比で、10月▲3.2%、11月+3.5%、12月+0.2%、1月▲4.9%
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前年同月比で、 9月▲1.0%(出来高▲0.5%)、 10月4.2%(出来高▲0.4%)、
11月▲0.7%(出来高0.2%)、12月▲0.2%(出来高+1.0%)、1月▲11.5%、2月▲4.0%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、着実に改善している。
・有効求人倍率は、9月1.52、10月1.55、11月1.56、12月1.59、1月1.59
(正社員は1.07)で、1974年1月以来の高水準となった先月と同水準となった。
・完全失業率は、9月2.8%、10月2.8%、11月2.7%、12月2.8%、1月2.4%で、1993年
4月と同水準となった。
物価の動向
○ 消費者物価は、このところ緩やかに上昇している(1月総合前月比+0.4%)。
○ 消費者物価上昇率(消費税抜き)は、1月総合前年比+1.4%。
投資・収益・業況
○ 業況は、改善している。
・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2017年6月+17、9月+22、12月+25、2018年3月+19。
「大企業・非製造業」は、2017年6月+23、9月+23、12月+23、2018年3月+20。
「中小企業・製造業」は、2017年6月+7、9月+10、12月+15、2018年3月+11。
「中小企業・非製造業」は、2017年6月+7、9月+8、12月+9、2018年3月+5。
○ 企業収益は、改善している。
・2017年10-12月期の上場企業の経常利益は、前年比+17.3%となった。
・製造業では、半導体関連の需要が増加している電気機械や、輸出が堅調である自動車などが
増益基調にある。
・非製造業では、インバウンド需要の増加等を受けた運輸・通信業や、資源価格の上昇を受けた
商社等の卸売業などが増益基調にある。
○ 設備投資は、緩やかに増加している。
・半導体等が含まれる電機機器産業、情報・通信業をはじめ、幅広い業種において、来年度の需要
成長率の見通しが今年度を上回ると見込まれており、製造業・非製造業とも緩やかな増加となった。
・需要の増加や工場の自動化などの動きを受けて、産業用ロボットや工作機械等の受注残高は積み
上がり傾向にある。
新製品開発・研究開発が主な目的となっている。
生産
○ 生産は、緩やかに増加している。
・鉱工業生産指数は前月比で、11月+0.5%、12月+2.9%、1月▲6.6%、2月(予測)+9.0%、
3月(予測)▲2.7%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、10月+0.7%、11月+3.1%、12月+5.0%、1月▲7.8%。
・電子部品・デバイスは前月比で、10月▲0.6%、11月+4.3%、12月+3.4%、1月▲6.3%。
・輸送機械は前月比で、10月+1.1%、11月+0.3%、12月+6.4%、1月▲14.1%。
外需
○ 輸出は持ち直し、輸入は持ち直しの動きが見られる。
○ 貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3カ月連続で下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、10月+0.9、11月+2.1、12月▲0.2、1月▲4.0、2月▲1.3。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4カ月連続で下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、10月+3.9、11月▲1.1、12月▲0.7、1月▲0.3、2月▲1.0。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は持ち直しの動きが続いている。
・実質GDP成長率は、2017年10-12月期
・輸出は増加した。
・消費は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・生産は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・固定資産投資は、伸びがやや低下となった。
・消費者物価上昇率は、おおむね横ばいとなっている。
◎ 全国人民代表大会開幕(3/5~3/20)
3月5日、全国人民代表大会が開幕し、李克強首相により政府活動報告が行われた。
経済政策に関する主なポイントは以下のとおり。
○ 18年の実質経済成長率目標は、6.5%前後(17年実績6.9%)
○ 財政政策は、「積極的な財政政策の方針」を維持。
財政赤字(中央+地方)は、対GDP比2.6%以内(17年同3.0%以内)
○ 金融政策は、「穏健な金融政策の中立性」を維持。
○ 今年の政府活動案として、以下をはじめ9項目を提示。
・供給側構造改革の推進(過剰生産能力の削減等)
・三つの最も困難な課題への取組(金融リスクの防止・解消、的確な貧困脱却、汚染対策)
また、3月11日、国家主席の任期制限の撤廃等を含む憲法改正案を可決。
〇 韓国では、景気は回復しつつある。
○ 台湾では、景気は緩やかに回復している。
○ タイ・インドネシアでは、景気はこのところ持ち直している。
〇 インドでは、景気は内需を中心に緩やかに回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は着実に回復が続いている。
・2017年10-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.5%。
・シェールオイル増産を背景に、過去最高の原油生産量となり、成長率を牽引している。
〇 雇用者数は増加しており、失業率は低下傾向にある。
・2月の失業率は、4.1%
〇 コア物価上昇率は、おおむね横ばいとなっている。
○ 製造業の景況指数は堅調に推移している。
○ 生産は、緩やかに増加している。
○ 財輸出は、緩やかに増加している。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は緩やかに回復している。
ドイツでは、景気は緩やかに回復している。
イギリスは、景気回復は緩やかになっている。
・10-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で、+2.4%(イギリスは+1.6%)。
・イギリスの実質賃金はマイナスとなった。
〇 個人消費は、ユーロ圏では増加した。
イギリスは、このところ、増加のテンポが緩やかになっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏、イギリスともにおおむね横ばいとなった。
・2月の消費者物価指数(コア)は前年比で、ユーロ圏1.2%、イギリス2.8%。
○ 輸出は、ユーロ圏では持ち直し、イギリスでは持ち直しの動きがみられる。