月例経済報告(R1.9.19) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復して いる。 〈先行き〉 ・先行きについては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが 期待される。ただし、通商問題をめぐる緊張の増大が世界経済に与える影響に注意するとともに、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、原油価格の上昇や金融資本市場の変動の影響に留意 する必要がある。
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個人消費の動向
○ 個人消費は、雇用・所得環境の改善を背景に、持ち直している。
・今世紀に入り最も高い水準の賃上げが6年連続で実現しており、実質総雇用者所得も緩やかに
増加している。こうした雇用・所得環境の改善を背景として、個人消費は持ち直している。
・家電販売全体は、8月まで例年の売上げペースから大きく乖離することなく推移した。
エアコン等は天候不順の影響で7月に売上を落とすも8月に持ち直し、天候に左右されにくい
テレビ等の販売は好調となった。
また、自動車販売は、前年をやや上回る水準で推移している(一方、消費増税前の駆け込み
需要の伸びは見られない)。
・消費総合指数(実質)は、前月比で、4月+1.5%、5月▲0.5%、6月▲1.1%、7月+0.1%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、4月▲0.1%、5月▲1.0%、6月▲0.7%、7月▲0.9%、8月▲0.7%。
・7月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.2%となった。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ弱含んでいる。
住宅着工は弱含んでいるが、持家の受注には既に持ち直しの動きもみられる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月+2.1%、5月▲3.3%、6月+2.4%、7月▲1.3%。
・持家着工数は前月比で、4月+1.8%、5月▲2.2%、6月+2.6%、7月▲6.6%。
・貸家着工数は前月比で、4月+0.2%、5月▲1.8%。6月+4.5%、7月▲2.8%。
・分譲着工数は前月比で、4月+0.4%、5月▲3.6%、6月+8.3%、7月+3.8%
○ 公共投資は、このところ底堅さが増している。
・請負金額は前月比で、4月▲1.0%(出来高+1.6%)、5月+9.8%(出来高+0.9%)、
6月▲8.0%(出来高+1.8%)、7月+14.1%(出来高▲0.7%)、8月▲13.6%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は着実に改善している。
有効求人倍率は1974年1月以来の高水準を維持しており、完全失業率は1992年10月以来の低水準となった。
雇用者数は、女性や高齢者を中心に、2012年~2018年にかけて397万人増加(正規雇用者数は131万人増加)している。
・有効求人倍率は、3月1.63、4月1.63、5月1.62、6月1.59、7月1.59(正社員は1.14)となった。
・完全失業率は、3月2.5%、4月2.4%、5月2.4%、6月2.2%、7月2.2%となった。
物価の動向
○ 消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。(7月総合前月比±0.0%)。
○ 消費者物価上昇率(消費税増税の影響を除く)は、7月総合前年比+0.5%。
投資・収益・業況
〇 企業収益は、2018年度に過去最高を記録し、外需の弱さを背景に製造業では伸び悩んでいるものの、非製造業は底堅く、
全体として高い水準を維持している。
〇 こうした企業収益の動向を受け、設備投資は緩やかな増加傾向にある。
・製造業で機械投資に弱い動きがみられるものの、非製造業は底堅く、ソフトウェア投資が高い伸びとなっている。
○ 業況は、製造業を中心に、慎重さが増している。
・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2018年9月+19、12月+19、2019年3月+12、6月+7、9月+7。
「大企業・非製造業」は、2018年9月+22、12月+24、2019年3月+21、6月+23、9月+17。
「中小企業・製造業」は、2018年9月+14、12月+14、2019年3月+6、6月▲1、9月▲5。
「中小企業・非製造業」は、2018年9月+10、12月+11、2019年3月+12、6月+10、9月+3。
○ 企業収益は、高い水準で底堅く推移している。
生産
○ 生産は、このところ横ばいとなっているものの、一部に弱さが続いている。
・製造業の生産は、輸出の鈍化を受けて、横ばいの動きとなっている一方、非製造業は堅調な内需を背景に緩やかな増加が続いている。
・鉱工業生産指数は前月比で、6月▲3.3%、7月+1.3%、8月(予測)+1.3%、9月(予測)▲1.6%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4月+5.3%、5月+4.4%、6月▲6.9%、7月+0.8%
・電子部品・デバイスは前月比で、4月▲7.7%、5月+6.4%、6月▲2.0%、7月+0.4%。
・輸送機械は前月比で、4月+4.2%、5月+3.6%、6月▲7.5%、7月+2.1%。
外需
○ 中国経済を始めとする海外経済の減速を背景として、輸出はアジア向けを中心に弱含んでいる。
○ 輸入はおおむね横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4月ぶりに上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、5月▲1.2、6月▲0.1、7月▲2.8、8月+1.6。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2月連続で下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、5月▲2.8、6月+0.2、7月▲1.5、8月▲4.6%。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は緩やかに減速している。
・2019年4-6月期の実質GDP成長率(前年比)は+6.2%となった。
・生産は、伸びがやや低下している。
・輸出は、減少した。
・消費は、伸びがやや低下している。
・消費者物価上昇率は、おおむね横ばいとなっている。
〇 韓国では、景気は弱い動きとなっている。
○ 台湾では、景気はこのところ緩やかに回復している。
○ タイでは、景気はこのところ弱い動きとなっている。
○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
〇 インドでは、景気はこのところ弱い動きとなっている。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は着実に回復が続いている。ただし、米中間の通商問題をめぐる緊張の増大の影響等に留意が必要である。
・2019年4-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.0%。
○ 雇用者数は増加しており、失業率は低水準でおおむね横ばいとなった。
・8月の失業率は、3.7%となった。
〇 コア物価上昇率は、低下した。
○ 生産・設備投資はこのところ弱い動きとなっている。
〇 消費は増加した。
○ 製造業の景況指数このところ低下した。
○ 輸出はこのところ弱含みとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は緩やかに回復しているものの、一部に弱さがみられる。
ドイツでは、景気はこのところ足踏み状態にある。
イギリスは、景気は弱い回復となっている。
・2019年4-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.8%
(イギリスは▲0.8%、ドイツは▲0.3%)。
○ 民間設備投資は、ユーロ圏では機械設備投資はおおむね横ばいとなり、イギリスでは弱い動きとなっている。
○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに緩やかながら増加した。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなった。
・8月の消費者物価上昇率(コア)は前年比で、ユーロ圏+1.1%、イギリス(7月)+2.0%。
○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともに、このところおおむね横ばいとなった。
◎英国のEU離脱の経緯と今後の予定
2019年7月24日 メイ首相が辞任 ジョンソン氏が首相就任
9月4日 英国議会下院においてEU離脱延期法案を可決、
ジョンソン首相に よる解散・総選挙(10月15日実施)の動議を否決
9日 EU離脱延期法成立
英国議会下院においてジョンソン首相による解散・総選挙 (10月15日実施)の動議を再度否決
10日 英国議会休会
(今後の予定)
10月14日 英国議会再開
17~18日 欧州理事会(EU首脳会議)
31日 英国のEU離脱期日
2020年12月31日 移行期間終了