2024年
11月
26日
火
月例経済報告(R6.11.26) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米 における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続 に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスク となっている。また、物価上昇、アメリカの今後の政策動向、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要が ある。
|
○ 世界の景気は、一部の地域において足踏みがみられるものの、持ち直している。
先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場
の停滞の継続に伴う影響による下振れリスク、アメリカの今後の政策動向による影響に留意する必要がある。また、中東地域を
めぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。
GDP等の動向
○ 2024年7-9月期(1次速報)の実質国内総生産は、前期比+0.2%(年率+0.9%)となった。
・我が国の名目GDPは、2024年4-6月期に史上初めて年率換算で600兆円を超え、7-9月期には更に過去最高を更新した。
実質GDPは、個人消費を中心に2四半期連続のプラス成長となった。
○ 個人消費(GDPの54%)は、実質では、所得の伸びが物価上昇に追いつかない中で力強さを欠いてきたが、足下では自動車
の回復や、8月の台風・地震の影響による飲食料品の増加等もあり、2四半期連続の増加となった。
輸出(GDPの22%)は、中国景気の足踏み状態を反映して、中国向けの財輸出が減少するなど、緩やかな伸びにとどまる。
個人消費の動向
○ 家計の可処分所得は、33年ぶりの賃上げ反映や堅調な夏のボーナス、定額減税もあって、名実ともに増加する中、個人消費
も持ち直しの動きが継続している。
○ 形態別に見ると、サービスは、台風・地震の影響により宿泊が減少したこともあって微増の一方、耐久財や非耐久財が増加
した。自動車は、7-9月期にかけて年初の認証不正問題の影響からの回復がみられたこと、非耐久財は、8月の台風・地震等
に伴うパックご飯や飲料等の防災関連財の備蓄需要という一時的要因が影響したことには留意が必要である。
○ 平均消費性向をみると、米国では、高齢層、現役層ともにおおむねコロナ禍前の水準に戻る一方、日本では、現役層で切り
下がった状況が続く。物価上昇を上回る所得増を定着させ、家計がそれを前提として消費できる環境を整えることが重要である。
○ 個人消費は、一部に足踏みが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
・実質総消費動向指数は、前期比で、6月+0.2%、7月+0.1%、8月+0.1%、9月+0.1%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、6月+0.2%、7月+0.3%、8月0.0%、9月+0.2%、10月▲0.7%。
・9月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.7%となった。
物価
○ 消費者物価上昇率は、酷暑乗り切り支援もあって、おおむね2%台半ばで推移している。一方、食料品は、POSデータ(お客さまと金銭
のやりとりをした時点での販売記録データ)によると、米のほか、チョコレート、ハム・ベーコン、清涼飲料等を中心に、物価上昇幅が拡大した。
○ 物流費は、いわゆる「物流の2024年問題」の影響もあり足下で上昇傾向となっている。食品メーカーの価格引上げの背景をみると、
物流費が原材料費に次ぐ要因に挙げられるなど、物流費の価格転嫁が進展した。なお、物流費が10%上昇した場合の波及効果を
試算すると、物価全体を0.2%程度押上げている。
○ 国内企業物価は、このところ緩やかに上昇している。消費者物価は、このところ上昇している。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設はおおむね横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6月▲5.9%、7月+1.0%、8月+0.5%、9月+3.0%。
・持家着工数は前月比で、6月+2.0%、7月▲0.4%、8月+6.6%、9月▲4.1%。
・貸家着工数は前月比で、6月▲7.3%、7月+10.1%、8月▲7.1%、9月+8.0%。
・分譲着工数は前月比で、6月▲11.7%、7月▲10.4%、8月+3.9%、9月+7.7%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、5月▲3.6%(出来高5月+0.6%)、6月▲3.1%(出来高▲0.6%)、7月+2.1%(出来高+0.7%)、8月▲11.4%
(出来高▲1.1%)、9月+6.4%(出来高▲0.7%)、10月▲5.7%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用者全体の所得を示す総雇用者所得は、実質で見ても2四半期連続で前年比プラスとなり、緩やかに持ち直している。
○ 就業形態別の実質賃金のうち、パート時給は昨年半ばより前年比プラスが継続している。フルタイム労働者は、現金給与総額
では6月以降プラス傾向が続き、ボーナスを除く定期給与ではマイナス幅が縮小傾向となっている。
○ 一方、フルタイム労働者の所定内給与を事業所規模別にみると、5~29人の事業所では賃金上昇に遅れがみられる。
○ 夏のボーナスでは、比較的規模の小さい事業所で、以前よりも多くの事業者が支給するようになり、全体の押上げに寄与した。
冬のボーナスも、昨年からさらに増加する見込みとなっている。
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・有効求人倍率は、7月1.24、8月1.23、9月1.24(正社員は1.01)となった。
・完全失業率は、5月2.6、6月2.5、7月2.7、8月2.5、9月2.4となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
・7-9月期の企業収益は、営業利益では総じて改善した。経常利益は、円安是正に伴う為替差損の影響で製造業を中心に減少
した。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
○ 業況判断は、改善している。
・ 倒産件数は、このところ増勢が鈍化している。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2023年12月+12、2024年3月+11、6月+13、9月+13、12月+14。
「大企業・非製造業」は、2023年12月+30、2024年3月+34、6月+33、9月+34、12月+28。
「中小企業・製造業」は、2023年12月+1、2024年3月▲1、6月▲1、9月+0、12月+0。
「中小企業・非製造業」は、2023年12月+14、2024年3月+13、6月+12、9月+14、12月+11。
○ 生産は、このところ横ばいとなっている。
・鉱工業生産指数は前月比で、6月▲4.2%、7月+3.1%、8月▲3.3%、9月+1.6%、10月(予測)+8.3%、11月(予測)▲3.7%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比、6月▲9.0%、7月+7.0%、8月▲4.6%、9月▲1.7%。
・電子部品・デバイスは前月比で、6月▲5.8%、7月+9.7%、8月+1.9%、9月+0.5%。
・輸送機械は前月比で、6月▲6.6%、7月+2.6%、8月▲8.1%、9月+5.8%。
外需
○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。輸入は、このところ持ち直しの動きがみられる。
・輸出企業の採算為替レートは、2024年1月時点で1ドル120円台。実勢レートはこれよりも円安ドル高で推移している。
・財の輸出は全体として横ばいで推移している。中国景気の足踏みが続く中、輸出の2割弱を占める対中輸出は引き続き
減少傾向となっている。一方、それ以外のアジア向け輸出は持ち直すなど、引き続き地域ごとにばらつきがみられる。
・7-9月期のインバウンド消費は、これまでの反動もあって減少し、外需を押し下げたが、10月の訪日外客数は331万人と、
単月では過去最高。旅行者一人当たりの消費額を含め、今後の動向を注視する必要がある。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、7月+0.5、8月+1.5、9月▲1.2、10月▲0.3。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、7月+0.4、8月+2.0、9月▲0.6、10月▲1.4。
アジア経済の動向
○ 中国では、政策効果により供給の増加がみられるものの、景気は足踏み状態となっている。
先行きについては、各種政策効果が次第に発現し、徐々に足踏み状態を脱することが期待される。ただし、不動産市場の
停滞の継続や物価下落の継続、今後の通商関係の動向による影響等に留意する必要がある。
・中国の2024年7-9月期の実質GDP成長率は4.6%。
・消費はおおむね横ばいとなっている。足下では7月末に強化が図られた買換え支援策の効果が発現し、自動車や家電
販売がプラスに転換した。
・生産は、持ち直している。
・財輸出は持ち直している。
ASEANや中東、中南米等への財の輸出先の多角化が進んでいる。
・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・新築住宅販売価格は下落している。
住宅価格の下落が 継続するなど不動産市場が停滞する中、これまで地方政府の主要財源となっていた土地使用権譲渡
収入は大きく減少している。
・消費者物価はおおむね横ばいとなっている。内需の弱さもあり、GDPデフレーターが6四半期連続でマイナスとなる
など物価下落が継続している。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。
○ 韓国では、景気は持ち直している。
○ インドでは、景気は拡大している。
○ 台湾・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気は弱含んでいる。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、高い金利水準の継続に伴う
影響による下振れリスク、今後の政策動向による影響に留意する必要がある。
・トランプ次期大統領は、大統領選において、中国や全世界からの輸入品に対する関税の大幅な引上げについて言及した。
・第一次トランプ政権時には、2018年7月以降累次にわたり、米中間で相互に関税を引上げている。2018年後半以降、米国・
中国ともに輸出は頭打ちとなった。また、中国の対米輸出停滞は、日本の輸出の下押しにも影響する。
・IMFは、米・中・ユーロ圏の間で相互に10%、米国と他国との間でも相互に10%の関税を仮定し、設備投資の下押しを
含めた場合、2026年にかけて、米国のGDPを1%、中国のGDPを0.5%程度下押しすると試算している。
・2024年7-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.8%。
○ 雇用者数は緩やかに増加し、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・10月の失業率は4.1%となった。
○ 消費者物価上昇率は、サービスは底堅く推移する一方で、財を中心に低下傾向となった。
○ 設備投資は緩やかに増加している。
○ 消費は増加、自動車販売台数は持ち直している。
○ 生産はおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工数は弱い動き・住宅価格はゆるやかに上昇している。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなった。
・物価の安定と雇用の最大化を使命とするFRBは、11月に0.25%ptの利下げを実施。
○ 財輸出はゆるやかに増加した。
・2018年後半以降、中国からの財輸入は頭打ちで推移している。コロナ禍以降、ASEAN・メキシコからの財輸入は増加
傾向にある。米国の貿易赤字の対GDP比は、2008年の世界金融危機後、おおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの動きがみられる。ドイツにおいては、景気は足踏み状態にある。
イギリスでは、持ち直している。
・24年7-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.5% (イギリスは+0.6%、ドイツは+0.4%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏はこのところ持ち直しの動きがみられる。イギリスは持ち直している。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに、おおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.7%(10月)、イギリス+3.3%(10月)。
○ 財輸出は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスはこのところ持ち直している。イギリスのサービス輸出は緩やかに増加しているが、
このところ一服感がみられる。
○ 生産は、ユーロ圏は下げ止まりつつある。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
2024年
10月
30日
水
月例経済報告(R6.10.29) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米に おける高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に 伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスク となっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本 市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
|
○ 米国では、個人消費を中心に景気は拡大。
雇用者数は緩やかに増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
物価上昇率は 低下傾向にあり、物価の安定と雇用の最大化を使命とするFRBは、9月に0.5%ptの利下げを実施した。
○ 中国では、政策効果により供給の増加がみられるものの、景気は足踏み状態。
欧州では、実質GDPの回復にばらつきがある。
ユーロ圏では、景気は一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの動きがみられる。
○ 米国、中国は成長が鈍化するものの、世界経済全体としては、3%台の成長の見込みとなっている。 ただし、欧米の高い
金利水準の継続、中国の不動産市場の停滞の継続、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響による下振れ
リスクに留意が必要である。
GDP等の動向
○ 我が国の名目GDPは、1992年度に500兆円を超えてから、デフレを始め様々な困難に見舞われたこともあり、おおむね
500兆円台で推移している。2024年4-6月期には、名目GDPが史上初めて年率換算で600兆円を超えた。実質GDPは、
消費や投資を始め内需が押上げに寄与し、2四半期ぶりのプラス成長となった。
○ 設備投資は、2024年4-6月期には名目年率106兆円と、1991年以来33年ぶりに過去最高を更新。実質でも持ち直しの
動きが続く。GDPの54%を占める個人消費は、名目では過去最高となっているが、実質は、賃金の伸びが物価上昇に追い
つかなかったこともあって、力強さを欠いてきた。
○ 経済の成長力を示す潜在成長率は0%台半ばとなっている。資本、労働、生産性の各側面からの潜在成長率の向上が課題
である。
デフレ脱却の定義と判断
○ デフレ脱却とは、「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないこと」。現在は、物価が
持続的に下落するデフレの状態にない。一方、デフレに後戻りしないという状況を把握するためには、消費者物価やGDP
デフレーター等の物価の基調に加え、その背景として、GDPギャップ、単位労働費用、賃金上昇、企業の価格転嫁の動向、
物価上昇の広がり、予想物価上昇率など、幅広い指標を総合的に確認する必要がある。
○ 四半世紀にわたり続いた、賃金も物価も据え置きで動かないという凍りついた状況が変化し、賃金と物価の好循環が回り
始め、デフレ脱却に向けた歩みは着実に進んでいる。
○ GDPギャップ(国の経済全体の総需要と供給力の乖離)は4-6月期に▲0.6%程度まで縮小した。単位労働費用は春闘賃上げや
夏季ボーナスもありプラスとなった。
○ 名目賃金上昇率を詳細にみると、パートタイム労働者の時給は、2023年後半から上昇幅が拡大している。フルタイム労働者
の所定内給与も2024年春以降、上昇率が高まっている。ただし、5~29人の比較的規模の小さい事業所で上昇に遅れがみら
れる。
○ 仕入価格上昇に対し販売価格も上昇し、過去30年と異なり価格転嫁が進展した。1年前と比べて価格が上昇した品目は
7~8割と1980年代の姿に近づく。企業の中期的な予想物価上昇率は上昇し、2022年以降2%程度で安定的に推移している。
個人消費の動向
○ 可処分所得が春闘の賃上げ反映や堅調な夏季ボーナス、定額減税の効果等もあって増加する中、個人消費は持ち直しの
動きがみられるが、緩やかな伸びにとどまり、結果として貯蓄率は2024年に入り上昇した。
○ 新車販売は一部メーカーの出荷停止事案による落ち込みから持ち直し、外食は売上・客数ともに緩やかな増加が続く。
○ 世帯別に貯蓄率をみると、勤労世帯ではコロナ禍前に比べて高止まりとなっている。一方、高齢無職世帯ではコロナ禍前に
戻り、低所得世帯ではコロナ禍前の水準を下回って低下が進む。物価上昇が進む中で、貯蓄を取り崩して必要な消費に回して
いる可能性が考えられる。
○ 消費者マインドは、緩やかな改善傾向はみられるものの、食料品価格の上昇もあって、改善に足踏みがみられる。
○ 個人消費は、一部に足踏みが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
・実質総消費動向指数は、前期比で、5月+0.2%、6月+0.2%、7月+0.1%、8月▲0.0%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、5月▲2.1%、6月+0.2%、7月+0.3%、8月0.0%、9月+0.2%。
・8月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.5%となった。
物価
○ 消費者物価上昇率は、昨年11月以降おおむね2%台で推移。9月は、酷暑乗り切り支援の効果もあり、電気・ガス代の上昇幅が
縮小した。ただし、夏以降、引き続き食料品の価格上昇が拡大している。米のほか、飲料やコーヒー、肉類等で上昇幅が拡大した。
○ 基礎的支出(食料品や光熱費等)に分類される財・サービスの物価上昇率が、選択的支出(教養娯楽費等)に分類される財・
サービスの物価上昇率を再び上回るようになっており、基礎的支出が相対的に多い低所得者への影響に留意が必要である。
○ 円ベースの輸入物価は、7月半ばから9月にかけて円安が是正されたこともあり、このところ下落している。一方、10月以降、為替が
再び円安方向に動いたこともあり、輸入物価は下げ止まる可能性がある。
○ 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。消費者物価は、緩やかに上昇している。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設はおおむね横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、5月▲+7.6%、6月▲5.9%、7月+1.0%、8月+0.5%。
・持家着工数は前月比で、5月▲4.6%、6月+2.0%、7月▲0.4%、8月+6.6%。
・貸家着工数は前月比で、5月▲13.5%、6月▲7.3%、7月+10.1%、8月▲7.1%。
・分譲着工数は前月比で、4月+15.1%、5月+3.3%、6月▲11.7%、7月▲10.4%、8月+3.9%。
○ 公共投資は、堅調に推移している。
・請負金額は前月比で、4月+1.4%(出来高+8.1%)、5月▲3.6%(5月+0.6%)、6月▲3.1%(出来高▲0.6%)、7月+2.1%
(出来高+0.7%)、8月▲11.4%(出来高▲1.1%)、9月+6.4%。
雇用・賃金の動向
○ 1990年代末以降、長期的にゼロ%前後で推移してきた名目賃金・物価の上昇率は、2022年以降の輸入物価の上昇と、それに
対応した価格転嫁・賃上げ促進の結果もあって、いずれもデフレに陥る以前の90年代の水準の伸びとなった。
○ 日本の労働者の約3割を占めるパートタイム労働者の賃金は相対的に低く、パートタイム労働者比率の上昇は、全労働者の平均
の名目賃金を押し下げている。就業形態別に実質賃金を見ると、パート時給は、昨年半ばより前年比プラスが継続しており、フル
タイム労働者は、現金給与総額では6月以降プラスが続き、ボーナスを除く定期給与でもマイナス幅が縮小傾向にある。
○ 10月以降各都道府県で順次最低賃金引上げが開始し、9月末以降、パート労働者の募集賃金(時給)は一段と増加した。
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・有効求人倍率は、6月1.23、7月1.24、8月1.23(正社員は1.01)となった。
・完全失業率は、4月2.6、5月2.6、6月2.5、7月2.7、8月2.5となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
・企業の業況感は、製造・非製造業とも改善。売上の7割を占める非製造業は、1990年代初めのバブル期以降最高水準。
・企業の設備投資意欲は引き続き旺盛。2024年度の設備投資計画は、9月時点で前年度比10%増と堅調である。
・企業の人手不足感は引き続き高い水準にあり、特に非製造業ではバブル期以来の歴史的な高さとなっている。人手不足が成長
の制約とならないよう、省力化投資等が課題である。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
○ 業況判断は、改善している。
・ 倒産件数は、このところ増勢が鈍化している。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2023年12月+12、2024年3月+11、6月+13、9月+13、12月+14。
「大企業・非製造業」は、2023年12月+30、2024年3月+34、6月+33、9月+34、12月+28。
「中小企業・製造業」は、2023年12月+1、2024年3月▲1、6月▲1、9月+0、12月+0。
「中小企業・非製造業」は、2023年9月12月+14、2024年3月+13、6月+12、9月+14、12月+11。
○ 生産は、このところ横ばいとなっている。
・鉱工業生産指数は前月比で、5月+3.6%、6月▲4.2%、7月+3.1%、8月▲3.3%、9月(予測)+2.0%、10月(予測)+6.1%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比、5月▲6.8%、6月▲9.0%、7月+7.0%、8月▲4.6%。
・電子部品・デバイスは前月比で、5月+2.3%、6月▲5.8%、7月+9.7%、8月+1.9%。
・輸送機械は前月比で、5月+12.1%、6月▲6.6%、7月+2.6%、8月▲8.1%。
外需
○ 輸出・輸入おおむね横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、6月+1.3、7月+0.5、8月+1.5、9月▲1.2。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、6月+1.6、7月+0.4、8月+2.0、9月▲0.6。
アジア経済の動向
○ 中国では、政策効果により供給の増加がみられるものの、景気は足踏み状態となっている。
先行きについては、各種政策効果が次第に発現し、徐々に足踏み状態を脱することが期待される。ただし、不動産市場の停滞の
継続や物価下落の継続による影響等に留意する必要がある。
・中国の2024年7-9月期の実質GDP成長率は4.6%。
・消費はおおむね横ばいとなっている。
・生産は、持ち直している。
・財輸出は持ち直している。
・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・新築住宅販売価格は下落している。
・消費者物価はおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 韓国では、景気は持ち直している。
○ インドでは、景気は拡大している。
○ 台湾・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、高い金利水準の継続に伴う
影響による下振れリスクに留意する必要がある。
・ 2024年4-6月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+3.0%。
○ 雇用者数は緩やかに増加し、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・9月の失業率は4.1%となった。
○ 設備投資は緩やかに増加している。
○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 生産はおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工数は弱い動き・住宅価格はゆるやかに上昇している。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなった。
○ 財輸出はゆるやかに増加した。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの動きがみられる。ドイツにおいては、景気は足踏み状態に
ある。イギリスでは、持ち直している。
・24年4-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.8% (イギリスは+1.8%、ドイツは▲0.3%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっている。イギリスは持ち直している。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は、横ばいとなっている。イギリスは、おおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.7%(9月)、イギリス+3.2%(9月)。
○ 財輸出は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスはこのところ持ち直している。イギリスのサービス輸出は緩やかに増加している。
○ 生産は、ユーロ圏は下げ止まりつつある。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
2024年
9月
18日
水
月例経済報告(R6.9.18) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、 欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の 停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を 下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域を めぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要 がある。
|
○ 世界の景気は、一部の地域において足踏みがみられるものの、持ち直している。
先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場
の停滞の継続に伴う 影響による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の
影響を注視する必要がある。
日本経済の変化と今後の課題
○ 1990年代末以降、長期的に名目賃金・物価の上昇率はともにゼロ%前後で推移してきたが、コロナ禍からの世界経済の回復
や2022年の資源価格高騰を機に輸入物価が上昇。コストプッシュ型物価上昇に対し価格転嫁・賃上げを促進した結果、名目賃金
も上昇に転じ、デフレに陥る前の水準まで伸びが高まり、24年6月には物価上昇率を超え、実質賃金はプラスとなった。
こうした中、金融政策の主な手段は、他の多くの中央銀行と同様、短期金利に戻り、政策金利は0.25%程度になった。
○ この3年間で、名目GDPは56兆円増加し、史上初めて600兆円を超えた。設備投資も過去最高の106兆円、消費も増加となった。
○ GDPギャップは足下▲0.6%程度まで縮小した。一方、潜在成長率は0%台半ば。資本、労働、生産性の各側面から潜在成長率
を引き上げるとともに、価格や賃金をシグナルとした市場経済の本来のダイナミズムを取り戻すことが重要となる。
アフターコロナの世界経済
○ 主要先進国の実質GDPはコロナ禍前の水準を回復。アメリカは、個人消費や設備投資といった民需が景気拡大をけん引して
おり、日本は、いずれの指標でも中位程度の回復となっている。
○ 失業率は、各国ともにコロナ禍で上昇した後、現在はコロナ禍前とおおむね同水準に低下。日本の失業率はピークでも3.1%に
抑えられ、足下は2%台半ばと、先進国最低で推移した。
消費者物価上昇率は、多くの欧米諸国で一時9%前後まで高まったが、現在は2~3%程度まで低下した。日本は、ピーク時は
4.3%となった後、2023年秋以降2%台で推移している。
○ 欧米では、物価上昇率の高まりを受け、2022年以降、金融引締めが急速に進んだが、足下では物価上昇率の低下を受け、
ユーロ圏や英国で利下げが行われるなど潮目が変化しつつある。
個人消費の動向
○ 個人消費は、一部に足踏みが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
・実質総消費動向指数は、前期比で、4月0.0%、5月+0.2%、6月+0.2%、7月0.0%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、4月▲1.2%、5月▲2.1%、6月+0.2%、7月+0.3%、8月0.0%。
・7月の実質総雇用者所得は、前期比で▲3.4%となった。
物価
○ 消費者物価上昇率は、昨年11月以降、引き続き2%台で推移している。円安の是正もあり、円ベースの輸入物価はこのところ下落と
なっている。また、5%以上の物価上昇を予想する世帯の割合が縮小し、家計の予想物価上昇率の平均はやや低下した。
一方、直近では食料品の価格上昇がやや拡大。米、肉類、チョコレートなどの価格の上昇が寄与した。
○ サービスの物価上昇の分布は、コロナ禍前は0%近傍に集中し、価格据置きが続いていたが、足下で、より多くの品目でプラス。
○ 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。消費者物価は、緩やかに上昇している。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設はおおむね横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月+15.8%、5月▲+7.6%、6月▲5.9%、7月+1.0%。
・持家着工数は前月比で、4月▲1.1%、5月▲4.6%、6月+2.0%、7月▲0.4%。
・貸家着工数は前月比で、4月+24.5%、5月▲13.5%、6月▲7.3%、7月+10.1%。
・分譲着工数は前月比で、4月+15.1%、5月+3.3%、6月▲11.7%、7月▲10.4%。
○ 公共投資は、堅調に推移している。
・請負金額は前月比で、4月+1.4%(出来高+8.1%)、5月▲3.6%(5月+0.6%)、6月▲3.1%(出来高▲0.6%)、7月+2.1%、
8月11.4%。
雇用・賃金の動向
○ フルタイム労働者の定期給与は春闘賃上げの反映が進み、高い伸びとなっている。特別給与(ボーナス等)は6-7月を通じて
高い伸びとなり、中小規模の事業所の伸びが寄与した。実質賃金では、パート時給は前年比プラスが継続。フルタイム労働者も
2か月連続でプラス。ボーナス等を除く定期給与でも着実に持ち直している。転職により年収が増加する者の割合も上昇している。
○ 最低賃金は、現行制度で最大の引上げ幅となり、全国加重平均で1,055円となった。本年10月以降、パート労働者の賃金上昇
につながることが期待される。最低賃金引上げへの対応として、企業の半数が価格転嫁を挙げる一方、設備投資による生産性
向上を挙げる中小企業は4分の1程度となっている。引き続き、価格転嫁対策とともに、生産性向上に向けた投資の後押し等が
重要となる。
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・有効求人倍率は、5月1.24、6月1.23、7月1.24(正社員は1.00)となった。
・完全失業率は、3月2.6、4月2.6、5月2.6、6月2.5、7月2.7となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
・ 2024年4-6月期の企業収益は、営業利益、経常利益ともに過去最高を更新。
・ 中小企業では、付加価値と人件費が同程度の伸びとなり、労働分配率はおおむね横ばい。
一方、大中堅企業では、付加価値の伸びが人件費の伸びを上回り、労働分配率は緩やかな低下傾向にある。
・過去四半世紀、国内設備投資の成果である固定資産の伸びはわずかで、海外直接投資や現預金が大きく増加。借入はほとんど
増えず、内部留保が拡大した。企業部門の好調さを賃上げや投資拡大に回すことにより、成長型経済の実現につなげる必要がある。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
・設備投資を形態別にみると、持ち直しの動きが続く中で、ソフトウェアなど知的財産生産物への投資が継続的に増加した。業種別
でみると、足下では非製造業がけん引している。
・将来の成長の源泉となる研究開発投資のGDP比は、過去10年程度で、韓国、アメリカ、英国等で大きく上昇しているのに対し、
日本はほぼ横ばいとなっている。無形資産投資の促進を通じた生産性向上が課題である。
・民間建設工事の出来高が横ばい傾向の中、手持ち高は過去最高水準まで増加した。建設業の人手不足の影響もあって、受注工事
の工期が以前よりも長期化している。今後、高水準の手持ち工事高は、徐々に出来高に反映される見込みとなっている。
○ 業況判断は、改善している。
・ 倒産件数は、このところ増勢が鈍化している。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2023年9月+9、12月+12、2024年3月+11、6月+13、9月+14。
「大企業・非製造業」は、2023年9月+27、12月+30、2024年3月+34、6月+33、9月+27。
「中小企業・製造業」は、2023年9月▲5、12月+1、2024年3月▲1、6月▲1、9月+0。
「中小企業・非製造業」は、2023年9月+12、12月+14、2024年3月+13、6月+12、9月+8。
○ 生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。
・鉱工業生産指数は前月比で、4月▲0.9%、5月+3.6%、6月▲4.2%、7月+3.1%、8月(予測)+2.2%、9月(予測)▲3.3%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4月+4.1%、5月▲6.8%、6月▲9.0%、7月+7.0%。
・電子部品・デバイスは前月比で、4月▲1.3%、5月+2.3%、6月▲5.8%、7月+9.7%。
・輸送機械は前月比で、3月+12.6%、4月▲1.7%、5月+12.1%、6月▲6.6%、7月+2.6%。
外需
○ 輸出・輸入おおむね横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、5月▲1.7、6月+1.3、7月+0.5、8月+1.5。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、5月▲2.2、6月+1.6、7月+0.4、8月+2.0。
アジア経済の動向
○ 中国では、政策効果により供給の増加がみられるものの、景気は足踏み状態となっている。
先行きについては、足踏み状態が続くと見込まれる。さらに、不動産市場の停滞の継続や物価下落の継続による影響等に留意
する必要がある。
・中国の2024年4-6月期の実質GDP成長率は4.7%(前期比年率+2.8%)。
・消費はおおむね横ばいとなっている。
・生産は、持ち直している。
・財輸出は持ち直している。
・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・新築住宅販売価格は下落している。
・消費者物価はおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 韓国では、景気は持ち直している。
○ インドでは、景気は拡大している。
○ 台湾・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、物価上昇率の下げ止まりに
伴う影響による下振れリスクに留意する必要がある。
・アメリカは個人消費を中心に景気は拡大。失業率が4%台で推移する中、雇用者数は増勢が鈍化した。
・消費者物価上昇率は、財価格の低下を受け、2%台に低下。住居費を中心にサービス価格は底堅く推移した。ただし、家賃
や賃金の伸びの鈍化を受け、今後、サービス価格の伸びも鈍化する可能性。
・ 中古住宅価格は上昇が継続しており、住宅購入の際の家計の負担は増している。
・ 2024年4-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+3.0%。
○ 雇用者数は増勢が鈍化した、失業率はやや上昇した。
・8月の失業率は4.2%となった。
○ 設備投資は緩やかに増加している。
○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 住宅着工数はこのところ弱い動き・住宅価格はゆるやかに上昇している。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなった。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの動きがみられる。ドイツにおいては、景気は足踏み状態にある。
・ユーロ圏経済は、実質GDPの回復にばらつきがある。ドイツ経済は足踏み状態となっている。背景に、2022年以降の輸出の
停滞と、政策 の先行き不透明感による投資マインドの弱さと高い金利水準の継続による設備投資の弱い動きがある。
・ 州別の一人当たりGDPは、旧西ドイツ10州では、旧東ドイツ5州よりも高い。
・24年4-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.8% (イギリスは+2.3%、ドイツは▲0.3%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっている。イギリスは持ち直しの動きがみられる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は、横ばいとなっている。イギリスは、おおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.8%(7月)、イギリス+3.4%(7月)。
○ 財輸出は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっている。イギリスは弱い動きとなっている。イギリスのサービス輸出は緩やかに増加
している。
○ 生産は、ユーロ圏は下げ止まりつつある。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
2024年
8月
29日
木
月例経済報告(R6.8.29) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米に おける高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に 伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスク となっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場 の変動等の影響に十分注意する必要がある。
|
○ 世界の景気は、一部の地域において足踏みがみられるものの、持ち直している。
先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場
の停滞の継続に伴う 影響による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響
を注視する必要がある。
GDPの動向
○ 我が国の名目GDPは、1973年度に初めて100兆円を超えて以降、約5年毎に約100兆円ずつ増加し、1992年度に500兆円
を超えたが、その後約30年の間、500兆円台で推移してきた。2024年4-6月期に年率換算で史上初めて600兆円を超えた。
○ 4-6月期の実質GDPは前期比+0.8%(年率+3.1%)と、2四半期ぶりのプラス成長となった。消費や投資をはじめ内需が押上げ
に寄与した。個人消費は、物価上昇の下でも増加し、5四半期ぶりに実質でもプラスとなった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、一部に足踏みが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。。
・2024年4-6月期の個人消費は、実質GDP成長率を0.5%pt押上げ。1-3月期に消費を大きく押し下げた自動車出荷停止事案の
反動により耐久財が増加したことに加え、半耐久財・非耐久財が共にプラスに寄与。サービスは増加傾向の中で横ばい。
特殊要因の大きい耐久財を除くと、1-3月期、4-6月期ともにプラスの伸びとなった。
・家計の可処分所得は、賃上げの反映や夏のボーナスによる実収入の増加に加え、定額減税の効果もあり、名目・実質ともに
大きく増加した。超過貯蓄の取り崩しはアメリカと比べ限定的となった。今後の消費の下支えに期待。
・4月以降の高気温の影響もあって、家電販売ではエアコンの売上が好調、オリ・パラ需要もありテレビの売上も増加し、全体
として持ち直しの動きとなっている。夏物衣料品の売上も堅調。大手アパレルチェーンは客単価・客数ともに増加傾向にある。
・今年の夏は、全国的に平年を大きく上回る気温を観測した。猛暑日を記録した地点数は、過去5年で突出した多さだった昨年
を上回る傾向。猛暑の影響について、景気ウォッチャーによると、
①エアコンや日傘、アイスクリーム等の季節商材の消費が増加する一方、
②テーマパークやレストラン等で、外出控えにより客足が遠のくなど、プラス・マイナス両面あった。
・報道等によると、8月8日の南海トラフ地震臨時情報発表後、太平洋側を中心にイベント中止、旅館等の宿泊キャンセル等の
影響がみられた一方、POSデータでみると、水や非常食といった防災関連財の売上高は急増した。
・実質総消費動向指数は、前期比で、3月▲0.1%、4月0.0%、5月0.0%、6月+0.1%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、3月+0.5%、4月▲1.2%、5月▲2.1%、6月+0.2%、7月+0.3%。
・6月の実質総雇用者所得は、前期比で+2.9%となった。
物価
○ 消費者物価上昇率は、昨年11月以降、引き続き2%台で推移(1図)。8月以降「酷暑乗り切り緊急支援」による電気・ガス料金補助
が開始され、9月から11月にかけて、消費者物価上昇率の押下げに寄与する見込み。
○ 輸入物価は、契約通貨ベースでは23年夏ごろから横ばいの一方、円ベースでは円安の進行により緩やかに上昇してきたが、足下
で円安が是正されたこともあり、下落方向に向かうと見込まれる。
○ 購入頻度の高い品目の価格は、全体平均より高い上昇率となった。主食品では、米の価格は2023年末以降上昇し、7月は前年
同月比+17%と上昇。新米流通による供給量増加を今後見込むが、食料支出割合の高い低所得層等への影響は注視する必要が
ある。
○ 国内企業物価・消費者物価ともに、緩やかに上昇している。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設はおおむね横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、3月▲4.4%、4月+15.8%、5月▲+7.5%、6月▲5.9%。
・持家着工数は前月比で、3月▲1.7%、4月▲1.1%、5月▲4.5%、6月+1.9%。
・貸家着工数は前月比で、3月▲7.9%、4月+24.5%、5月▲13.5%、6月▲7.2%。
・分譲着工数は前月比で、3月+0.5%、4月+15.1%、5月+3.3%、6月▲11.7%。
○ 公共投資は、堅調に推移している。
・請負金額は前月比で、2月+21.7%(出来高▲0.1%)、3月▲10.1%(出来高▲0.4%)、4月+1.4%(出来高+8.1%)、
5月▲3.6%(5月+0.6%)、6月▲3.1%(出来高▲0.6%)、7月+2.1%。
雇用・賃金の動向
○ フルタイム労働者の現金給与総額(名目)は、2024年上半期は前年比2.7%と27年ぶりの高い伸び率となった。実質賃金では、
パート時給は前年比プラスが継続、フルタイム労働者も、春闘賃上げが反映され始めていることに加え、夏のボーナスが堅調で
あったことから、6月は前年比でプラスとなった。振れの大きい特別給与(ボーナス等)を除く定期給与でも着実に持ち直している。
○ こうした結果、実質総雇用者所得は約3年ぶりに前年比プラスに転じた。
○ 特別給与(ボーナス等)の伸びを事業所規模別にみると、今年は中小規模の事業所の伸びが寄与した。
産業別の所定内給与の伸びをみると、人手不足感の強い建設、運輸等で高い伸びが続くとともに、6月の診療報酬改定等に伴い、
医療・福祉の賃金も伸び始めている。
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・有効求人倍率は、3月1.28、4月1.26、5月1.24、6月1.23(正社員は1.00)となった。
・完全失業率は、2月2.6、3月2.6、4月2.6、5月2.6、6月2.5となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
・民間企業の設備投資は、2023年1-3月期に名目で年率換算100兆円を超え、2024年4-6月期には106.3兆円と、1991年
(104.9兆円)以来33年ぶりに過去最高を更新した。実質でも持ち直しの動きが続く。
・設備投資の約2割を占める研究開発投資は、24年度計画が+8.7%と、引き続き高い意欲がある。一方、日本企業の研究
開発投資は、米英と比較して製造業に偏っており、情報通信や専門・科学技術サービスなど非製造業で投資拡大の余地がある。
・研究開発は将来の成長の源泉である。日本の15歳時点での数学的・科学的リテラシーは男女ともにOECD加盟国中1位で
あり、研究開発のポテンシャルは高い。能力の高い人材が存分に力を発揮するための教育や組織マネジメントが重要となって
くる。
○ 業況判断は、改善している。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2023年9月+9、12月+12、2024年3月+11、6月+13、9月+14。
「大企業・非製造業」は、2023年9月+27、12月+30、2024年3月+34、6月+33、9月+27。
「中小企業・製造業」は、2023年9月▲5、12月+1、2024年3月▲1、6月▲1、9月+0。
「中小企業・非製造業」は、2023年9月+12、12月+14、2024年3月+13、6月+12、9月+8。
○ 生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。
・鉱工業生産指数は前月比で、3月+4.4%、4月▲0.9%、5月+3.6%、6月▲4.2%、7月(予測)+6.5%、8月(予測)0.7%)。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、3月+11.6%、4月+4.1%、5月▲6.8%、6月▲9.0%。
・電子部品・デバイスは前月比で、3月+9.2%、4月▲1.3%、5月+2.3%、6月▲5.8%。
・輸送機械は前月比で、3月+12.6%、4月▲1.7%、5月+12.1%、6月▲6.6%。
外需
○ 輸出・輸入おおむね横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気に敏感な職場で働く人々(景気ウォッチャー)に景気の状況を尋ねた「景気ウォッチャー調査(2024年7月調査:7月25日
~31日)」によれば、①景気の現状判断(3か月前と比べた景気の方向性)、②景気の先行き判断(現状と比べた2~3か月先
の景気の方向性)は2か月連続の上昇となっている。
景気ウォッチャーのコメントでは、インバウンドなどで来客者数の増加に関するコメントがみられた。猛暑による季節商材の販売
好調の一方、外出控えの影響もみられた。物価高に関するコメントは減ってはいるものの、引き続き多くみられた。
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、4月▲2.4、5月▲1.7、6月+1.3、7月+0.5。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、4月▲2.7、5月▲2.2、6月+1.6、7月+0.4。
アジア経済の動向
○ 中国では、政策効果により供給の増加がみられるものの、景気は足踏み状態となっている。
先行きについては、足踏み状態が続くと見込まれる。さらに、不動産市場の停滞の継続や物価下落の継続による影響等に留意
する必要がある。
・中国の2024年4-6月期の実質GDP成長率は4.7%(前期比年率+2.8%)。
・消費はおおむね横ばいとなっている。
・生産は、持ち直している。
・財輸出は持ち直している。
・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・新築住宅販売価格は下落している。
・消費者物価はおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 韓国では、景気は持ち直している。
○ インドでは、景気は拡大している。
○ 台湾・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、物価上昇率の下げ止まりに
伴う影響による下振れリスクに留意する必要がある。
・アメリカは個人消費を中心に景気は拡大している。
設備投資は、半導体法等に加えAI需要により情報通信機器が増加。消費者物価上昇率は2%台に低下した。ただし、食料品
等の身近な財・サービスの価格は、コロナ禍前と比較して高い状況。雇用者数は増勢が鈍化した。特に、ヘルスケア等を除く
民間部門の増加幅は縮小。局面が変化しつつある。
・長期的な予想物価上昇率の安定が、雇用の大幅減少なき物価上昇率の低下につながってきた可能性がある。物価と賃金の
ノルムの定着が、安定的なマクロ経済環境の維持のためにも重要であることが示唆されている。
・いわゆるラストベルトと呼ばれる州(オハイオ・ペンシルバニア・ウィスコンシン・カリフォルニア・ミシガン)では、
製造業従事者比率が高いが、ラストベルトの製造業の労働生産性は、全米平均と比較して伸びが低い傾向にある。 世帯所得
中央値は、20世紀には全米平均を上回っていたが、現在は下回っている。また、ラストベルトでは、大卒未満の白人の人口
割合、高齢化率が高い。
・2024年4-6月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.8%。
○ 雇用者数は増勢が鈍化した、失業率はやや上昇した。
・7月の失業率は4.3%となった。
○ 設備投資は緩やかに増加している。
○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 住宅着工数はこのところ弱い動き・住宅価格はゆるやかに上昇している。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなった。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は持ち直しの動きがみられる。ドイツ・イギリスでは、景気は持ち直しの動きがみられる。
・ユーロ圏経済及び英国経済は、実質GDP成長率が2024年4-6月期もプラスになり、景気は持ち直しの動きがある。
・消費者物価上昇率の低下を受け、欧州中央銀行は6月に、イングランド銀行は8月に利下げした。
・24年4-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.2% (イギリスは+2.3%、ドイツは▲0.3%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっている。イギリスは持ち直しの動きがみられる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはこのところ上昇している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は、おおむね横ばいとなっている。イギリスは、このところ横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.8%(7月)、イギリス+3.4%(7月)。
○ 財輸出は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっている。イギリスは弱い動きとなっている。イギリスのサービス輸出は緩やかに増加
している。
○ 生産は、ユーロ圏は下げ止まりつつある。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
2024年
7月
25日
木
月例経済報告(R6.7.25) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、 欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き 懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスク となっている。 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等 の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震 の経済に与える影響に十分留意する必要がある。
|
○ 世界の景気は、一部の地域において足踏みがみられるものの、持ち直している。
先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場
の停滞の継続に伴う 影響による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の
影響を注視する必要がある。
○ 欧米の輸入物価は、2023年は前年比でマイナスとなり、為替レートの安定を背景とした足下でのゼロ近傍となっている。
一方、アジア諸国はアメリカとの金利差から為替レートが下落した。輸入物価を通じた物価上昇を避け、それぞれの物価安定
目標を達成するために、各中央銀行(中国を除く)は政策金利を引上げた。一部の国は経済政策上の困難に直面している。
令和6年能登半島地震の影響
○ 定額北陸地域の景気ウォッチャーの景況感をみると、2024年1月に大きく落ち込んだ後、足下では全国平均を上回って
回復傾向となっている。北陸及び石川県の鉱工業生産指数も、4~5月にかけて緩やかに持ち直している。地震の影響に
よる稼働停止もあって、2024年1月に大きく減少した混成ICの生産も、昨年末の水準まで回復した。
○ 旅行需要も回復。被害が大きかった石川県の宿泊者数は、「北陸応援割」の効果もあって、3月以降大きく増加した。特に
インバウンドの宿泊者は、3月以降、全国平均を大きく上回る伸びとなっている。
○ 引き続き、現場が抱える課題を速やかに把握し、被災者の生活・生業の再建を始め復旧・復興を進めることが重要となる。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。
・定額減税が6月から始まる中、オルタナティブデータによる週次データでは、6月下旬からは消費支出は増加傾向で推移
している。消費者の景況感も持ち直し傾向にあり、景気ウォッチャーの先行き判断でも、定額減税に対する期待感がみら
れる。
・車販売台数は、昨年末以降の一部自動車メーカーの生産・出荷停止事案の影響が縮小し、持ち直し。6の新たな認証不正
事案に伴う販売台数への下押しは前回に比べると限定的となった
・消費者マインドのうち物価に敏感な「暮らし向き」を世帯年収別にみると、相対的に収入の高い世帯では横ばいの一方、
相対的に収入の低い世帯では低下しており、ばらつきが拡大していることに留意が必要である。
・実質総消費動向指数は、前期比で、2月+0.4%、3月▲0.1%、4月0.0%、5月0.0%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、2月+0.9%、3月+0.5%、4月▲1.2%、5月▲2.1%、6月+0.2%。
・5月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.1%となった。
物価
○ 資源価格をみると、ドルベースでは、原油の上昇は緩やかで、銅の上昇にも一服感がみられるが、円安の進行を背景に、
円ベースでは高止まりとなっている。仕入価格が上昇する中で、企業においては、世界金融危機前とは異なり、販売価格
への転嫁の動きが進んでいる。
○ 中小企業の半数以上が、円安は、原材料や部品、燃料・エネルギーの負担増等により、業績に対してデメリットが大きいと
認識している。また、自社にとって望ましい為替レート水準として、中小企業の約7割は1ドル110円以上135円未満と回答した。
・為替レートは、2022年以降、円安ドル高が進行し、2024年7月初めには1ドル161円台に。
実質実効為替レートでみると、1990年代半ば以降、円安傾向で推移し、直近2024年5月には1973年の変動相場制移行以来
最も低い水準となった。
・実質実効為替レートの長期的な円安傾向は、
①我が国の物価上昇率が貿易相手国よりも低く推移したことに加え、
②足下では、内外金利差の拡大による名目為替レートの円安が主因。
・国際収支も構造変化した。貿易収支は資源価格の高騰で赤字化しやすい構造となり、サービス収支も赤字傾向が継続して
いる。第1次所得収支は拡大し、大幅な黒字である一方、海外子会社の内部留保分など海外に再投資され、円として戻ら
ない部分も多い。
○ 国内企業物価・消費者物価ともに、緩やかに上昇している。
・消費者物価上昇率は、昨年11月以降、引き続き2%台で推移している。一方、家計の予想物価上昇率は、本年初め以降、
上昇傾向に転じている。
・サービス物価(消費者物価全体の約5割)は、前年比2%程度で推移しているが、12%を占める公共サービスや18%を占める
家賃の伸びはゼロ近傍で推移している。我が国では、これらの伸びが抑制されている一方、諸外国においては、公共
サービス、家賃ともに物価は上昇した。物価と賃金がともに上昇することがノルムとして定着していく中にあっては、
公共サービス価格においても、賃金引上げにつながるよう人件費の増加が適切に転嫁されることと、国民生活の安定と
のバランスが重要となってくる。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は弱含んでいる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、2月▲0.9%、3月▲4.4%、4月+15.8%、5月▲+7.5%。
・持家着工数は前月比で、2月+7.1%、3月▲1.7%、4月▲1.1%、5月▲4.5%。
・貸家着工数は前月比で、2月▲1.0、▲7.9%、4月+24.5%、5月▲13.5。
・分譲着工数は前月比で、2月▲9.3%、3月+0.5%、4月+15.1%、5月+3.3%。
○ 公共投資は、堅調に推移している。
・請負金額は前月比で、1月▲4.5%(出来高+2.6%)、2月+21.7%(出来高▲0.1%)、3月▲10.1%(出来高▲0.4%)、
4月+1.4%(出来高+8.1%)、5月▲3.6%(5月+0.6%)、6月▲3.1%。
雇用・賃金の動向
○ 2024年の春闘の賃上げ率は、7月の最終集計で、定昇込み5.10%、ベア3.56%と、33年ぶりの高水準となった。5月のフルタイム
労働者の所定内給与は、春闘賃上げの反映により、前年比+2.6%と1994年以来最高となった。産業別には、人手不足感の強い
建設、運輸等で特に高い伸びとなった。
○ 実質賃金の伸びを就業形態別にみると、パート時給は昨年半ばよりプラスに転化し、フルタイム労働者もマイナス幅が縮小した。
30人以上の事業所について、振れの大きい特別給与を除く定期給与の前年比をみると、26か月ぶりにプラスとなった。この夏の
民間企業のボーナスも過去最高額を更新し、高い伸びとなっている。公的部門への広がりも期待がもてる。
○ 職種別の有効求人倍率をみると、人手不足感の高い建設や介護等では3~4倍となる一方、事務職は0.4倍と低い。民間職業
紹介における転職求人倍率でも、事務・アシスタントは足下で0.5倍を下回る低い水準で推移している。さらに、今後は、 多くの
企業が、事務職の業務である定型的な書類作成やスケジュール調整等をAIに代替する意向となっている。
○ AIの導入は、職種や仕事内容によって影響が異なる。IMFの研究によると、英国では、管理職や専門職はAIからより多くの便益
を得る可能性がある一方、事務補助員はAIに代替される可能性が高い。我が国では、AIに代替される可能性がある事務従事者
のシェアが就業者の2割となっており、事務職等の労働者のリ・スキリングは喫緊の課題となっている。
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・有効求人倍率は、2月1.26、3月1.28、4月1.26、5月1.24(正社員は1.00)となった。
・完全失業率は、1月2.4、2月2.6、3月2.6、4月2.6、5月2.6となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
・企業の業況(全規模)は、製造・非製造業とも改善し、売上の7割を占める非製造業は、引き続きバブル期以降最高水準と
なった。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
・設備投資意欲は引き続き旺盛となっている。23年度実績は前年度比+9%と高い伸びとなった後、24年度計画も6月時点で
10%増と堅調である。
○ 業況判断は、改善している。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2023年9月+9、12月+12、2024年3月+11、6月+13、9月+14。
「大企業・非製造業」は、2023年9月+27、12月+30、2024年3月+34、6月+33、9月+27。
「中小企業・製造業」は、2023年9月▲5、12月+1、2024年3月▲1、6月▲1、9月+0。
「中小企業・非製造業」は、2023年9月+12、12月+14、2024年3月+13、6月+8、9月+8。
○ 生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。
・鉱工業生産指数は前月比で、3月+4.4%、4月▲0.9%、5月+3.6%、6月(予測)▲4.8%、7月(予測)3.6%)。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、2月▲3.2%、3月+11.6%、4月+4.1%、5月▲6.8%。
・電子部品・デバイスは前月比で、2月+0.2%、3月+9.2%、4月▲1.3%、5月+2.3%。
・輸送機械は前月比で、12月+2.0%、2月▲11.5%、3月+12.6%、4月▲1.7%、5月+12.1%。
外需
○ 輸出・輸入おおむね横ばいとなっている。
・輸出数量は、約半分を占めるアジア向けのうち、韓国・台湾等向けは、世界的な半導体需要の回復により、情報関連財を
中心に持ち直し、ASEAN向けも下げ止まる一方で、景気が足踏み状態にある中国向けは軟調に推移し、全体として
横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、3月▲1.5、4月▲2.4、5月▲1.7、6月+1.3。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、3月▲1.8%、4月▲2.7、5月▲2.2、6月+1.6。
アジア経済の動向
○ 中国では、政策効果により供給の増加がみられるものの、景気は足踏み状態となっている。
先行きについては、足踏み状態が続くと見込まれる。さらに、不動産市場の停滞の継続や物価下落の継続による影響等に留意
する必要がある。
・中国の成長率は4.7%に低下。不動産市場の停滞が続く中で、政策効果が内需の好循環に繋がらず、景気は足踏み状態となって
いる。家計の可処分所得の伸びが低下し、消費は横ばい。構造的な需要不足を反映し、物価は5四半期連続で下落基調となり、
新規貸出は減少した。
・不動産開発の停滞により、地方政府の土地使用権譲渡収入は大幅に減少した。地方財政にも影響がみられる。
・中国の2024年4-6月期の実質GDP成長率は4.7%(前期比年率+2.8%)。
・消費はおおむね横ばいとなっている。
・生産は、持ち直している。
・財輸出は持ち直している。
・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・新築住宅販売価格は下落している。
・消費者物価はおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きとなっている。
○ 韓国では、景気は持ち直している。
○ インドでは、景気は拡大している。
○ 台湾・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、物価上昇率の下げ止まりに
伴う影響による下振れリスクに留意する必要がある。
・アメリカでは景気拡大が継続。実質可処分所得の増加により、個人消費は増加傾向となっている。自動車販売台数は、
高金利が続く中でおおむね横ばいで推移した。コロナ禍後、政策効果等によりEV車が増加するも、24年以降は伸び悩み
がみられる。
・住宅着工件数は、住宅ローン金利が高止まる中で、このところ弱い動きがみられる。
・FRB(連邦準備制度理事会)の使命は物価の安定と雇用の最大化。物価上昇率は高止まりし、失業率は4%程度で推移
している。
・2024年1-3月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+1.4%。
○ 雇用者数は増加、失業率はやや上昇した。
・6月の失業率は4.1%となった。
○ 設備投資は緩やかに増加している。
○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 住宅着工数はこのところ弱い動き・住宅価格はゆるやかに上昇している。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなった。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は持ち直しの動きがみられる。ドイツ・イギリスでは、景気は持ち直しの兆しがみられる。
・24年1-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.1% (イギリスは+2.9%、ドイツは+0.9%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっている。イギリスは持ち直しの兆しがみられる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはこのところ上昇している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに、このところ横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.8%(6月)、イギリス+3.6%(6月)。
○ 財輸出は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっている。イギリスは弱い動きとなっている。イギリスのサービス輸出は持ち直している。
○ 生産は、ユーロ圏は下げ止まりつつある。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
2024年
6月
27日
木
月例経済報告(R6.6.27) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、 欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き 懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスク となっている。 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等 の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震 の経済に与える影響に十分留意する必要がある。
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○ 世界の景気は、持ち直している。
先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産
市場の停滞に伴う 影響による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動
の影響を注視する必要がある。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。
・名目個人消費は、総雇用者所得とともに緩やかに増加の一方、実質消費は、実質所得が伸び悩む中、力強さを欠く。
・消費者マインドは、円安の影響もあり家計の予想物価上昇率の上昇を背景に足踏み。年収別のばらつき拡大にも留意が
必要である。
・近年、GDPには原則として計上されない中古品消費が6兆円規模にまで拡大している。中古車に加え、衣服やブランド
品での利用が多い。節約志向のほか、CtoC(消費者間取引)アプリの取引市場の発展や環境志向等が背景にあると
みられる。
・実質総消費動向指数は、前期比で、1月0.0%、2月+0.4%、3月▲0.1%、4月▲0.1%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、1月+0.8%、2月+0.9%、3月+0.5%、4月▲1.2%、5月▲2.1%。
・4月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。
物価
○ 国内企業物価は、このところ緩やかに上昇している。
消費者物価は、緩やかに上昇している。
・消費者物価は、年1回の再エネ賦課金改定の影響はあるが、引き続き2%台で推移している。電気・ガスの激変緩和措置は
一旦終了するが、今夏の一時再開により、消費者物価上昇率を抑制する見通しである。ガソリンの激変緩和措置の継続
も物価上昇率の抑制に寄与した。
・コメ価格は、昨夏の猛暑の影響により上昇傾向にある。生鮮野菜も生育不良により一部の品目で5月に平年比を大きく
上回る など、天候不順の影響には注意が必要である。また円安も相まって、輸入物価の上昇が国内物価を押し上げる
リスクにも留意が必要である。
・物価と収入・賃金に関する最新のアンケート結果(2024年4月)によれば、①消費者は、約半数が「物価と収入がともに
緩やかに上昇する状態」を望ましいとする、②企業も、業種・規模によらず、7割超が「物価と賃金がともに緩やかに
上昇する状態」を望ましいとする。安定的な物価上昇とこれを上回る継続的な賃金・所得の増加を実現することが極めて
重要となってくる。
・日米欧の消費者物価を比較すると、欧米では財価格の伸びは縮小し、サービス価格が安定的にプラスとなる。日本もその
姿に近づきつつある。サービス物価は、BtoB(企業間取引)、BtoC(企業対消費者間取引)ともに、人件費比率が
高い品目の伸びが徐々に高まる傾向にある。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は弱含んでいる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、1月▲1.5%、2月▲0.9%、3月▲4.4%、4月+15.8%。
・持家着工数は前月比で、1月+0.4%、2月+7.1%、3月▲1.7%、4月▲1.1%。
・貸家着工数は前月比で、1月+5.0%、2月▲1.0、▲7.9%、4月+24.5%。
・分譲着工数は前月比で、1月▲11.0%、2月▲9.3%、3月+0.5%、4月15.1%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・6月に公表された「建設総合統計」の公共工事出来高は過去に遡って改定された(建設工事受注動態統計の訂正の反映分を
含む。
5月の月例経済報告ではその時点で利用可能であったデータを踏まえ、堅調に推移していると判断。改定後のデータでは、
高水準で底堅い姿にあり、2024年4月の出来高は、年初来増加に転じた受注等を反映し、大きく増加した。
・2023年後半以降、都道府県発注工事等で出来高が減少していたが、足下では、市区町村を含め地方政府発注の公共事業の
進捗がみられる。ただし、都道府県工事は契約率が近年低下しており、引き続き、公共工事の円滑な執行が重要となる。
・請負金額は前月比で、12月+5.7%(出来高+0.9%)、1月▲4.5%(出来高+2.6%)、2月+21.7%(出来高▲0.1%)、3月▲10.1%
(出来高▲0.4%)、4月+1.4%(出来高+8.1%)、5月▲3.6%。
雇用・賃金の動向
○ 実質賃金を就業形態別にみると、雇用者の3割を占めるパート労働者は、昨年秋以降、時給ベースで前年比1%弱のプラスに
なった。7割を占めるフルタイム労働者は、時給ベースでは前年比でゼロ近傍まで回復しており、月給ベースでもマイナス幅が
着実に縮小した。一方、パート労働者比率は上昇傾向が続いており、平均の賃金上昇率を下押しする要因になっている。
○ フルタイム労働者の所定内給与の伸びは、2024年4月は2.3%と1994年10月以来の高さとなった。30人以上の事業所で賃金
上昇が先行している。経営側の集計における定昇込みの春闘賃上げ率は、大企業の5.58%に対し、中小企業は3.62%となった。
今後、中小事業所に春闘賃上げを波及させるためには、サプライチェーン全体での適正な価格転嫁の促進が重要である。
○ フルタイム労働者の所定内給与は、医療・福祉、教育といった公定価格分野以外では着実な増加傾向となっている。医療・
福祉は、診療報酬改定等が反映される6月以降の賃上げが期待される。教育に含まれる学校教員等は、地方公務員の4割弱
を占め、12月に反映される公務員給与の改定が鍵になる。
○ 23年度の地方公務員一般行政職の給料月額の平均伸び率は0.1%程度。公務員給与のGDP比が高い県では、賃上げによる
波及効果も高い。公務員の月例給勧告率は、過去は民間ベアと同様であった一方、近年は民間ベアを下回る。
○ パート労働者の時給は増加する一方で、年収の壁の範囲内で収入を抑える就業調整もあって、労働時間は緩やかな減少傾向
が継続し、現金給与総額の上昇が抑制されている。女性の有配偶就業者の年収分布を学歴別にみると、年収200万円未満の
割合は、高校卒では6割、専門学校・短大卒では5割、大学卒では4割弱となっており、能力発揮により世帯所得を向上させる
余地がある。
○ 一定の仮定を置いた試算では、妻が年収の壁を超えて働く場合、世帯の生涯可処分所得として、給与所得分に加え、年金
所得分の増加が、配偶者手当等の減少を大きく上回る。人手不足への対応という観点に加え、世帯の生涯可処分所得の向上
という観点からも、女性が年収の壁を超えて働くことをためらうことがないような情報の周知と環境整備が重要である。
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・有効求人倍率は、1月1.27、2月1.26、3月1.28、4月1.26(正社員は1.02)となった。
・完全失業率は、12月2.5%、1月2.4、2月2.6、3月2.6、4月2.6となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
・企業収益は経常利益、営業利益ともに過去最高を更新し、企業部門は好調である。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
・名目設備投資は過去最高水準となった。知的財産投資や建設投資が増加の一方、機械投資は足踏みがみられていた。先行
指標の機械受注は持ち直し傾向に転じており、今後の機械投資の回復が期待される。
○ 業況判断は、改善している。ただし、製造業の一部では、一部自動車メーカーの生産・出荷停止による影響がみられる。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2023年6月+5、9月+9、12月+12、2024年3月+11、6月+10。
「大企業・非製造業」は、2023年6月+23、9月+27、12月+30、2024年3月+34、6月+27。
「中小企業・製造業」は、2023年6月▲5、9月▲5、12月+1、2024年3月▲1、6月+0。
「中小企業・非製造業」は、2023年6月+11、9月+12、12月+14、2024年3月+13、6月+8。
○ 生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。
・生産は、半導体製造装置を含む生産用機械を含め持ち直しの動きとなっている。ただし、新たに発生した自動車メーカーの
不正事案に伴う生産停止の影響が懸念される。
・鉱工業生産指数は前月比で、2月▲0.6%、3月+4.4%、4月▲0.9%、5月(予測)+6.9%、6月(予測)▲5.6%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、1月▲6.1%、2月▲3.2%、3月+11.6%、4月+4.1%。
・電子部品・デバイスは前月比で、1月▲4.0%、2月+0.2%、3月+9.2%、4月▲1.3%。
・輸送機械は前月比で、12月+2.0%、1月▲9.9%、2月▲11.5%、3月+12.6%、4月▲1.7%。
外需
○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入おおむね横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3月連続で下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、2月+1.1、3月▲1.5、4月▲2.4、5月▲1.7。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、2月+0.5、3月▲1.8%、4月▲2.7、5月▲2.2。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は政策効果により持ち直しの兆しがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに
向かうことが期待される。ただし、不動産市場の停滞や物価の下落が続くことによる影響等に留意する必要がある。
・中国の2024年1-3月期の実質GDP成長率は5.3%(前期比年率+6.6%)。
・消費は持ち直しに足踏みがみられる。
・生産は、持ち直している。
・財輸出は持ち直しの動きとなっている。
・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・新築住宅販売価格は下落している。
・消費者物価は下落した。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きとなっている。
○ 韓国では、景気は持ち直している。
○ インドでは、景気は拡大している。
○ 台湾・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、物価上昇率の下げ
止まりに伴う影響による下振れリスクに留意する必要がある。
・アメリカでは高い金利水準が継続し、その長期化が懸念されている。物価上昇率の下げ止まりが背景にある。身近な
財・サービス価格は、一部でコロナ禍前と比較して3割程度高くなっており、低所得者層を中心に個人消費への影響
が懸念される。
・支持政党別の消費者マインドは大統領選前後で逆転する傾向となった。政治情勢が個人消費に与える影響にも留意が
必要である。
・先月発表された中国からの輸入品に対する関税引上げの影響は、2026年以降に本格化する可能性がある。
・2024年1-3月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+1.3%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・5月の失業率は4.0%となった。
○ 設備投資は緩やかに増加している。
○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 生産はおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工数はこのところ弱い動き・住宅価格はゆるやかに上昇している。
○ コア物価上昇率はゆるやかに上昇した。
○ 財輸出は緩やかに増加した。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は持ち直しの動きがみられる。ドイツ・イギリスでは、景気は持ち直しの兆しがみられる。
・2023年秋以降、ドイツ経済は弱含んでいたものの、2024年1-3月期には、輸出がけん引し、景気は持ち直しの兆しが
ある。
フランス経済は、輸出に加え家計消費も景気をけん引した。
・2024年6月、ECBは消費者物価上昇率の低下を受け、政策金利を引下げた。フランス下院総選挙をめぐる財政への
警戒感からフランス長期金利は上昇傾向にある。一方、ドイツ長期金利は、政治的なリスク回避の動きから低下した。
・24年1-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.3% (イギリスは+2.5%、ドイツは+0.9%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっている。イギリスは持ち直しの兆しがみられる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はこのところ横ばいとなっている。イギリスは低下している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.9%(5月)、イギリス+3.6%(5月)。
○ 財輸出は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっている。イギリスは弱含んでいる。イギリスのサービス輸出は持ち直して
いる。
○ 生産は、ユーロ圏は下げ止まりつつある。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
2024年
5月
27日
月
月例経済報告(R6.5.27) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、 世界的 な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、 海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等 の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震 の経済に与える影響に十分留意する必要がある。
|
○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う
影響による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要が
ある。
GDPの動向
○ 2023年度のGDP成長率は、名目で5.3%、実質で1.2%となった。名目成長率は1991年度(5.3%)以来の高い伸びである。
○ 2024年1-3月期(1次速報)のGDP成長率は、名目においては前期比プラス0.1%と2四半期連続のプラスとなり、名目GDPの
実額は599兆円と過去最高を更新した一方、実質では前期比▲0.5%(年率▲2.0%)と2四半期ぶりのマイナスとなった。
・景気の動きによるものとは言えない各種特殊要因がマイナスに寄与した。
具体的には、令和6年能登半島地震の影響のほか、一部自動車メーカーの生産・出荷停止事案の影響もあって、実質前期比
で、個人消費は▲0.7%、設備投資も▲0.8%となった。
・輸出は、前期のサービス輸出の大幅増の反動もあって、実質前期比で▲5.0%となった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。
・2024年1-3月期は、耐久財では、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響で大幅に減少(実質GDP成長率への寄与度で
▲0.6%)したものの、消費の過半を占めるサービスは、外食等を中心に増加傾向が継続している。
・4月の状況をみると、一部自動車メーカーの出荷の再開が徐々に進む中、新車販売台数は持ち直しの動きがみられる。
家電販売は、平年比高めの気温もあり、エアコン販売に例年より早めの動きがみられる。
1月に落ち込んだ携帯電話も4月は増加に転じた。
外食売上高は、コロナ禍を経て、店舗数は減少傾向の一方、一店舗当たりの売上は増加、構造変化もみられる。
・実質総消費動向指数は、前期比で、12月▲0.3%、1月0.0%、2月+0.4%、3月▲0.0%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、12月+0.9%、1月+0.8%、2月+0.9%、3月+0.5%、4月▲1.2%。
・3月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.3%となった。
物価
○ 国内企業物価は、このところ緩やかに上昇している。
消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。
・消費者物価上昇率はピーク時(2023年1月の4.3%)から低下し、2023年11月以降は2%台で推移している。
・他方、円安により、円ベースの輸入物価に上昇圧力がみられる。中東情勢の不安定化や中国経済の持ち直し期待によって、
原油や銅価格は上昇傾向、小麦など穀物価格も気候要因もあって上昇の兆しがみられる。これらが、国内物価を押し上げる
リスクに留意する必要がある。
・ BtoB(企業間取引)のサービス価格は、過去は1%程度以下で推移してきたが、ここ1年ほどは2%台にレベルシフトしている。
人件費比率が高い分野で顕著な上昇がみられる。広告では、インターネット広告の価格が大きく伸びるなど構造に変化がみら
れる。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は弱含んでいる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、12月+3.1%、1月▲1.5%、2月▲0.9%、3月▲4.4%。
・持家着工数は前月比で、12月+1.7%、1月+0.4%、2月+7.1%、3月▲1.7%。
・貸家着工数は前月比で、12月+0.6%、1月+5.0%、2月▲1.0、▲7.9%。
・分譲着工数は前月比で、12月+9.1%、1月▲11.0%、2月▲9.3%、3月+0.5%。
○ 公共投資は、堅調に推移している。
・設備投資の25%を占める建設投資は、着工ベースの工事費予定額では、昨年秋以降増加傾向にあるが、進捗ベースの工事出来高
の増加は途上にある。手持ち工事高は積み上がっており、今後これらが進捗し、投資につながることが期待される。
・公共投資については、進捗ベースの公共工事出来高は、防災・減災、国土強靱化予算の執行の効果もあり、増加が続いており、
堅調に推移している。手持ち工事高も高水準で増加傾向にあり、引き続き、投資としての発現が期待される。
・請負金額は前月比で、11月+4.3%(出来高▲0.6%)、12月+5.7%(出来高+0.9%)、1月▲4.5%(出来高+2.6%)、2月+21.7%
(出来高+2.9%)、3月▲10.1%(出来高+1.9%)、4月+1.4%。
雇用・賃金の動向
○ 新たなビッグデータ(給与計算代行サービス)から、本年4月の賃金上昇率をみると、昨年同様、若年層の伸びが高いことに加え、
昨年は横ばいだった40代でも伸びがみられた。33年ぶりの高い伸びとなった今年の春闘賃上げの広がりがみられる。
○ 初任給も、幅広い産業で増加させる企業が増え、伸び率も昨年を大きく上回る。夏季ボーナスも、連合集計では平均支給月数が
前年を上回り、上場企業では、支給金額が前年比4.6%と昨年を上回る伸びとなった。
○ 労働需給のひっ迫に加え、昨年10月の最低賃金引上げもあって、パート・アルバイトの募集時の時給は、全国平均で1,141円、
前年比で3%台半ばの伸び。最低賃金引上げと募集時の時給には正の相関が見られる。
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・有効求人倍率は、12月1.27、1月1.27、2月1.26、3月1.28(正社員は1.03)となった。
・完全失業率は、11月2.5%、12月2.5%、1月2.4、2月2.6、3月2.6となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
・上場企業の経常利益は1-3月期として過去最高、産業計で年度でも過去最高となった。企業の現預金の水準は他国より高く、
増加傾向。2000年代後半以降、総資産に対する比率も上昇している。企業部門の資金を賃金や投資に回していくことが重要
となる。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
○ 業況判断は、改善している。ただし、製造業の一部では、一部自動車メーカーの生産・出荷停止による影響がみられる。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2023年6月+5、9月+9、12月+12、2024年3月+11、6月+10。
「大企業・非製造業」は、2023年6月+23、9月+27、12月+30、2024年3月+34、6月+27。
「中小企業・製造業」は、2023年6月▲5、9月▲5、12月+1、2024年3月▲1、6月+0。
「中小企業・非製造業」は、2023年6月+11、9月+12、12月+14、2024年3月+13、6月+8。
○ 生産は、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、生産活動が低下していたが、このところ持ち直しの動きがみられる。
・製造業の生産活動は、一部自動車メーカーの生産・出荷停止事案により、輸送機械を中心に低下していたが、生産再開に伴い、
3月以降持ち直しの動きがみられる。設備投資に含まれる貨物車(トラック、バン等)の登録台数も、3月以降徐々に持ち直し
の動きがみられる。
・鉱工業生産指数は前月比で、1月▲6.7%、2月▲0.6%、3月+4.4%、4月(予測+4.1%)、5月(予測+4.4%)。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、12月+4.4%、1月▲6.1%、2月▲3.2%、3月+11.6%。
・電子部品・デバイスは前月比で、12月+2.0%、1月▲4.0%、2月+0.2%、3月+9.2%。
・輸送機械は前月比で、12月+2.0%、1月▲9.9%、2月▲11.5%、3月+12.6%。
外需
○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入おおむね横ばいとなっている。
・財の輸出は、自動車や建設用・鉱山用機械は、供給制約もあって軟調である一方、世界的な半導体需要の回復に伴い、半導体
製造装置は持ち直し傾向が続く。
・鉄鋼輸出は、日本は緩やかな減少傾向の一方、中国が供給過剰を背景に、アジア向けを中心に低価格品の輸出を増大。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
・サービス収支は、旅行では黒字の一方、大宗を占めるその他サービスでは、デジタル関連や保険等で赤字が拡大した。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2月連続で下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、1月▲1.6、2月+1.1、3月▲1.5、4月▲2.4。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、1月+2.1、2月+0.5、3月▲1.8%、4月▲2.7。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は政策効果により持ち直しの兆しがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうこと
が期待される。ただし、不動産市場の停滞や物価の下落が続くことによる影響等に留意する必要がある。
・中国の2024年1-3月期の実質GDP成長率は5.3%(前期比年率+6.6%)。
・消費は持ち直しに足踏みがみられる。
・生産は、持ち直している。
・財輸出はおおむね横ばいとなっている。
・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・新築住宅販売価格は下落している。
・消費者物価は下落した。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。
★最近の政策対応
○ 自動車の買換え補助金(4/26発表)
・2024年中の買換えに対し最高1万元(約 20万円)を支給。
○ 住宅在庫の買取り等(5/17発表)
・地方政府が国有企業を通じて、住宅在庫の一部を買い取り、低所得者向けの公営住宅に転換。
・地方政府が開発の進んでいない土地を買い戻し、不動産企業の債務を圧縮。
・住宅ローン金利の下限を撤廃、頭金比率の引下げ。
○ 韓国では、景気は持ち直している。
○ インドでは、景気は回復している。
○ 台湾・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は拡大している。先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に
よる下振れリスクに留意する必要がある。
・個人消費主導で景気は拡大している。金融引締めが続く中でも高成長が続く背景には、移民流入の上振れや、半導体法
等による設備投資の緩やかな増加がある。
・労働需給は緩和傾向にあり、名目賃金上昇率に一服感がみられるものの、依然として高水準となっている。
・物価上昇率は、前月比でみると、財の寄与が縮小する中で、サービスを中心に緩やかに上昇した。
・2024年1-3月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+1.6%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・4月の失業率は3.9%となった。
○ 設備投資は緩やかに増加している。
○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 生産はおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工数はおおむね横ばい・住宅価格は上昇している。
○ コア物価上昇率はおゆるやかに上昇した。
○ 財輸出は緩やかに増加した。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。
・EUは、1980年代以降市場統合が進展し、2004年には東欧諸国が加盟するなど拡大、中国と同程度の経済規模となった。
実質GDPは、2023年秋以降、ドイツを含むユーロ圏で弱含むものの、底入れに向かうことが期待される。
2023年第3四半期以降、消費者物価上昇率の低下を受け、実質賃金はプラスで推移している。
・2020年にEUを離脱したイギリスは、サービス業が経済成長をけん引してきた。経常収支は赤字傾向となっている。
広告・専門的コンサル等のサービス貿易は黒字傾向である一方、財貿易は赤字傾向にある。
所得収支は、証券投資による収益(株式配当、債券利子)の赤字額が直接投資による収益の黒字額を上回り、赤字傾向。 ・ユーロ圏で急速に存在感を高めているアイルランド経済は、製薬、IT企業を積極的に誘致し高い経済成長を実現した。
イギリスのサービス貿易相手国としても重要な地位を占める。
・2024年1-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.3% (イギリスは+2.5%、ドイツは+0.9%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.8%(4月)、イギリス+4.0%(4月)。
○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。イギリスのサービス輸出は持ち直しの動きがみられる。
○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。
2024年
4月
23日
火
月例経済報告(R6.4.23) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、 世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外 景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の 影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の 経済に与える影響に十分留意する必要がある。
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○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う 影響
による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。
GDP速報
○ 2023年10-12月期(2次速報)のGDP成長率は、実質では前期比+0.1%(年率+0.4%)となった。
令和6年能登半島地震の影響
○ 令和6年能登半島地震では、1.1~2.6兆円程度のストック毀損が生じたことに加え、石川県・富山県・新潟県の3県で1-3月期に
1,000億円程度の直接的なGDPの損失があったと試算される。
○ 3月16日に延伸した北陸新幹線(金沢~敦賀間)は、開業1か月で72万人(1日平均2.3万人)が利用、北陸応援割をはじめと
する政策効果も相まって、北陸経済の活性化に寄与した。
「景気ウォッチャー調査」の北陸地域の現状・先行き判断DIは2月以降50を超える水準に回復した。
引き続き、復旧・復興支援を切れ目なく進めていくことが必要である。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。
・個人消費は、名目では過去最高水準に拡大する一方、実質では力強さを欠く。
実質の耐久財消費は相対的に堅調な一方、非耐久財消費は長期的に緩やかな減少傾向となっている。
サービス消費も、実質ではコロナ禍前を下回る。
・足下の小売販売は、一部自動車メーカーの出荷停止の影響で自動車は減少する一方、百貨店等が増加した。
かばん・アクセサリー等の高額品が増加しており、インバウンド増加の影響のほか、株価上昇の影響もあり日本人の消費も
増加した。
・外食売上高はコロナ禍前のトレンドを超えて増加している一方、客数の回復は途上にある。消費に占める60歳以上世帯のシェア
は4割超まで拡大した。外食支出の小さい高齢世帯の増加、コロナ禍後の高齢者の外出回復の遅れも影響している可能性がある。
・ 大型連休の旅行者数は、国内はほぼコロナ禍前水準に戻り、海外も持ち直す見込みとなっている。そのほか、ライブやテーマ
パーク、 スポーツ観戦は、売上高・人数ともに挽回消費の動き。学習塾は、少子化の中でも受講生数、売上高ともに底堅い動き
となっている。
・実質総消費動向指数は、前期比で、11月▲0.2%、12月▲0.3%、1月0.0%、2月+0.2%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、11月+0.4%、12月+0.9%、1月+0.8%、2月+0.9%、3月+0.5%。
・2月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.5%となった。
物価
○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。
消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。
・消費者物価は、前年比2%台で、引き続き緩やかに上昇した。4月には、食料品や日用品等で値上げが実施されているが、POS
データ(レジから収集される顧客の消費行動をデータ化したもの。販売実績のデータ)でみると、全体として食料品価格等の前年比は、現時点では、
引き続き縮小傾向で推移している。
・中東情勢が不安定化する中、原油価格は再び上昇しており、輸入物価を通じた影響に留意が必要である。
・サービスの物価上昇率は、0%の割合が縮小、プラスの割合が増加し、1980年代の姿に近づいている。企業の中期的な予想
物価上昇率は、ここ2年程度は2%程度の安定的な水準にレベルシフトした状態が継続している。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は弱含んでいる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、11月▲2.0%、12月+3.1%、1月▲1.5%、2月▲0.9%。
・持家着工数は前月比で、11月+1.7%、12月+1.7%、1月+0.4%、2月+7.1%。
・貸家着工数は前月比で、11月▲2.7%、12月+0.6%、1月+5.0%、2月▲1.0。
・分譲着工数は前月比で、11月▲4.8%、12月+9.1%、1月▲11.0%、2月▲9.3%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、10月▲3.3%(出来高▲0.3%)、11月+4.3%(出来高▲0.6%)、12月+5.7%(出来高+0.9%)、1月▲4.5%
(出来高+2.6%)、2月+21.7%、3月▲10.1%。
雇用・賃金の動向
○ 2024年の春闘(第4回集計)の賃上げ率は、引き続き定昇込みで5%超、ベアで3%台半ばと、33年ぶりの高水準となった。
○ 定昇込みの賃上げ率の分布は、昨年は3%強に山があったのに対して、今年は5%強にシフト。ベアの分布は、昨年は2%弱に
山があったのに対して、今年は3%台半ばにシフトしており、より多くの企業で高い賃上げ率が実現している。
○ 昨年2023年の賃上げ率は、若年層、特に高校卒で男女ともに高めだった一方、大学卒は男女ともに中年層で低い傾向と
なった。 また女性の賃金は、男性に比べ、水準が低く、年齢を重ねても上昇幅が小さい。
○ 産業別にみると、昨年は、男女とも、人手不足感の高い建設業等で高い賃上げ率となった一方、医療、福祉など公定価格
部門で は横ばいとなった。本年は、診療報酬改定等における加算措置等により、同分野の高い賃上げに期待される。
(※)診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定において、賃上げに必要な改定率として、医療では+0.88%、介護では+1.59%
(処遇改善加算の一本化による賃上げ効果等も含め ると、2.04%)、障害福祉では+1.12%(同1.5%を上回る水準)を確保。賃上げ促進税制の
活用を組み合わせることにより、2024年度に+2.5%、25年度+2.0%のベアの実現が期待される。
○ 2024年の賃上げの流れを広げるため、適切な価格転嫁や省力化投資の継続、賃金の高い分野への労働移動の後押し、大卒中年
層を含む全世代リ・スキリングが重要となる。
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・就業者数は、最近、中高年を中心に増加傾向にある。長期的にみると、中高年の労働参加率は男女ともに上昇した。
・日本人の寿命の最頻値は、男性88歳、女性93歳と長く、男性の4分の1、女性の半分が90歳以上まで生きる状況であり、意欲ある
高齢者が長く活躍できる環境をつくることが重要となる。
・主要先進国間で比較すると、日本の高齢者の労働参加率は高く、伸びも大きい。
・有効求人倍率は、11月1.28、12月1.27、1月1.27、2月1.26(正社員は1.01)となった。
・完全失業率は、10月2.5%、11月2.5%、12月2.5%、1月2.4、2月2.6となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
・設備投資のうち、商用車や船舶等の輸送用機械は約6%である。トラックやバンなど貨物車の新車登録台数は、一部自動車メーカー
の生産・出荷停止の影響で、小型と軽を中心に大幅減となった。24年1-3月期の設備投資への一時的な影響に注意が必要である。
・企業の設備投資は、2023年度は実績見込みで前年度比プラス10.2%、2024年度は3月時点の計画としては1990年度以来の伸びとなる
など、企業の投資意欲には力強さがある。ただし、中小企業では、非製造業で2023年度の実績見込みが23%と高い伸びとなった
一方、製造業では一部自動車メーカーの生産停止の影響もあって投資先送りの動きもあるなど、ばらつきもある。
○ 業況判断は、改善している。ただし、製造業の一部では、一部自動車メーカーの生産・出荷停止による影響がみられる。
・ 企業の業況は、売上の約7割を占める非製造業で、バブル期以降の最高水準となった。建設業は過去10年程度、業況が「良い」と
答える企業が、「悪い」と答える企業を上回る。運輸業では近年、「良い」が増加の一方、「悪い」が減少傾向となっている。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2023年6月+5、9月+9、12月+12、2024年3月+11、6月+10。
「大企業・非製造業」は、2023年6月+23、9月+27、12月+30、2024年3月+34、6月+27。
「中小企業・製造業」は、2023年6月▲5、9月▲5、12月+1、2024年3月▲1、6月+0。
「中小企業・非製造業」は、2023年6月+11、9月+12、12月+14、2024年3月+13、6月+8。
○ 生産は、持ち直しに向かっていたものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ生産活動が低下している。
・製造業では、一部の業種に、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響がみられる。ただし、3月以降、輸送機械の生産は、
これらのメーカーの生産再開に伴い、徐々に持ち直す見込みとなっている。
・鉱工業生産指数は前月比で、12月+1.2%、1月▲6.7%、2月▲0.6%、3月(予測)+4.9%、4月(予測)+3.3%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、11月+1.6%、12月+4.4%、1月▲6.1%、2月▲3.2%。
・電子部品・デバイスは前月比で、11月▲0.9%、12月+2.0%、1月▲4.0%、2月+0.2%。
・輸送機械は前月比で、11月▲1.6%、12月+2.0%、1月▲9.9%、2月▲11.5%。
外需
○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入はこのところ弱含んでいる。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2月ぶりに下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、12月+1.0、1月▲1.6、2月+1.1、3月▲1.5。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに月下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、12月+0.1、1月+2.1、2月+0.5、3月▲1.8%。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は政策効果により持ち直しの兆しがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうこと
が期待される。ただし、不動産市場の停滞や物価の下落が続くことによる影響等に留意する必要がある。
・中国の2024年1-3月期の実質GDP成長率は5.3%(前期比年率+6.6%)。政策効果により、自動車販売やインフラ投資が増加
した。景況感にも改善がみられる。
・一方、不動産市場の停滞は、企業・家計の資金需要や銀行の融資姿勢に影響し、足下で新規貸出は低調となっている。また
消費者物価は4四半期連続ゼロ近傍、GDPデフレーターはマイナスが継続している。物価の下落が続くことによる影響に
留意が必要である。
・消費は持ち直しに足踏みがみられる。
・生産は、持ち直しの動きがみられる。
・財輸出はおおむね横ばいとなっている。
・固定資産投資は伸びが上昇した。
・新築住宅販売価格は下落している。
・消費者物価は下落した。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。
○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。
○ インドでは、景気は回復している。
・乗用車販売台数が伸びるなど、内需にけん引されて8%台の成長が続いている。
○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による
下振れリスクに留意する必要がある。
・2023年10-12月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+3.4%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・3月の失業率は3.8%となった。
○ 設備投資は緩やかに増加している。
○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 生産はおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工数はおおむね横ばい・住宅価格は上昇している。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
○ 財輸出は緩やかに増加した。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。
・23年10-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは▲1.2%、ドイツは▲1.1%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.1%(3月)、イギリス+4.6%(3月)。
○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。イギリスのサービス輸出はおおむね横ばいとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。
2024年
3月
22日
金
月例経済報告(R6.3.22) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、 世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外 景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等 の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震 の経済に与える影響に十分留意する必要がある。
|
○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う
影響による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。
GDP速報
○ 2023年10-12月期(2次速報)のGDP成長率は、実質では前期比+0.1%(年率+0.4%)となった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。
・新車販売(消費に占める輸送機械の割合は2.6%)は、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ弱い動きと
なっている。
・国内旅行消費については、宿泊施設の稼働率は、コロナ禍の落ち込みから回復した。一方、宿泊業の就業者数はコロナ禍前に
戻っておらず供給制約。こうした中で、客室単価は上昇する一方、日本人宿泊者数はこのところ横ばいとなっている。
・消費者のマインドや資産価値(株式等)に関する見方は改善が継続している。
・実質総消費動向指数は、前期比で、10月0.0%、11月▲0.2%、12月▲0.3%、1月▲0.2%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、10月+0.5%、11月+0.4%、12月+1.1%、1月+0.8%、2月+1.1%。
・1月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。
物価
○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。
消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。
・消費者物価の前年比は、昨年秋以降2%台で推移。なお、資源価格が落ち着く下で、電気・ガスの激変緩和事業の開始から1年
が経過し、押下げ効果が薄まったことから、2月は上昇幅が拡大。一方、食料品は、値上げの一服から、引き続き上昇幅が緩やか
になった。
・デフレに陥る前の1990年代前半以前は、サービスの物価上昇率は2%前後で推移している。足下では、財の物価上昇が落ち着く一方
で、一般サービスの上昇率が徐々に高まり、財の上昇率と同水準となった。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は弱含んでいる。
・住宅の新設着工戸数は、持家を中心に弱含みが続く。長期的にみると、1960年代後半に住宅戸数(ストック)が世帯数を上回り、
持家など戸建の住宅を中心に、新規着工戸数は減少トレンドにある。
・世帯構造の変化をみると、単身世帯等の割合が増加する一方で、夫婦と子供のいる世帯や三世代同居世帯など戸建住宅の需要層と
考えられる世帯の割合が減少した。
・建築費の高止まりの中で、戸建住宅の新設着工が減少する一方で、中古住宅の販売量は増加傾向にある。リフォーム促進等を
通じた中古住宅流通市場の拡大も重要となっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10月+0.1%、11月▲2.0%、12月+3.1%、1月▲1.5%。
・持家着工数は前月比で、10月▲6.6%、11月+1.7%、12月+1.7%、1月+0.4%。
・貸家着工数は前月比で、10月+0.9%、11月▲2.7%、12月+0.6%、1月+5.0%。
・分譲着工数は前月比で、10月+5.0%、11月▲4.8%、12月+9.1%、1月▲11.0%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、9月+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲3.3%(出来高▲0.3%)、11月+4.3%(出来高▲0.6%)、12月+5.7%
(出来高+0.9%)、1月▲4.5%(出来高+2.6%)、2月+21.7%。
雇用・賃金の動向
○ 2024年春闘(第1回集計)の賃上げ率は、定昇込みで5.28%、ベアで3.7%と、30年ぶりとなった
昨年を大きく上回った。
○ ベアは、中小企業でも3%近い伸びとなり、組合計のベースアップ額は、平均月1万円を超える水準となった。
○ 賃金の改定は、昨年のパターンでは、5月頃から夏場にかけて実際の賃金支払に徐々に反映されている。現在、一般労働者の
所定内給与の伸びは前年比1%台半ばだが、今後高まっていくことが見込まれる。
○ 昨年、3%以上の賃上げを行った中小企業は6割弱、うち価格転嫁ができた企業では7割強となっている。すそ野の広い賃上げの
実現のためには、重層的取引の先端に至るまでサプライチェーン全体での適切な労務費の価格転嫁と製品価格の設定が重要となる。
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・有効求人倍率は、10月1.30、11月1.28、12月1.27、1月1.27(正社員は1.00)となった。
・完全失業率は、9月2.6%、10月2.5%、11月2.5%、12月2.5%、1月2.4となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
・昨年10-12月期の企業収益は、経常利益・営業利益ともに10-12月期として過去最高となるなど、総じて改善が継続している。
他方、1月の生産活動は、一部自動車メーカーの生産停止により低下した。輸送機械では2月も減少が続く見込みとなっている。
・自動車産業は裾野が広く、関連品目の生産も低下した。また、半導体品目の一部では、令和6年能登半島地震の影響もみられる。
・こうした中、1-3月期の大企業の景況感は、製造業で大きくマイナスとなった。ただし、4-6月期以降の先行きは改善した。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
・2023年10-12月期の設備投資は、実質前期比プラス2.0%と上方改定、名目金額(年率換算)は1991年以来初めて100兆円を超えた。
半導体や自動車関連で生産能力強化のための工場新設等の投資が実行され始め、契約金等の支払が進んでいる結果とみられる。
・他方、企業の高い投資計画に比べ、実際の投資の伸びは依然、例年より弱く、引き続き供給制約等の影響に留意が必要となる。
・2024年度の投資計画(2月15日時点調査)は、2023年度の高い実績見込み(9.3%)の後、前年度比7.5%の強い伸びとなっている。
○ 業況判断は、改善している。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2023年3月+1、6月+5、9月+9、12月+12、2024年3月+8。
「大企業・非製造業」は、2023年3月+20、6月+23、9月+27、12月+30、2024年3月+24。
「中小企業・製造業」は、2023年3月▲6、6月▲5、9月▲5、12月+1、2024年3月▲1。
「中小企業・非製造業」は、2023年3月+8、6月+11、9月+12、12月+14、2024年3月+7。
○ 生産は、持ち直しに向かっていたものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ生産活動が低下している。
・鉱工業生産指数は前月比で、11月▲0.6%、12月+1.2%、1月▲6.7%、2月(予測)+4.8%、3月(予測)+2.0%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、+10月+0.3%、11月+1.6%、12月+4.4%、1月▲6.1%。
・電子部品・デバイスは前月比で、10月+6.6%、11月▲0.9%、12月+2.0%、1月▲4.0%。
・輸送機械は前月比で、10月+2.2%、11月▲1.6%、12月+2.0%、1月▲9.9%。
外需
○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入はこのところ弱含んでいる。
・財の輸出は、アメリカ向けは増加傾向が続く一方、欧州向けが弱く、アジア向けも持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・インバウンドについて、訪日外客数は2月として過去最高となった。一人当たり旅行消費額は欧州等からの旅行者が高い。
・財の輸入は、弱含みとなっている。紅海危機の影響により、1月は、欧州からの輸入について、海上輸送割合が高いワイン、
化粧品、自動車部分品等の輸入が大幅に減少した。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2月ぶりに上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、11月±0.0、12月+1.0、1月▲1.6、2月+1.1。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、11月+1.0、12月+0.1、1月+2.1、2月+0.5。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待
される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。
・実質GDP成長率は、23年10-12月期で前年比+5.2%(前期比+4.1%)。
・消費は持ち直しに足踏みがみられる。
・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・財輸出はおおむね横ばいとなっている。
・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・新築住宅販売価格は下落している。
・消費者物価は下落した。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きに足踏みがみられる。
【全国人民代表大会(3/5~11) 主な目標・政策方針(決定)】
○ 24年の成長率目標は5%程度。(23年目標5%程度、実績5.2%)
○ 現状認識:①有効需要が不足し、一部産業(鉄鋼、不動産等)の 生産能力が過剰。
②雇用機会不足とミスマッチ失業が併存。
③一部地方の財政がひっ迫。
○ 財政拡大: 新たに超長期特別国債を発行、24年は1兆元(対GDP比0.8%)。
地方特別債の発行枠:3.9兆元(23年目標3.8兆元)
財政赤字目標は対GDP比3%で維持。
○ 耐久財消費の拡大:自動車の買替え促進(老朽車の強制廃棄を執行)、
自動車ローン頭金比率(現行20%以上)の引下げ等。
○ 重点分野のリスクの防止・解消: 不動産企業の資金需要を支援、ビジネスモデルを刷新。
地方政府の債務リスク解消と行政の安定運営を一体的に推進。
○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。
・韓国経済は、世界的な半導体需要の持ち直しにより、景気は持ち直しの動きがみられる。長期的にみると、1997年のアジア
通貨危機後、 安定的なマクロ経済環境の維持に努めたこともあって着実に成長し、2023年の一人当たり名目GDPは3.3万ドル。
・他方、合計特殊出生率は0.72と低く、人口は50年後(2072年)には約3,600万人に減少することが見込まれている。
○ インドでは、景気は回復している。
○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による
下振れリスクに留意する必要がある。
・アメリカの一人当たり名目GDPは約8.2万ドルで、日本の約2.4倍。長期的にみると実質GDPはおおむね2%以上の成長率
で推移。
足下では6四半期連続で2%以上のプラス成長が継続し、2023年は2.5%。2024年も2%程度の見通し。
・安定的な物価上昇と、それを超える名目賃金の上昇に支えられた個人消費の増加が、内需主導の経済成長をけん引している。
・2008年の世界金融危機のような大きな経済的ショックに見舞われても、デフレには陥っていない。
・アメリカは世界の名目GDPの約25%を占める最大のマーケットである。2023年の財輸入においては、カナダ・メキシコ・
中国のシェアが全体の約4割となっている。中国のシェアは、2001年のWTO加盟後に急上昇した。2009年以降首位で
あったが、米中貿易摩擦を契機に、2023年のシェアは2位に低下した。対内直接投資残高では日本は首位である。
・コロナ禍後の就業者数をみると、55歳以上は伸びが停滞しており、外国生まれ労働者の増加にもかかわらず、労働供給の不足
が継続している。株価上昇を背景とした金融資産の増加がコロナ禍後の早期引退に繋がっている可能性。名目賃金上昇率は
高水準で推移しており、物価上昇率は鈍化傾向にあるものの、金融政策に与える影響に留意が必要である。
・2023年10-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+3.2%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・2月の失業率は3.9%となった。
○ 設備投資は緩やかに増加している。
○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 生産はおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
○ 財輸出は緩やかに増加した。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。
・23年10-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは▲1.4%、ドイツは▲1.1%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.3%(2月)、イギリス+5.5%(1月)。
○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。イギリスのサービス輸出はおおむね横ばいとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。
2024年
2月
21日
水
月例経済報告(R6.2.21) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、 世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外 景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の 影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の 経済に与える影響に十分留意する必要がある。
|
○ 北陸地域の景気ウォッチャーからは、令和6年能登半島地震の影響について、地域の景気への影響や自粛ムードが長引くこと
などを懸念するコメントが多く寄せられている。先行きについては、北陸新幹線延伸や北陸応援割、復興需要に期待するコメント
もみられる。
○ 地震で被災したサプライヤー企業からの部品調達が滞り、県外でも一部で生産活動に影響が生じている。
○ 北陸地域の人流に関するビックデータをみると、震災直後の落ち込みからもとに戻る動きもみられる。
世界の経済情勢
○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う影響による
下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。
・アメリカは、2023年の実質成長率葉2.5%と、個人消費主導で景気は拡大している。スマートフォンや音楽ライブなどが好調である。
・中東地域の緊迫が続く中で、昨年末から海上貿易はスエズ運河を回避しアフリカの喜望峰周りとなる動きが増加している。また、
昨年末にみられた物流コストの急上昇には一服感がみられるものの、今後の動向には留意が必要である。
GDP速報
○ 2023暦年のGDP成長率は、実質で1.9%、名目で5.7%と高い伸びとなっている。
名目成長率は1991年(6.5%)以来の水準である。
○ 2023年10-12月期(1次速報)のGDP成長率は、実質では前期比▲0.1%と2四半期連続のマイナスの一方、名目では同+0.3%と2四半期
ぶりのプラスとなった。名目GDPの実額は596兆円と過去最高を更新した。
○ 実質GDP成長率の内訳をみると、外需はプラスに寄与した一方、個人消費はマイナス0.2%、設備投資はマイナス0.1%と3四半期連続
マイナスとなった。また、内需は力強さに欠ける。
★ 日本とドイツの比較
・2023年のドイツの名目GDPは、米ドル換算で日本を上回った。
米ドル換算のGDPは、為替レートの影響を受けること、また、日本に比べ、ドイツの物価上昇率が高いことに留意が必要で
ある。ただし、ドイツは、日本の3分の2の人口、約6割の就業者数、約8割の労働時間で日本と同程度の名目GDPを実現し、
生産性が高い。
・ドイツは、2000年以降、平均で実質1%、名目2%以上の成長を実現した。
日本では、バブル崩壊以降の約30年の間、デフレ心理と コストカットの縮み志向の中、名目・実質ともに低成長となって
いる。デフレから脱却し、経済を熱量溢れる新たなステージに移行 させる千載一遇のチャンスを逃さず、「物価上昇を上回る
賃上げ」の実現と潜在成長率の引上げに取り組むことが必須となる。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。
・個人消費は、サービス消費回復の一服に加え、物価上昇や暖冬の影響もあり、半耐久財や非耐久財が減少した。一方、雇用環境
の改善に加え、物価上昇の落ち着きにより、消費者マインドは持ち直し、実質総雇用者所得も持ち直しの動きが見られる。
・コロナ禍で積み上がった超過貯蓄は、アメリカでは取り崩しが進む一方、日本では取り崩しは限定的となっている。賃金・所得の
増加が継続していくという成長期待が重要となる。
・本年開始の新NISAに向け、口座開設数は、30~40代を中心に増加。貯蓄から投資への流れも期待される。
・実質総消費動向指数は、前期比で、9月0.1%、10月0.0%、11月▲0.1%、12月▲0.1%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、9月▲1.0%、10月+0.5%、11月+0.4%、12月+1.1%、1月+0.8%。
・12月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.5%となった。
物価
○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。
消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。
・消費者物価の前年比は、昨年1月のピーク時は4.3%まで上昇したが、激変緩和措置もあり、足下は2%台で推移している。
・財のうち食料品については、昨年までの値上げラッシュが一服。2024年の年明け後の値上げについては、原材料高等を理由と
する企業の割合が低下し、人件費の転嫁を理由とする割合が増加した。
・サービス物価の上昇も、当初は、原材料高を受けた外食や設備修繕等が中心であったが、昨年以降は、宿泊料に加え、塾や習い事、
理美容など人件費割合が相対的に高い分野の寄与が徐々に高まってきている。人件費を含む適切な価格転嫁が着実に進展していく
ことが、賃金と物価の好循環のために重要となる。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は弱含んでいる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲1.5%、10月+0.1%、11月▲2.0%、12月+3.1%。
・持家着工数は前月比で、8月+5.8%、9月▲9.3%、10月▲6.6%、11月+1.7%、12月+1.7%。
・貸家着工数は前月比で、8月▲4.4%、9月+4.8%、10月+0.9%、11月▲2.7%、12月+0.6%。
・分譲着工数は前月比で、8月+17.0%、9月▲2.0%、10月+5.0%、11月▲4.8%、12月+9.1%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9月+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲3.3%(出来高▲0.3%)、11月+4.3%
(出来高▲0.6%)、12月+5.7%(出来高+0.9%)、1月▲4.5%。
雇用・賃金の動向
○ 一般労働者の賃金は1%台の上昇の一方、パート労働者の時給は、需給のひっ迫や最低賃金引上げもあり足下で4%まで上昇した。
2023年の一般労働者の賃金上昇率をみると、若年層で高めとなっている。
○ 主要国やデフレ前の日本では、物価上昇と労働生産性向上が名目賃金上昇をけん引している。物価上昇を賃金に反映させ、物価
に負けない名目賃金上昇率を実現・継続し、賃金と物価の好循環を回すとともに、労働生産性を高めていくことが重要となる。
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・有効求人倍率は、9月1.29、10月1.30、11月1.28、12月1.27(正社員は1.00)となった。
・完全失業率は、8月2.7%、9月2.6%、10月2.5%、11月2.5%、12月2.4%となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。
・企業の設備投資意欲は高いが、実際の設備投資には必ずしも結び付いていない。建設投資(工事出来高)は、これまでの大型工事
の一服で減少傾向にあったが、建築工事費予定額は持ち直しており、今後、建設投資につながることが期待される。
・建設技能者は不足しており、特にエレベーターの設置等に携わる電気工事士等では過去最高水準の不足超となった。こうした中、
エレベーター等の建設関連設備は受注が伸び、需要は堅調である一方、受注残が積み上がっている。
・電工や配管工の就業者数は、長期的に減少傾向が続き、過去20年でそれぞれ10万人強ずつ減少している。
○ 業況判断は、改善している。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2023年3月+1、6月+5、9月+9、12月+12、2024年3月+8。
「大企業・非製造業」は、2023年3月+20、6月+23、9月+27、12月+30、2024年3月+24。
「中小企業・製造業」は、2023年3月▲6、6月▲5、9月▲5、12月+1、2024年3月▲1。
「中小企業・非製造業」は、2023年3月+8、6月+11、9月+12、12月+14、2024年3月+7。
○ 生産は、持ち直しに向かっていたものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ生産活動が低下している。
・鉱工業生産指数は前月比で、10月+1.3%、11月▲0.9%、12月+1.4%、1月(予測)▲6.2%、2月(予測)+2.2%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲3.4%、+10月+0.3%、11月+1.6%、12月+4.4%。
・電子部品・デバイスは前月比で、9月▲0.2%、10月+6.6%、11月▲0.9%、12月+2.0%。
・輸送機械は前月比で、9月+4.2%、10月+2.2%、11月▲1.6%、12月+2.0%。
外需
○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。
・2023年の経常収支は、海外からの配当受取等の第一次所得収支が過去最高水準となる中で、コロナ禍前並みの黒字となった。
・財の貿易収支は、自動車等の輸出増加と、鉱物性燃料の価格下落を受けた輸入減少により、2022年に比べ赤字幅が縮小した。
・サービス収支は、輸出面では、インバウンドの回復等を受けて増加した。一方、輸入面では、デジタル関連や保険分野の輸入が
増加し、収支は引き続き赤字である。デジタルや知財等のサービス分野の競争力強化も重要となる。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、10月▲0.4、11月±0.0、12月+1.0、1月▲1.6。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、10月▲1.1、11月+1.0、12月+0.1、1月+2.1。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待
される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。
・実質GDP成長率は、23年10-12月期で前年比+5.2%(前期比+4.1%)。
・消費は持ち直しに足踏みがみられる。
・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・財輸出はおおむね横ばいとなっている。
・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・新築住宅販売価格は下落している。
・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価は下落した。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。
○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による
下振れリスクに留意する必要がある。
・2023年10-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+3.3%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・1月の失業率は3.7%となった。
○ 設備投資は緩やかに増加している。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
○ 財輸出は緩やかに増加した。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。
・23年10-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.2% (イギリスは▲1.4%、ドイツは▲0.3%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.6%(1月)、イギリス+5.5%(1月)。
○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。
○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。
2024年
1月
25日
木
月例経済報告(R6.1.25) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復して いる。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、 物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に 十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に 与える影響に十分留意する必要がある。
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○ 令和6年能登半島地震では、住宅や道路・港湾施設等のストックの損壊に加え、停電や断水が広範に発生した。これらは、地域住民
の生活のみならず、生産や物流、観光等を通じて幅広く経済に影響を及ぼしている。
○ 能登半島地震による経済への影響を分析する一環として、東日本大震災や熊本地震の際の試算方法を踏まえ、市町村ごとの震度や
被害状況に応じて、過去の大地震における損壊率を参照しつつ、ストックの毀損状況を暫定的に試算した。
○ 今回の試算は被害額を積み上げたものではなく、市町村ごとの震度に基づいた機械的な試算であり、幅をもってみる必要がある。
世界の経済情勢
○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う 影響に
よる下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。
GDP速報
○ 2023年7-9月期のGDP2次速報では、名目GDPは横ばいの一方、実質成長率は前期比▲0.7%(年率▲2.9%)となった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直している。
・消費者マインドは、昨年秋以降、持ち直しに足踏みがみられていたが、雇用環境の改善や食料品等の物価上昇の落ち着きを反映
して、再び持ち直している。世帯属性を問わず、持ち直している。
・コロナ禍を経て、オンライン消費は大きく増加した。特に、60代以上の高齢世帯の伸びが大きい。一方、他の主要国と比較すると、
オンライン消費には更なる拡大の余地がある。
・個人消費に占める分野別支出の割合を他の主要国と比較すると、我が国は、飲食料品の割合が高い一方、娯楽やスポーツ・文化、
外食・宿泊サービスが低い。これらのサービス消費は、一人当たり支出金額でも、他国より低い。
・この30年間の一人当たり支出額をみると、高齢化で医療関係、IT化で通信関係が伸びる一方、娯楽・スポーツ・文化は減少した。
余暇時間を比較すると、我が国は、男性を中心に低い水準となっている。働き方改革による長時間労働の抑制、有給休暇取得の促進
は、ウェルビーイング向上とともに、時間消費型のサービス消費の拡大に資することが期待される。
・実質総消費動向指数は、前期比で、8月▲0.1%、9月0.1%、10月+0.1%、11月0.0%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、8月▲0.9%、9月▲1.0%、10月+0.5%、11月+0.4%、12月+1.1%。
・11月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。
物価
○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、このところ上昇している。
消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。
・消費者物価は、食料品値上げ一服により2%台で緩やかに上昇。電気・ガスの激変緩和措置等は、これまでの物価上昇を和らげる
ことに寄与している。
・コロナ禍以前の米欧の物価上昇はサービスの寄与が大きく、日本でもコロナ禍前に比べてサービスの寄与は高まりつつある。
人件費の割合が高いサービス分野で、賃金上昇が価格に転嫁され、賃金と物価がともに持続的に上昇していくことが重要となって
くる。
・物価上昇の主因は、食料品など財からサービスへとシフトしつつある。アメリカでは、物価は、財を中心に落ち着きつつある一方
で、堅調なサービス需要を背景に2%を上回る伸びとなっている。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は弱含んでいる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8月+4.4%、9月▲1.5%、10月+1.0%、11月▲4.0%。
・持家着工数は前月比で、7月+1.0%、8月+5.8%、9月▲9.3%、10月▲8.4%、11月+0.9%。
・貸家着工数は前月比で、7月+1.5%、8月▲4.4%、9月+4.8%、10月+1.8%、11月▲5.6%。
・分譲着工数は前月比で、7月▲16.0%、8月+17.0%、9月▲2.0%、10月+8.5%、11月▲6.6%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9月+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲7.9%
(出来高▲0.3%)、11月+7.0%(出来高▲0.6%)、12月+9.2%。
雇用・賃金の動向
○ 企業の人手不足感はバブル期以降最高水準に高まる一方で、ハローワーク(公共職業安定所)の有効求人倍率は横ばい傾向と、
両者に乖離がみられる。デジタル化に伴う求職手段の多様化が進む中、ハローワークを経由した就職者の割合は15%程度まで低下し、
民間職業紹介所等が増加した。
ハローワーク利用者は若年層で減少し、高齢者の利用は増加した。
○ 民間職業紹介を通じた正社員の求人は着実に増加している。さらに、近年は、すき間時間を活用したスポットワークという形で、アプリ
を通じた短時間の就業のマッチングも増加した。
○ 転職の希望者は、男女ともに正社員を中心に1,000万人超(就業者の15%)まで増加した。賃金の上昇圧力につながる可能性を含んで
いる。転職希望者の割合は、男女とも25~34歳で最も高く約25%となっている。
○ 今年の春闘に向け、経営側からは、2023年以上の意気込みと決意が示されており、特に物価動向を重視し、ベースアップを念頭に
おいた賃金引上げを各企業に要請している。また、労働側からは昨年を大きく上回るベースアップの要求額が示されている
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・有効求人倍率は、8月1.29、9月1.29、10月1.30、11月1.28(正社員は1.01)となった。
・完全失業率は、7月2.7%、8月2.7%、9月2.6%、10月2.5%、11月2.5%となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。
○ 業況判断は、改善している。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2023年3月+1、6月+5、9月+9、12月+12、2024年3月+8。
「大企業・非製造業」は、2023年3月+20、6月+23、9月+27、12月+30、2024年3月+24。
「中小企業・製造業」は、2023年3月▲6、6月▲5、9月▲5、12月+1、2024年3月▲1。
「中小企業・非製造業」は、2023年3月+8、6月+11、9月+12、12月+14、2024年3月+7。
○ 生産は、持ち直しの兆しがみられる。
・生産は、世界的な半導体需要の底打ちから、電子部品・デバイスが持ち直すなど、持ち直しの兆しがみられる。一方、一部自動車
メーカーにおける国の認証制度に係る不正問題により生産・出荷が停止されたことから、輸送用機械の生産への下押し、サプライ
チェーン企業への影響に留意が必要である。
・鉱工業生産指数は前月比で、9月+0.5%、10月+1.3%、11月▲0.9%、12月+6.0%(予測)、1月▲7.2%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8月▲0.5%、9月▲3.4%、+10月+0.3%、11月+1.6%。
・電子部品・デバイスは前月比で、8月+0.5%、9月▲0.2%、10月+6.6%、11月▲0.9%。
・輸送機械は前月比で、8月▲3.7%、9月+4.2%、10月+2.2%、11月▲1.6%。
外需
○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。
・輸出は、欧州経済の弱さを受けてEU向け輸出が弱含んでおり、持ち直しの動きに足踏みがみられる。工作機械等の金属加工機械
は中国からの受注が弱く軟調の一方、建設・鉱山用機械は米国向け等で堅調、半導体関連も今後の持ち直しが期待される。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、9月▲3.7、10月▲0.4、11月±0.0、12月+1.2。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月ぶりに下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、9月▲1.9、10月▲1.1、11月+1.0、12月▲0.3。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待
される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。
・2023年10-12月期の成長率は、前期比年率4.1%に減速した。国内需要が伸び悩む中、一部品目は輸出に向かい、輸出価格は
下落傾向にある。不動産市場の停滞が続き、住宅価格は下落傾向となっている。若年失業率は12月は14.9%と高水準となった。
・実質GDP成長率は、23年10-12月期で前年比+5.2%(前期比+4.1%)。
・消費は持ち直しに足踏みがみられる。
・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・財輸出はおおむね横ばいとなっている。
・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・新築住宅販売価格は下落している。
・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価は下落した。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。
○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。
○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による
下振れリスクに留意する必要がある。
・2023年7-9月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+4.9%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・12月の失業率は3.7%となった。
○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化している。
・設備投資は、インフレ抑制法や半導体法等を受けて、製造業による投資が大幅に増加したことにより、構築物投資(工場建設等)
が増加傾向となっている。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
・背景には家計のバランスシートの改善があり、総資産に対する負債の比率は過去 20年間で最低水準となっている。ただし、
低所得者層の預金水準はコロナ禍前を下回っている。クレジットカードローンの 新規延滞率は上昇傾向であるが、過去に比べ
低水準となっている。
○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。
○ コア物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。
○ 財輸出は緩やかに増加した。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。
・23年7-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.5% (イギリスは▲0.5%、ドイツは▲0.5%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.9%(12月)、イギリス+5.8%(12月)。
○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。
○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。
2024年
1月
01日
月
あけましておめでとうございます。
皆様には、輝かしい新年をお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。
「甲(きのえ)」は、十干の一番初めにあたり、生命や物事の始まりを意味し、「辰(たつ)」は、いろんな妨害と闘いながら前進していく
という意味をもっているといわれております。
昨年5月から、新型コロナウイルス感染症がインフルエンザと同じ五類感染症となり、コロナ禍からアフターコロナへと変遷する中で、
平穏な日常を取り戻すため、皆様と共に一丸となって取り組んできた成果が顕れつつあります。
一方で、一昨年のロシアのウクライナ侵攻以降、昨年もイスラエルとイスラム組織ハマスの中東での紛争の勃発等、国際社会は戦後
最大の試練の時を迎え、政治経済や軍事にわたる各国の競争が顕在化し、世界は歴史の分岐点を迎えています。
こうした中、戦後一貫して平和国家としての歩みを進めてきたわが国として、まず優先されるべきは、外交努力であることは言うまでも
ありません。国際情勢の変化、それに伴う物資の価格上昇等、国内外のさまざまな課題から国民の皆様の不安を払拭しなければなり
ません。
政府与党では今、物価高への対応をはじめ、コストカット型経済の克服、人口減少少子化対策、利用者起点に立ったデジタル化や
防衛力強化等、国民が直面する課題に不撓不屈の覚悟をもって立ち向かい、「明日は今日よりきっと良くなる」と信じられる時代の実現
のために果敢に取り組んでおります。
「甲辰(きのえ・たつ)」の今年は、我が国が更なる成長を遂げるため、様々な課題や困難に打ち克ち、躍進していくための大切な一年
になるといえるのではないでしょうか。
旧年中は大変お世話になりました。
昨年4月27日、院議をもって永年在職25年の表彰を拝受いたしました。これもひとえに皆様のご支援の賜物と、心より感謝申し上げ
ます。12月26日には皇居にて天皇皇后両陛下の拝謁を賜りました。永年在職表彰議員を代表して、両陛下にご挨拶申し上げました。
月日の経つのは早いもので、参議院議員として6年、衆議院議員として今年で20年目となる中、農林水産大臣、衆議院農林水産
委員長、自民党国会対策委員長、同選挙対策委員長等を務めさせていただき、昨年9月13日の自民党役員人事で総務会長を拝命
いたしました。
総務会は、自民党の常設の最高意思決定機関で、党運営や国会活動の重要事項を審議決定し、全会一致を原則としております。
国内外に山積する諸課題解決のため、これまでの自民党の伝統を守りつつ、闊達な議論を深めるとともに真摯な審議に務め、これ
までの経験を活かし、精魂込めて取り組んでまいります。
まもなく、第213回通常国会が召集されます。地方創生や国土強靭化等、国政の諸課題に果敢に立ち向かってまいります。
引き続き、ご指導くださいますようお願い申し上げます。
鹿児島県の令和4年の農業産出額は、前年同様全国2位、対前年増減率2.3%の増加となりました。
和牛のみならず、お茶、養殖ブリ など、国際的にも評価の高い産品は多く、令和4年度の鹿児島県産の農林水産物の輸出額は、
令和3年度の実績を超え、過去最高の327億円となりました。私の故郷であり、選挙区の大隅・霧島・熊毛も大きく貢献しており、日本
の食糧供給基地としての役割を担える地域であると自負しております。黒毛和牛をはじめ豚、ブロイラー、さつまいも等は、日本有数
の産地であり、各市町村の農業生産額も伸びてきております。
一方、人口減少で産業構造が弱体化してきている中で、昨今のコロナ禍や国際情勢の緊迫化といった新たなリスクの発生により、
食料安全保障上の懸念と関心は高まりつつあります。生産資材価格や燃料価格の高騰の影響は農業者の経営や農業基盤の維持
に大きく影を落としており、農地や資材・人材の確保・流通、消費の合理化等、国政の多岐にわたって、リスクを再整理し、食料や
生産資材の輸入依存脱却など、日本の農政の大転換を計っていかなければなりません。
政府与党では、農政の基本理念や政策の方向性の指針となる「食料・農業・農村基本法」を見直し、来たる通常国会で25年ぶり
の法改正をめざし、分科会ごとの案の取りまとめに入っております。私も検証プロジェクトチームの座長として、議論を進めており
ますが、食糧の安全保障をはじめ、今後の日本農業の針路を定める大切な基本法となります。食料安全保障の根本は人と農地
です。農地と農家の方々の確保が喫緊の課題であり、特に、農地総量の確保は食料・農業・農村基本法見直しの一丁目一番地
であると考えております。
日本の食糧の自給率の向上と農家の皆様が安心して経営できる農業政策をめざし、最善を尽くして参ります。
同時に、交通網の整備、農業環境の整備等を図りつつ、地域を大きく発展させることも肝要です。先月3日に、国道220号牛根境
防災事が着工の運びとなり、令和6年度中の、都城志布志道路の完成に向けて努力しているところであります。
今後とも、「大隅・霧島・熊毛の元気が日本の未来をひらく!」を政治信条に、ふるさと・鹿児島と国家の進展のために、今年も
精魂込めて努力して参ります。
本年も引き続き、皆様のご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます。
令和6年元旦
2023年
12月
19日
火
月例経済報告(R5.12.19) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復して いる。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、 物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に 十分注意する必要がある。
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世界の経済情勢
○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
・欧米の物価上昇率は低下傾向にある中で、政策金利は秋以降据置きとなった。今後も物価上昇率は低下する見通しとなって
いる。
・ 2024年の世界経済は、これまでの欧米の金融引締め等を受けて、やや減速する見通しとなっている。
なお、アメリカの年末商戦は、ネット販売等が好調であり、足下の消費は増加基調となっている。
・中国では、不動産市場の停滞が継続している。不動産貸出残高の対GDP比は2020年にピークアウトしたが、日本のバブル期
よりも規模が大きい。
消費者物価は、特殊要因もあり下落した。
・台湾の景気は、世界的に半導体需要が持ち直す中で持ち直しの動きとなっている。輸出は情報通信機器が急増した。
・今後、中国の成長率は徐々に低下する中で、インド、ASEANの成長率が上回っていく見通しとなっている。
GDP速報
○ 2023年7-9月期のGDP2次速報では、名目GDPは横ばいの一方、実質成長率は前期比▲0.7%(年率▲2.9%)となった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直している。
・家計可処分所得は、名目では雇用者報酬を中心に増加基調だが、物価上昇に追いついておらず、実質で減少した。総合経済対策
の着実な実行により、名目可処分所得が物価上昇を上回る状況を確かなものとする必要がある。
・新型コロナの5類移行後初の年末年始となり、鉄道予約や国内旅行人数はほぼコロナ前に回復の見込みとなっており、忘年会・
新年会開催も増加となった。
・POSデータ(どの商品が、いつ・どこで・いくらで・どのくらい販売されたか、という情報を含む販売実績のデータ)では、コンビニは価格
転嫁で販売数量は減少しているが、商品入替もあって売上高は増加が継続している。
・実質総消費動向指数は、前期比で、7月0.0%、8月▲0.1%、9月0.0%、10月+0.1%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、7月+0.9%、8月▲0.9%、9月▲1.0%、10月+0.5%、11月+0.4%。
・10月の実質総雇用者所得は、前期比で▲1.2%となった。
物価
○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、このところ上昇している。
消費者物価は、このところ上昇テンポが緩やかになっている。
・財の企業間取引価格を示す国内企業物価指数は、2021年以降、世界的な物価上昇を起点に上昇してきたが、 足下では、資源
価格の下落の影響もあって横ばいで推移している。
サービスの企業間取引価格を示す企業向けサービス価格指数は、財に遅れて、価格転嫁が進み、2022年以降緩やかに上昇して
いる。
・この結果、財・サービスともに、コロナ前の物価が動かない状態から、幅広い品目にわたって物価が上昇する姿に変化しつつ
ある。
・消費者物価は、前年同月比の上昇率が低下傾向にあるなど、上昇テンポが緩やかとなった。
背景には、食料品等で値上げが一服したことによる上昇幅の縮小がある。
・こうした中、5%以上の高い物価上昇を予測する家計の割合は縮小し、5%未満を予想する家計の割合が、2022年2月以来、初めて
逆転した。
・物価上昇品目の割合は増加し、広がりが見られつつあり、デフレ前の1980年代の姿に近くなっている。
★ 企業の価格転嫁の動向
・ 素材型製造業では、 2008年のリーマンショック前に仕入価格が大きく上昇した時は販売価格の上昇は限定的 だったが、
今回の物価上昇局面では、仕入価格が2008年並みに上昇する中、販売価格への転嫁が進んだ。
・ 加工型製造業や非製造業では、この30年間、販売価格引上げ企業の割合が十分高まらなかったが、今回は販売価格への
転嫁が進展した。なお、非製造業は、1980年代~90年代初めは仕入と販売価格の動向が連動している。
・ 仕入価格の販売価格への転嫁は、デフレに陥る前の1990年代前半までの姿に近づいている可能性がある。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は弱含んでいる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7月▲4.1%、8月+4.4%、9月▲1.5%、10月+1.0%。
・持家着工数は前月比で、6月+0.1%、7月+1.0%、8月+5.8%、9月▲9.3%、10月▲8.4%。
・貸家着工数は前月比で、6月▲8.9%、7月+1.5%、8月▲4.4%、9月+4.8%、10月+1.8%。
・分譲着工数は前月比で、6月▲5.9%、7月▲16.0%、8月+17.0%、9月▲2.0%、10月+8.5%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9月+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲7.9%、
11月+7.0%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・企業が賃上げで重視した要素は、「労働力確保」がバブル期以来、「物価動向」が40年ぶりの高さにとなった。
・中小企業では、原材料費に比べ、労務費の転嫁ができていない。持続的な賃上げの実現に向けて、労務費を転嫁できる取引
環境の整備が重要である。
・本年10月の最低賃金引上げにより、コンビニやファストフードを中心に募集時賃金が上昇した。
配偶者のいる非正規雇用の女性では、「年収の壁」を超える労働時間で働く人が増えている可能性がある。
・有効求人倍率は、7月1.29、8月1.29、9月1.29、10月1.30(正社員は1.01)となった。
・完全失業率は、6月2.5%、7月2.7%、8月2.7%、9月2.6%、10月2.5%となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
・2023年7-9月期は、企業の経常利益・営業利益ともに過去最高となった。売上高に対する利益の比率も過去最高水準となった。
企業部門の好調さを設備投資や賃金に回していくことが重要。
・非製造業の業況判断DIは、引き続き、バブル期以降の最高水準となった。
製造業 では、大企業の業況判断DIが3期連続で改善し、中小企業も2019年3月以来初めてプラスに転じた。
○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。
・2023年度の企業の設備投資計画は、12月時点で前年度比+12.6%と、引き続き投資マインドは堅調である。
・機械投資は、受注残高は高水準。実際に工場等に納入された時点で、投資として顕在化している。
・建設投資(出来高)は、2022年前半着工の大型案件の工事進捗の一服もあって減少しているが、2023年秋か ら着工は再び増加
しており、今後の投資として計上される見込みとなっている。
・ソフトウェア投資は非製造業を中心に増加傾向が続き、研究開発投資も堅調に増加の見込みとなっている。
○ 業況判断は、改善している。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2023年3月+1、6月+5、9月+9、12月+12、2024年3月+8。
「大企業・非製造業」は、2023年3月+20、6月+23、9月+27、12月+30、2024年3月+24。
「中小企業・製造業」は、2023年3月▲6、6月▲5、9月▲5、12月+1、2024年3月▲1。
「中小企業・非製造業」は、2023年3月+8、6月+11、9月+12、12月+14、2024年3月+7。
○ 生産は、持ち直しの兆しがみられる。
・鉱工業生産指数は前月比で、8月▲0.7%、9月+0.5%、10月+1.3%、11月(予測)▲0.3%、12月(予測)+3.2%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、7月▲4.8%、8月▲0.5%、9月▲3.4%、+10月+0.3%。
・電子部品・デバイスは前月比で、7月▲5.1%、8月+0.5%、9月▲0.2%、10月+6.6%。
・輸送機械は前月比で、7月+0.4%、8月▲3.7%、9月+4.2%、10月+2.2%。
外需
○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 消費者マインドは、持ち直しに足踏みがみられる。
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、前月と同値となった。
・現状・季節調整値DIは前月差で、8月▲0.8、9月▲3.7、10月▲0.4、11月±0.0。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月▲2.7、9月▲1.9、10月▲1.1、11月+1.0。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが
期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。
・実質GDP成長率は、23年7-9月期で前年比+4.9%(前期比+1.3%)。
・消費は持ち直しに足踏みがみられる。
・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・財輸出はおおむね横ばいとなっている。
・固定資産投資は伸びが低下している。
・新築住宅販売価格は下落している。
・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価は下落した。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。
○ 韓国・台湾では、景気は持ち直しの動きがみられる。
○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気は持ち直している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等
による下振れリスクに留意する必要がある。
・2023年7-9月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+5.2%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・11月の失業率は3.7%となった。
○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化している。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。
○ コア物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。
○ 財輸出は緩やかに増加した。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。
・23年7-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.5% (イギリスは▲0.1%、ドイツは▲0.5%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は低下している。イギリスはこのところ低下している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+4.2%(11月)、イギリス+6.3%(10月)。
○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。
○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。
2023年
11月
22日
水
月例経済報告(R5.11.22) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復して いる。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、 物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に 十分注意する必要がある。
|
世界の経済情勢
○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に
伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動の
影響を注視する必要がある。
○ アメリカは、雇用の増勢がコロナ禍前の景気拡大局面の平均水準まで落ち着きつつあり、物価上昇率が低下傾向にある
中で、政策金利はこのところ据置きとなっている。
○ ユーロ圏経済、ドイツ経済及び英国経済は弱含みとなっている。 ドイツの個人消費は、2021年後半以降、横ばいで、背景
には、名目賃金の伸びが物価上昇を超えない状況がある。一方、スペインは、名目賃金の伸びが物価上昇を上回り、個人
消費は持ち直し基調、経済も堅調となっている。
GDPの動向と供給力強化に向けた課題
○ 2023年7-9月期のGDP1次速報では、名目GDPは横ばいの一方、実質成長率は前期比▲0.5%(年率▲2.1%)と3期ぶりに
マイナスとなった。
○ 上場企業の決算をみると、経常利益は、7-9月期としては過去最高を更新した一方、企業の設備投資は、名目では2期ぶり
に増加したものの、実質では2期連続の減少となり、持ち直しに足踏みがみられた。
○ 1980、90年代の景気拡大局面では、労働投入の寄与がわずかなプラスないしマイナスの中、資本投入と生産性の伸びが、
潜在成長率を引き上げていたが、近年はこれらの寄与が縮小している。供給力(潜在成長率)引上げのためには、国内の新規
投資拡大、研究開発や人への投資を通じた生産性向上が喫緊の課題となってくる。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直している。
○ 名目では増加した一方、実質では物価上昇の影響もあり横ばいになった。雇用者報酬は、名目では増加基調にある一方、
実質は、物価上昇の影響で二期ぶりに減少した。
・7-9月の個人消費は、過半を占めるサービスの増加が継続した一方、耐久財を中心に財が減少した。財は、物価上昇の影響
のほか、工場停止を受けた自動車の国内向け販売の減少という一時的要因も影響した。
・外食サービスは、名目・実質ともに緩やかな増加基調にあり、コロナ前水準を超える。コロナ禍で控えられていた年末の
外食需要にも期待できる。
・小売販売を業態別にみると、低価格の食品への需要増加等もあり、ドラッグストアの売上が堅調である。
・実質総消費動向指数は、前期比で、7月0.0%、8月▲0.1%、9月0.0%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、6月+0.2%、7月+0.9%、8月▲0.9%、9月▲1.0%、10月+0.5%。
・9月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.4%となった。
物価
○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、このところ上昇している。
消費者物価は、上昇している。
・食料品は値上げの一服で上昇幅が縮小する一方、生鮮食品は上昇幅が拡大した。特に、猛暑による生育不良でトマトなどの
野菜の価格が高騰している。
・コロナ前と比べると、財の物価上昇に広がりがみられる。サービス業では、労務費増加分の価格転嫁が相対的に限定的と
なった。賃金と物価の好循環の実現に向け、適切な価格転嫁の促進が鍵となる。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は弱含んでいる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6月▲5.9%、7月▲4.1%、8月+4.4%、9月▲1.5%。
・持家着工数は前月比で、5月+0.1%、6月▲0.5%、7月+1.0%、8月+5.8%、9月▲9.3%。
・貸家着工数は前月比で、5月11.3%、6月▲8.9%、7月+1.5%、8月▲4.4%、9月+4.8%。
・分譲着工数は前月比で、5月+23.7%、6月▲5.9%、7月▲16.0%、8月+17.0%、9月▲2.0%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、6月+5.1%(出来高▲5.0%)、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9月+8.5%
(出来高+0.7%)、10月▲7.9%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・就業者数を産業別に見ると、過去5年間で、医療・福祉、情報通信等で大きく増加する一方、卸売・小売では減少、コロナ禍
で大きく減少した宿泊・飲食等は、回復するも依然コロナ前を下回る。
・公定価格の医療・福祉等を除く産業計では、春闘賃上げを反映し、所定内給与で2%程度賃金上昇した。
・ 年末のボーナスは、好調な企業収益等も背景に、現時点では、夏以上の高い伸びが見込まれている。
・我が国の実質賃金上昇率は昨年からマイナスが継続している一方、欧米では足下で前年比プラスに転化した。
・長期的にみると、アメリカでは20年間で平均名目賃金が1.9倍に増加した一方、我が国では横ばいとなっている。職種別に
比較すると、弁護士、ソフトウェア開発、大学教員、トラック運転手などでアメリカとの差が大きい。
・多くの主要国では、長期的に名目賃金上昇率が物価上昇率を上回って推移しているが、日本では、長期的には両者ともゼロ近傍
となっている。
・有効求人倍率は、6月1.30、7月1.29、8月1.29、9月1.29(正社員は1.02)となった。
・完全失業率は、5月2.6%、6月2.5%、7月2.7%、8月2.7%、9月+2.6%となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。
○ 業況判断は、総じてみれば緩やかに改善している。
・ 倒産件数は、コロナ禍を経て経済社会活動が正常化する中、昨年秋以降は増加傾向で推移している。飲食等のサービス業を中心
に、小規模な事業者の倒産が増加した。
・ 民間金融機関を通じた実質無利子無担保融資(ゼロゼロ融資)を受けた中小企業の状況をみると、本年8月末にかけて、据置期間
中の割合が低下し、完済または借り換えの割合が増加した。条件変更や代位弁済の割合は微増となっている。
・ 長期的にみると、足下は、件数・負債金額別の構成比ともにコロナ前と同程度である。なお、バブル期前の1980年代半ばは1500件
前後で、負債金額の構成も異なっていた。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2022年12月+7、2023年3月+1、6月+5、9月+9、12月+10。
「大企業・非製造業」は、2022年12月+19、2023年3月+20、6月+23、9月+27、12月+21。
「中小企業・製造業」は、2022年12月▲2、2023年3月▲6、6月▲5、9月▲5、12月▲2。
「中小企業・非製造業」は、2022年12月+6、2023年3月+8、6月+11、9月+12、12月+8。
○ 生産は、持ち直しの兆しがみられる。
・鉱工業生産指数は前月比で、7月▲1.8%、8月▲0.7%、9月+0.5%、10月(予測)+3.9%、11月(予測)▲2.8%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6月+3.0%、7月▲4.8%、8月▲0.5%、9月▲3.4%。
・電子部品・デバイスは前月比で、6月+6.8%、7月▲5.1%、8月+0.5%、9月▲0.2%。
・輸送機械は前月比で、6月▲2.8%、7月+0.4%、8月▲3.7%、9月+4.2%。
外需
○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 消費者マインドは、持ち直しに足踏みがみられる。
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、7月+0.8、8月▲0.8、9月▲3.7、10月▲0.4。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、7月+1.3、8月▲2.7、9月▲1.9、10月▲1.1。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが
期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。
・実質GDP成長率は、23年7-9月期で前年比+4.9%(前期比+1.3%)。
・消費は持ち直しに足踏みがみられる。
・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・財輸出は弱含みとなっている。
・固定資産投資は伸びが低下している。
・新築住宅販売価格は下落している。
・都市部調査失業率はこのところ低下となっている。
・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。
○ 韓国・台湾では、景気は持ち直しの動きがみられる。
○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気は持ち直している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に
よる下振れリスクに留意する必要がある。
・2023年7-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+4.9%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・10月の失業率は3.9%となった。
○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化している。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。
○ コア物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。
○ 財輸出は緩やかに増加した。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。
・23年7-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは▲0.1%、ドイツは▲0.1%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は低下している。イギリスはこのところ低下している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.0%(10月)、イギリス+6.3%(10月)。
○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
2023年
10月
30日
月
月例経済報告(R5.10.30) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、 中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
|
世界の経済情勢
○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う
影響、物価上昇等による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視
する必要がある。
○ アメリカは、個人消費主導で堅調な成長が続き、景気は回復している。
中国は、不動産市場の停滞や輸出の弱含みが続く中で、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。
欧米の物価上昇率は低下傾向にある。
○ 世界の半導体出荷高は足下では底打ちの動きとなっている。今後は各国の半導体生産や輸出が増加する可能性がある。
○ 中国の貿易構造をみると、2020年以降、EV等を中心に自動車輸出が大幅に増加している。特に、「一帯一路」沿線の中央
アジア・西アジア・ロシア等への輸出が急増している。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直している。
・飲食や宿泊などサービス消費は持ち直しが継続している。家電販売のうち、エアコンや洗濯機は猛暑の影響や共働き需要も
あって増加し、携帯電話は新製品の発売もあり増加した。
・一方、消費者マインドは、食料など身近な品目の物価上昇率の高止まりもあり、持ち直しに足踏みがみられる。40年ぶりの
物価上昇に直面する中、消費者心理は物価動向に、より影響を受けるようになっている。
・30年ぶりとなる新たな経済ステージへの移行の好機を逃さず、賃金と物価の好循環に着実に結び付けていくためには、物価
上昇を上回る継続的な賃上げを実現する中で消費が増加していくことが重要である。
・実質総消費動向指数は、前期比で、6月0.0%、7月+0.1%、8月▲0.1%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、5月+0.6%、6月+0.2%、7月+0.9%、8月▲0.9%、9月▲1.0%。
・8月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。
物価
○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。
消費者物価は、上昇している。
・原油価格は産油国の減産などで本年7月頃から再び上昇し、足下では中東情勢の影響もみられる。それに伴いガソリン価格も
上昇してきたが、9月からは激変緩和事業の新たな措置により、足下では175円程度に抑制されている。
・輸入物価は足下で上昇傾向に転じており、今後の川下の物価への波及にも注意が必要である。
・消費者物価は足下で前年比3%程度で推移。その中で、子育て関係の物価については、授業料や保育料は抑制されている一方、
塾・習い事、紙おむつなどで上昇した。
・食料品価格の上昇が続く中、消費者は、保存性のある品目は低価格の商品にシフトしている可能性がある。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設はこのところ弱含んでいる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、5月+11.8%、6月▲5.9%、7月▲4.1%、8月+4.5%。
・持家着工数は前月比で、4月▲0.8%、5月+0.1%、6月▲0.5%、7月+1.0%、8月+5.8%。
・貸家着工数は前月比で、4月▲12.9%、5月11.3%、6月▲8.9%、7月+1.5%、8月▲4.4%。
・分譲着工数は前月比で、4月▲19.8%、5月+23.7%、6月▲5.9%、7月▲16.0%、8月+17.0%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、5月+3.0%(出来高+2.8%)、6月+5.1%(出来高▲5.0%)、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%
(出来高▲0.4%)、9月+8.5%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・デフレに陥る前の1980年代や90年代前半までは、物価上昇を上回って名目賃金が伸びていたため、実質賃金の伸びがプラス
で推移してきた一方、足下では、物価上昇が名目賃金の伸びを上回り、実質賃金の下落が継続した。デフレ脱却に向けて、
物価上昇に負けない名目賃金の継続的な上昇が重要となってくる。
・宿泊・飲食サービス等の業種では、人手不足感が強まる中で、賃金上昇率に高まりがみられる。
・追加的に労働供給を望み、働くことができる人口は約530万人となった。人手不足の中、意欲のある就業者・就業希望者の
持てる力を十分に発揮できる環境整備が喫緊の課題である。
・労働時間の追加希望がある就業者には、「年収の壁」対策に加え、副業・兼業や転職の後押しが重要となってくる。
・仕事内容や勤務条件等のミスマッチに対しては、効果的なマッチングやリ・スキリングの支援、多様で柔軟な働き方の促進が
重要となってくる。
・有効求人倍率は、5月1.31、6月1.30、7月1.29、8月1.29(正社員は1.02)となった。
・完全失業率は、4月2.6%、5月2.6%、6月2.5%、7月2.7%、8月2.7%となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
・ 中小企業の製造業では厳しさが残るものの、コロナ禍から平時へと移行する中、非製造業の業況判断DIは、大企業・中小
企業ともにバブル期以降の最高水準となった。
・業況が改善する中で、人手不足への対応が課題となっている。雇用人員判断は、業種・規模にかかわらず人手不足感が強まって
いるが、とりわけ中小企業の非製造業では、人手不足感が過去最高水準となっている。
・非製造業の人手不足感は、コロナ禍後の経済正常化やインバウンド復活で需要が回復している宿泊・飲食、建設、運輸など
幅広い業種で拡大した。これら分野の求人倍率は平均を大きく上回る。
・多くの企業は、採用増加等により人手不足に対応している一方、省力化投資を行っている企業は未だ限定的で、人手不足が
厳しい業種では省力化・省人化投資への後押しが重要となってくる。
○ 設備投資は、持ち直している。
・今年度の企業の設備投資計画は前年度比13%増加と、投資マインドは引き続き堅調となっている。ただし、中小企業では、
非製造業で投資意欲の高まりがみられる一方、製造業はやや弱めの伸びである点に留意しなければならない。
・非製造業では、業況が改善し人手不足感が高まる中で、設備にも不足感がある。省力化投資や高付加価値化に資する投資へ
の後押しが重要となってくる。製造業の投資計画は、各地域で堅調である。半導体関連の集積が進む九州では、製造・非製造業
ともに他地域に比べて伸びが顕著となっている。
○ 業況判断は、総じてみれば緩やかに改善している。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2022年12月+7、2023年3月+1、6月+5、9月+9、12月+10。
「大企業・非製造業」は、2022年12月+19、2023年3月+20、6月+23、9月+27、12月+21。
「中小企業・製造業」は、2022年12月▲2、2023年3月▲6、6月▲5、9月▲5、12月▲2。
「中小企業・非製造業」は、2022年12月+6、2023年3月+8、6月+11、9月+12、12月+8。
○ 生産は、持ち直しの兆しがみられる。
・鉱工業生産指数は前月比で、6月+2.4%、7月▲1.8、8月▲0.7%、9月(予測)+5.8%、10月(予測)+3.8%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、5月+3.6%、6月+3.0%、7月▲4.8%、8月▲0.5%。
・電子部品・デバイスは前月比で、5月0.0%、6月+6.8%、7月▲5.1%、8月+0.5%。
・輸送機械は前月比で、5月▲4.0%、6月▲2.8%、7月+0.4%、8月▲3.7%。
外需
○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、6月▲1.4、7月+0.8、8月▲0.8、9月▲3.7。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、6月▲1.6、7月+1.3、8月▲2.7、9月▲1.9。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。 先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが
期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。
・実質GDP成長率は、23年7-9月期で前年比+4.9%(前期比+1.3%)。
・消費は持ち直しに足踏みがみられる。
・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・輸出はこのところ弱含みとなっている。
・固定資産投資は伸びが低下している。
・新築住宅販売価格はこのところ下落している。
・都市部調査失業率はこのところ低下となっている。
・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。
○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。
○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。
○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気は持ち直している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に
よる下振れリスクに留意する必要がある。
・2023年4-6月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.1%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・9月の失業率は3.8%となった。
○ 設備投資は緩やかに増加している。
○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。
○ コア物価上昇率はこのところやや低下した。
○ 財輸出は緩やかに増加した。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態に、ドイツでは弱含んでいる。
・23年4-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.6% (イギリスは+0.8%、ドイツは+0.1%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ低下している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.5%(9月)、イギリス+6.8%(9月)。
○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。
2023年
9月
26日
火
月例経済報告(R5.9.26) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価 上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
|
世界の経済情勢
○ アメリカ経済は回復しているものの、中国は持ち直しの動きに足踏み、ドイツを始め欧州も足踏み状態となっている。
○ 24年の世界経済は減速の見通しとなった。中国における不動産市場の停滞による下振れリスクに注意する必要がある。
・中国の輸出入は、18年以降、米中貿易摩擦を受け減速している。感染症収束後の現在も輸出入ともに弱含んでいる。
・ドイツは、中国向け輸出が20年以降停滞している。景況感は大幅に悪化した。ドイツ政府は、国内企業の競争力強化の
ための経済対策を発表した。
※「経済拠点としてのドイツのための計画」 (8/29公表)ポイント
〇「成長機会法」を決定
2028年まで年間70億ユーロ(1.1兆円)規模
・研究開発費用の損金算入を現行の3倍へ引上げ。
・グリーン技術投資に対して15%を補助。
・中小企業への研究開発補助金の補助率 を引上げ(25%→35%)。 等
日本の実質GDP成長率
○ 2023年4-6月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+1.2%(年率+4.8%)となり、実質GDPはコロナ前の水準を
超え、過去最高になった。
・GDPギャップは解消に向かい、23年4-6月期には、3年3四半期ぶりにプラスに転換したものの小幅であり、また、外需の
高い伸びによるものである。今後、内需中心の成長により、プラス傾向が安定的に続いていくことが重要となる。
・一方、潜在成長率(潜在GDPの伸び率)は、G7諸国の中で最も低い。供給力の強化が課題である。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直している。
・雇用・所得環境の改善が続く下、家計調査(2人以上世帯)は弱い一方で、供給側の動きを捉えた指標やカード支出データ等の
様々な指標によると、個人消費は持ち直してきている。
・物価高が続く中で、相対的に低所得の世帯における消費動向には注意が必要である。消費支出に占める食料品やエネルギーの
シェアは、収入が低い世帯ほど高い。また、消費者マインドを見ると、収入が低い世帯ほど「暮らし向き」の回復が弱いなど、
所得階層間のバラツキが拡大した。
・個人金融資産残高はコロナ禍で積みあがった貯蓄(超過貯蓄)もあって2,115兆円まで増加したが、これが消費に向かうことが
期待される。また、米欧と比べ現金・預金の比率が高く、物価が上昇する中、貯蓄から投資に回っていくことが重要である。
・実質総消費動向指数は、前期比で、5月▲0.2%、6月0.0%、7月+0.2%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、4月+1.5%、5月+0.6%、6月+0.2%、7月+0.9%、8月▲0.9%。
・7月の実質総雇用者所得は、前期比で▲1.2%となった。
物価
○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。
消費者物価は、上昇している。
・消費者物価(生鮮食品を除く総合)は、激変緩和措置等によりエネルギー価格が抑制される中で、前年比3%程度で推移
している。その構成は、財(食料やエネルギー等)、サービス(家賃や外食・宿泊等)が半々となっている。
・消費者物価上昇の主因である食料品価格は、ロシアによるウクライナ侵略等を受けた世界的な価格高騰等により、食パン
をはじめ、幅広い品目で価格が上昇した。
・サービス物価は、宿泊料・外食等で大きく上昇している。その他サービスでも、家賃や公共サービスを除き、上昇率が
高まっている。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設はこのところ弱含んでいる。
・住宅着工は、持家や分譲住宅を中心に弱含んでいる。木材価格の上昇は一服したものの、コンクリート等の資材価格は上昇
した。加えて、労務費上昇もあり、建築費が高止まりしていることが主な背景としてある。
・首都圏マンション新規販売平均価格は、都区部の高価格マンション供給の影響もあり上昇した。住宅リフォームは、補助事業
の効果もあり、23年以降増加がしつつある。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月▲12.1%、5月+11.8%、6月▲5.9%、7月▲4.1%。
・持家着工数は前月比で、3月▲8.0%、4月▲0.8%、5月+0.1%、6月▲0.5%、7月+1.0%。
・貸家着工数は前月比で、3月+9.8%、4月▲12.9%、5月11.3%、6月▲8.9%、7月+1.5%。
・分譲着工数は前月比で、3月+0.1%、4月▲19.8%、5月+23.7%、6月▲5.9%、7月▲16.0%。
○ 公共投資は、堅調に推移している。
・請負金額は前月比で、4月▲4.1%(出来高+2.9%)、5月+3.0%(出来高+2.8%)、6月+5.1%(出来高▲5.0%)、7月▲4.3%
(出来高+1.7%)、8月▲10.8%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・有効求人倍率は、4月1.32、5月1.31、6月1.30、7月1.29(正社員は1.02)となった。
・完全失業率は、3月2.8%、4月2.6%、5月2.6%、6月2.5%、7月2.7%となった。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
・ 23年4-6月期の経常利益は過去最高を更新した。今年度の設備投資計画に おいて、大企業・中小企業ともにデジタル化や
省力化を背景にしたソフトウェア投資を最も重視する傾向にある。
・本業による収益である営業利益も総じてみれば増加した。ただし、中小企業では、製造業は2期連続の減益となり、設備
投資も減少した。継続的な賃上げに向け、適切な価格転嫁とともに、中小企業が設備投資を進め、本業の収益力を高める
ための後押しが重要となってくる。
・インバウンドは2019年の9割弱まで回復した。インバウンド需要もあり、宿泊・飲食サービスではコロナ禍前と同水準まで
人手不足感が拡大し、宿泊料や外食の価格は上昇した。
・宿泊・飲食業の設備投資計画は、全産業平均と比べて弱い。売上げ拡大のチャンスを取りこぼさないよう、省力化投資を
通じた効率化や、高付加価値化・差別化を通じた価格設定力強化が課題となってくる。
○ 設備投資は、持ち直している。
○ 業況判断は、持ち直している。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2022年9月+8、12月+7、2023年3月+1、6月+5、9月+9。
「大企業・非製造業」は、2022年9月+14、12月+19、2023年3月+20、6月+23、9月+20。
「中小企業・製造業」は、2022年9月▲4、12月▲2、2023年3月▲6、6月▲5、9月▲1。
「中小企業・非製造業」は、2022年9月+2、12月+6、2023年3月+8、6月+11、9月+7。
○ 生産は、持ち直しの兆しがみられる。
・鉱工業生産指数は前月比で、5月▲2.2%、6月+2.4%、7月▲1.8、8月(予測)+2.6%、9月(予測)+2.4%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4月▲6.3%、5月+3.6%、6月+3.0%、7月▲4.8%。
・電子部品・デバイスは前月比で、4月+6.9%、5月0.0%、6月+6.8%、7月▲5.1%。
・輸送機械は前月比で、4月+3.5%、5月▲4.0%、6月▲2.8%、7月+0.4%。
外需
○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、5月+0.4、6月▲1.4、7月+0.8、8月▲0.8。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、5月▲1.3、6月▲1.6、7月+1.3、8月▲2.7。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。 先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが
期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある
・実質GDP成長率は、23年4-6月期で前年比+6.3%(前期比+0.8%)。
・消費は持ち直しに足踏みがみられる。
・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・輸出はこのところ弱含みとなっている。
・固定資産投資は伸びが低下している。
・新築住宅販売価格はこのところ下落している。
・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。
○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。
○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気は持ち直している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に
よる下振れリスクに留意する必要がある。
・2023年4-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.1%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・8月の失業率は3.8%となった。
○ 設備投資は緩やかに増加している。
○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。
・23年4-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.5% (イギリスは+0.8%、ドイツは+0.1%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はこのところ低下している。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.2%(8月)、イギリス+7.1%(8月)。
○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。
2023年
8月
28日
月
月例経済報告(R5.8.28) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、緩やかに回復している。
〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、 金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
|
日本の実質GDP成長率
○ 2023年4-6月期(1次速報)の実質GDP成長率は、前期比+1.5%(年率+6.0%)となった。
・23年4-6月は、供給制約の緩和やインバウンド回復に伴う輸出増など外需に牽引され、3期連続のプラス成長となった。
GDP水準は、名目に続き実質でも過去最高になった。
・実質個人消費は、2期連続増加の後、物価上昇の影響もあり減少した。一方、設備投資については、実質は、ソフトウェア
投資の増加により、2期連続で増加し、名目は、過去最高を更新し100兆円に達した。
・雇用者報酬は、名目で増加が続く中、実質も7期ぶりにプラスに転換した。今後も、30年ぶりの高い賃上げとなった春闘結果
の反映や今年10月の最低賃金引上げが、所得環境の改善につながる見込みとなっている。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直している。
・23年4-6月期の消費は、物価上昇の影響もあって、食料品等の非耐久財や家電等の耐久財が減少した一方、経済活動正常化
によりサービスの回復は継続している。家電は、巣ごもり需要による増加の後、多くの世帯で買い替え時期を迎えておらず、
エアコン、冷蔵庫、テレビ、パソコン等の販売は弱い状況が継続している。
・消費者マインドは、雇用環境の改善等を背景に持ち直しが継続している。一方、8月は台風の影響があり、お盆期間の国内
交通利用は、前年よりは回復したもののGWよりは弱いうごきとなった。また、例年よりも猛暑日が多く、空調の効いた商業
施設等ではプラスの影響がみられるが、屋外型レジャー施設にはマイナスに影響した。
・実質総消費動向指数は、前期比で、4月▲0.1%、5月▲0.1%、6月0.0%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、3月+2.6%、4月+1.5%、5月+0.6%、6月+0.2%、7月0.9%。
・6月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.1%となった。
物価
○ 国内企業物価は、緩やかに下落している。輸入物価は、このところ下落テンポが鈍化した。
消費者物価は、上昇している。
・消費者物価上昇の約7割は食料品である。電気・ガス代は、政策効果や既往の資源価格の低下により下落している。
8月については、円安の進行等を背景に、ガソリン価格が上昇した。特にガソリン支出額の多い地方の消費者にとっては家計
の負担が増加した。
・アメリカに比べ、我が国は、サービス部門の賃金と物価の伸びがともに緩慢となっている。ただし、足下では、サービスの
正規価格で改定頻度が上昇しており、これまでの価格が動きにくい状況に構造的な変化の兆しがみられる。賃上げの継続と
適切な価格転嫁を通じて、賃金と物価がともに持続的・安定的に上昇していくことが重要となる。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設はおおむね横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、3月+2.0%、4月▲12.1%、5月+11.8%、6月▲5.9%。
・持家着工数は前月比で、3月▲8.0%、4月▲0.8%、5月+0.1%、6月▲0.5%。
・貸家着工数は前月比で、3月+9.8%、4月▲12.9%、5月11.3%、6月▲8.9%。
・分譲着工数は前月比で、3月+0.1%、4月▲19.8%、5月+23.7%、6月▲5.9%。
○ 公共投資は、堅調に推移している。
・請負金額は前月比で、3月▲22.8%(出来高+2.9%)、4月▲4.1%(出来高+2.8%)、5月+3.0%(出来高▲5.0%)、6月+5.1%、
7月▲4.3%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
・春闘の賃上げの反映やボーナスの増加によって賃金は改善した。6月のボーナスを含む特別給与は、コロナ禍前の水準を
超えて増加している。中小企業を含め、今後も賃上げの流れが継続していくことが重要となる。
・民間職業紹介における求人(主に正社員)では、高収入の求人が大幅に増加した。
・パート労働者の時給は、今年10月に最低賃金が引き上げられることもあり、さらに上昇の見込みとなっている。
・一方、 既婚女性の非正規労働者では、就業調整を実施する割合が高まっており、「年収の壁」による労働供給の制約が
強まっている。
・有効求人倍率は、2月1.34、3月1.32、4月1.32、5月1.31、6月1.30(正社員は1.03)となった。
・完全失業率は、2月2.6%、3月2.8%、4月2.6%、5月2.6%、6月2.5%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば緩やかに改善している。
○ 設備投資は、持ち直している。
・23年度の大企業の設備投資計画では、能力増強や製品高度化等を目的とした前向きな動きがみられる。また、供給網強靱化の
観点から、今後、国内生産拠点を強化する企業の割合が大きく増加の見込みとなっている。
・中小企業の設備投資計画も6月時点では7.2%増と堅調となっている。このうちソフトウェア投資をみると、製造業や卸売・
小売では大幅な増加の計画になっており、DXの取組がみられる。一方、宿泊・飲食では遅れがでている。
・中小企業のうち価格転嫁実施企業では、設備投資に積極的な企業が多い。中小企業の設備投資促進のためには、引き続き
適切な価格転嫁に向けた取り組みも重要となる。
○ 業況判断は、持ち直している。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2022年9月+8、12月+7、2023年3月+1、6月+5、9月+9。
「大企業・非製造業」は、2022年9月+14、12月+19、2023年3月+20、6月+23、9月+20。
「中小企業・製造業」は、2022年9月▲4、12月▲2、2023年3月▲6、6月▲5、9月▲1。
「中小企業・非製造業」は、2022年9月+2、12月+6、2023年3月+8、6月+11、9月+7。
○ 生産は、持ち直しの兆しがみられる。
・鉱工業生産指数は前月比で、4月+0.7%、5月▲2.2%、6月+2.4%、7月(予測)▲0.2%、8月(予測)▲1.1%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、3月+5.8%、4月▲6.3%、5月+3.6%、6月+3.0%。
・電子部品・デバイスは前月比で、3月▲10.6%、4月+6.9%、5月0.0%、6月+6.8%。
・輸送機械は前月比で、3月+4.9%、4月+3.5%、5月▲4.0%、6月▲2.8%。
外需
○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。
・財の輸出は、供給制約の緩和に伴う自動車生産の回復や、PC出荷台数の下げ止まりにみられる半導体需要の底打ちも
背景に、各地域向けに増加しており、持ち直しの動きとなっている。
ただし、輸出先の経済動向には留意が必要である。
・サービスは、23年7月、中国以外からの訪日外客数はコロナ禍前の水準に回復した。一方、デジタル関連や保険等の
サービス分野では、支払(輸入)が受取(輸出)を超過し、赤字幅が拡大する傾向にあり、 サービス分野の競争力強化
も重要となっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、3月+1.3、4月+1.3、5月+0.4、6月▲1.4、7月+0.8。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、3月+3.3、4月+1.6、5月▲1.3、6月▲1.6、7月+1.3。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。
先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意
する必要がある。
・不動産市場の停滞が続き、住宅取引件数、不動産開発投資は減少となった。大手不動産企業は業績が悪化する中、債務再編交渉
が難航している。住宅需要の喚起や地方銀行等の金融リスク等に対応するため、政府は各種の政策措置を発表した※。
なお、IMFの推計では、地方融資平台(都市開発の資金調達のために地方政府が出資した特別目的会社)の債務残高は増加
傾向となっている。
※政策対応 ① 政策金利の引下げ(8/15、21)
・中期貸出ファシリティ(MLF)1年物を0.15%pt引下げ(2.50%) ・最優遇貸出金利(LPR)1年物を0.10%pt引下げ(3.45%)
② 住宅ローン金利等優遇要件の緩和(7/27)
・本人名義の保有住宅がなければ、1軒目購入時の住宅ローン金利・頭金比率等の優遇を2軒目以降にも適用。
③ 都市部の戸籍取得要件の緩和(8/3)
・出稼ぎ農民工の家族呼び寄せによる住宅需要の喚起、公営住宅整備の推進等。
④ 地方政府による地方銀行への資本注入(8/20)
・資本注入のための地方特別債の発行額増加(1-7月は2022年通年の2.3倍)。
⑤ 地方政府が地方融資平台の支援について検討(8/11報道)
・消費はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。
・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・輸出はこのところ弱含みとなっている。
・固定資産投資はこのところ伸びが低下している。
・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。なお、足下でマイナス転換。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。
○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。
○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気は持ち直している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に
よる下振れリスクに留意する必要がある。
・2023年4-6月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.4%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・消費を中心にアメリカの景気はが回復した背景には、雇用・所得環境の着実な改善がある。
感染症拡大期後は、労働供給の回復を上回るペースで労働需要が急増し、労働市場は更にひっ迫した。
・レジャー・接客等の業種では、労働者不足が依然として高水準で継続している。このため、レジャー・接客の賃金上昇率
は、全体を上回って推移している。
・全体の賃金上昇率が物価上昇率を上回っていることに加え、21年半ば以降に約1.1兆ドル(対名目GDP比約4%)の超過
貯蓄が取り崩されていることも消費の増加に寄与している。
・7月の失業率は3.5%となった。
○ 設備投資は緩やかに増加している。
○ 消費は増加しており、自動車販売台数は持ち直している。
○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は緩やかに上昇している。
○ コア物価上昇率はこのところやや低下している。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。
・23年4-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.0% (イギリスは+0.8%、ドイツは+0.1%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにはおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.6%(7月)、イギリス+7.7%(7月)。
○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。
2023年
7月
26日
水
月例経済報告(R5.7.26) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な 金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しする リスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に 十分注意する必要がある。
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世界経済
○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
・中国は、高齢化の進展・従属人口比率の上昇につれて成長が鈍化している。
インドでは、高齢化の進展は緩やかなものにとどまり、成長制約は相対的に小さい可能性がある。
・インドの市場規模・成長性への期待から、日系企業の関心も高まっている。
・中国は貿易収支が黒字となっている。一方インドはサービス収支が黒字であり、サービス輸出に強みがある。
日本の実質GDP成長率
○ 2023年1-3月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.7%(年率+2.7%)となった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直している。
・新車販売は、生産面の供給制約緩和に伴って増加している。外食消費は、コロナ禍以前のトレンドまでほぼ回復した。
・夏休みの国内旅行者数も、コロナ禍以前の水準を回復する見込みとなっている。4年ぶりに通常開催される夏祭りや
イベントも多く、消費の後押しに期待がもてる。
・コロナ禍の活動制限下で積み上がった超過貯蓄は、米国では21年半ば以降に取崩しが進む一方、日本では依然取崩し
には至らず高止まりとなっている。今後、経済活動の正常化が進む中、貯蓄から消費へも動き出すことが期待される。
・実質総消費動向指数は、前期比で、3月▲0.1%、4月▲0.1%、5月▲0.1%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、2月+0.0%、3月+2.6%、4月+1.5%、5月+0.6%、6月+0.2%。
・5月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.2%となった。
物価
○ 国内企業物価は、このところ緩やかに下落している。
消費者物価は、上昇している。
・今次の物価上昇局面では、リーマンショック直前の原油価格高騰時と比べ、企業の価格転嫁が進展した。
・財の消費者物価は、輸入物価から半年程度遅れて動く傾向があり、今後は上昇率が縮小する見込みとなっている。
必需品の物価は、激変緩和措置の効果等も相まって上昇率が縮小した。一方、必需品以外は徐々に上昇率が拡大している。
・こうした中、物価上昇に直面する消費者は、食料品について、低価格商品にシフトしたり、購買品目を変えたりしている
可能性がある。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、底堅い動きとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、2月▲3.8%、3月+2.0%、4月▲12.1%、5月+11.8%。
・持家着工数は前月比で、2月+3.6%、3月▲8.0%、4月▲0.8%、5月+0.1%。
・貸家着工数は前月比で、2月+1.0%、3月+9.8%、4月▲12.9%、5月11.3%。
・分譲着工数は前月比で、2月▲15.1%、3月+0.1%、4月▲19.8%、5月+23.7%。
○ 公共投資は、堅調に推移している。
・請負金額は前月比で、2月+51.7%(出来高+0.3%)、3月▲22.8%(出来高+2.9%)、4月▲4.1%(出来高+2.8%)、5月+3.0%、
6月+5.1%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、このところ改善の動きがみられる。
・5月のフルタイム労働者の定期給与は、賃上げの反映が進んだことで一段と上昇した。
比較可能な1993年以降で過去最高水準の伸びとなっている。春闘の結果は、今後も賃金に反映される見込みである。 ・今夏のボーナスは高水準であった昨年から更に上昇した。パート募集時の平均時給も1,000円超となるなど、増加傾向が
継続している。これらにより、雇用・所得環境の改善が続くことが期待される。 ・価格転嫁ができている企業は、賃上げにもより積極的な傾向がある。賃上げの原資の確保という観点からも、適切な価格
転嫁に向けた取組が引き続き重要となる。 ・有効求人倍率は、1月1.35、2月1.34、3月1.32、4月1.32、5月1.31(正社員は1.03)となった。
・完全失業率は、1月2.4%、2月2.6%、3月2.8%、4月2.6%、5月2.6%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
○ 設備投資は、持ち直している。
・23年度の設備投資は、高い伸びが実現した22年度から、さらに2桁増の計画となっている。大企業のみならず、中小企業でも
投資マインドに力強さがある。DXやEV化などの前向きな動きもみられる。
・ソフトウェア投資は、引き続き高い伸びとなっている。非製造業では、22年度に大幅増となった宿泊・飲食を含め、23年度は
全ての業種でプラスの計画となっている。一方、米国に比べると、我が国ではソフトウェアを含む知的財産投資のシェアが
低く、更なる投資拡大が課題である。
○ 業況判断は、持ち直している。
・ 大企業の製造業の業況判断では7期ぶりに前期から上昇した。
・ 製造業では、供給制約が緩和した自動車産業のほか、飲食需要の増加や価格転嫁の進展も背景に食料品産業が上昇した。
非製造業では、新型コロナの5類移行も背景に幅広い業種で前期から上昇した。
・ 街角景気の先行き判断をみると、インバウンドや旅行関係に言及した景気ウォッチャーの景況感は引き続き全体を押し上げ
ている。値上げに関する言及は全体を押し下げているが、その程度は縮小した。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2022年9月+8、12月+7、2023年3月+1、6月+5、9月+9。
「大企業・非製造業」は、2022年9月+14、12月+19、2023年3月+20、6月+23、9月+20。
「中小企業・製造業」は、2022年9月▲4、12月▲2、2023年3月▲6、6月▲5、9月▲1。
「中小企業・非製造業」は、2022年9月+2、12月+6、2023年3月+8、6月+11、9月+7。
○ 生産は、持ち直しの兆しがみられる。
・製造業の生産は持ち直しの兆しがみられる。供給制約の緩和等を背景に、乗用車や建設機械等が増産基調となるほか、
市況の悪化による弱さが続いてきた半導体関連業種も横ばいとなった。
・建設機械では遠隔操作システム搭載機の販売が予定され、半導体製造装置は今年度を底に来年度以降売上増が見込まれる
など、生産用機械工業では先行きにも期待感がみられる。
・インバウンド消費は、コロナ禍前の水準までほぼ回復した。中国等の客数回復は道半ばだが、一人当たり消費額が大きく
プラスに寄与した。
・鉱工業生産指数は前月比で、3月+0.3%、4月+0.7%、5月▲2.2%、6月(予測)+5.6%、7月(予測)▲0.6%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、2月+8.9%、3月+5.8%、4月▲6.3%、5月+3.6%。
・電子部品・デバイスは前月比で、2月+7.1%、3月▲10.6%、4月+6.9%、5月0.0%。
・輸送機械は前月比で、2月+13.9%、3月+4.9%、4月+3.5%、5月▲4.0%。
外需
○ 輸出は底堅い動きとなっている。輸入はおおむね横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、2月+3.5、3月+1.3、4月+1.3、5月+0.4、6月▲1.4。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、2月+1.5、3月+3.3、4月+1.6、5月▲1.3、6月▲1.6。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。
先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する
必要がある。
・23年4-6月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+6.3%)となった。、前年4-5月に上海ロックダウンの影響が
あった点に留意しなければならない。
・不動産企業の債務問題が長期化する中、住宅市場は供給過剰と需要不足(投機の減少、買い控え、都市化の減速等)が
顕在化した。販売面積は減少が続き、住宅価格は地方で下落。住宅関連財の小売も低調となっている。
・若年失業率は過去最高水準で推移している。これに加え、過去の一人っ子政策の影響もあり、若年層の男女比に偏りが
みられる。婚姻率・出生率の低下を通じて今後の中国の人口構造にも影響があるとみられる。
・消費はこのところ持ち直している。
・生産は、持ち直しの動きがみられる。
・輸出はこのところ弱含みとなっている。
・固定資産投資はこのところ伸びが低下している。
・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。
○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。
○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気はこのところ持ち直している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は緩やかに回復している。 先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、金融
引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。
・2023年1-3月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.0%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・6月の失業率は3.6%となった。
○ 設備投資は緩やかに持ち直している。
○ 消費は緩やかに増加しており、自動車販売台数は持ち直している。
○ 住宅着工数はおおむね横ばい・住宅価格は緩やかに上昇している。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。
・23年1-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で0.0% (イギリスは+0.6%、ドイツは▲1.3%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにはおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.8%(6月)、イギリス+7.9%(6月)。
○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。
2023年
6月
22日
木
月例経済報告(R5.6.22) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な 金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しする リスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に 十分注意する必要がある。
|
世界経済
○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
・ユーロ圏では、これまでの物価高の影響もあり消費が弱含むなど、景気は足踏み状態が続いている。
・欧米の消費者物価は、エネルギー価格下落を受け上昇率に一服感がみられるが、国内の財・サービス価格への波及は、ユーロ圏を
中心に引き続き進行している。
・中国では、世界的な物価上昇や貿易の鈍化等を受け輸出が伸び悩むなど、感染収束後の回復ペースは緩やかとなっている。
・こうした中、直近、アメリカでは政策金利を据え置き、ユーロ圏は利上げ、中国は利下げの動きとなっている。
今後とも世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意。また、金融資本市場の変動の影響を注視する
必要がある。
日本の実質GDP成長率
○ 2023年1-3月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.7%(年率+2.7%)となった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直している。
・所得面では、雇用情勢の改善に伴い実質総雇用者所得が下げ止まりとなった。
・消費の内訳をみると、財では、生産の供給制約が緩和されたこともあり、付加価値の高い普通乗用車を中心に新車販売が増加
傾向となっている。
・サービスでは、コロナ禍で外出を控えがちだった世帯(小規模自治体居住)でも外食消費が増加した。宿泊者数(延べ人数)
は、政策効果もあり、日本人は高水準で推移した。外国人は堅調に増加しているが、更なる回復が期待される。
・実質総消費動向指数は、前期比で、2月+0.5%、3月▲0.3%、4月+0.1%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、1月+0.3%、2月+0.0%、3月+2.6%、4月+1.5%、5月+0.6%。
・4月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.2%となった。
物価
○ 国内企業物価は、このところ緩やかに下落している。
消費者物価は、上昇している。
・国際商品市況では、原油・LNG・石炭の価格がロシア政府によるウクライナ侵略前の水準を下回って推移している。
・こうした中、我が国の交易条件は、輸入物価下落に伴って、約2年ぶりに前年比プラスに転換した。
・国内企業物価は、5月は再生可能エネルギー発電促進賦課金の引下げもあり、前年比が5か月連続で低下している。
・消費者物価の前年比を寄与分解すると、財に続いてサービスの寄与が徐々に拡大している。
一方、エネルギーは、過去の原油価格下落等の影響が徐々に反映される中、5月は再エネ賦課金の引下げが加わり、マイナス
寄与が拡大した。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、底堅い動きとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、1月+5.5%、2月▲3.8%、3月+2.0%、4月▲12.1%。
・持家着工数は前月比で、1月▲0.8%、2月+3.6%、3月▲8.0%、4月▲0.8%。
・貸家着工数は前月比で、1月+0.1%、2月+1.0%、3月+9.8%、4月▲12.9%。
・分譲着工数は前月比で、1月+20.0%、2月▲15.1%、3月+0.1%、4月▲19.8%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、1月+0.9%(出来高+2.1%)、2月+51.7%(出来高+0.3%)、3月▲22.8%(出来高+2.9%)、4月▲4.1%、5月+3.0%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、このところ改善の動きがみられる。
・就業率はコロナ禍以前を上回る水準で推移し、失業率も4月は低下。雇用者数は女性の正規雇用を中心に増加している。
・一人当たり賃金は緩やかに増加した。春闘の賃上げが一部反映され始め、4月のフルタイム労働者の定期給与は最近のトレンド
を一段上回る伸びとなっている。今後、賃上げの反映が進むにつれて増加が続くことが期待される。
・中小企業でも、民間調査によれば、今年度に給与総額を3%以上引き上げる企業の割合が5割を上回るなど、賃上げが進展した。
一方で、賃上げの理由として、物価上昇を挙げる企業は5割超となっているが、一定の価格転嫁の実現を挙げる企業は1割に
とどまる。
持続的な賃金上昇に向けては、コストの適切な転嫁を通じたマークアップの確保が重要である。
・有効求人倍率は、12月1.35、2023年1月1.35、2月1.34、3月1.32、4月1.32(正社員は1.03)となった。
・完全失業率は、11月2.5%、12月2.5%、2023年1月2.4%、2月2.6%、3月2.8%、4月2.6%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善している。
・企業収益は、経常利益が23年1-3月期に前年比で増益、水準も1-3月期として過去最高となるなど、総じてみれば緩やかに
改善している。
・業種別の動向をみると、製造業は素材関係等の市況悪化により前年比マイナスだが、非製造業は経済社会活動の正常化に伴い、
陸運、宿泊・飲食、小売など幅広い業種でプラスとなり、全体の回復を牽引している。
○ 設備投資は、持ち直している。
・企業の設備投資は、製造業・非製造業ともに前期比で増加するなど、堅調に推移している。ソフトウェア投資もDXの進展等も
背景に高い水準が継続している。
・2023年度の投資計画も前年度比で高い伸びが示されており、引き続き、企業の積極的な投資意欲がうかがえる。
○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2022年6月+9、9月+8、12月+7、2023年3月+1、6月+3。
「大企業・非製造業」は、2022年6月+13、9月+14、12月+19、2023年3月+20、6月+15。
「中小企業・製造業」は、2022年6月▲4、9月▲4、12月▲2、2023年3月▲6、6月▲4。
「中小企業・非製造業」は、2022年6月、▲1、9月+2、12月+6、2023年3月+8、6月+3。
○ 生産は、持ち直しの兆しがみられる。
・鉱工業生産指数は前月比で、2月+3.7%、3月+0.3%、4月+0.7%、5月(予測)+1.9%、6月(予測)+1.2%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、1月▲15.3%、2月+8.9%、3月+5.8%、4月▲6.3%。
・電子部品・デバイスは前月比で、1月▲4.2%、2月+7.1%、3月▲10.6%、4月+6.9%。
・輸送機械は前月比で、1月▲9.9%、2月+13.9%、3月+4.9%、4月+3.5%。
外需
○ 輸出は底堅い動きとなっている。輸入はおおむね横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
・貿易収支は、原油価格下落等に伴う鉱物性燃料の輸入減少と、供給制約緩和に伴う自動車の輸出増加を背景に、赤字幅が縮小
傾向にある。
・こうした中、輸出数量は、ICや半導体製造装置では弱めの動きだが、自動車の輸出増加によって全体としては底堅い動き。
同様に、製造業の生産も、輸送機械の回復によって全体として持ち直しの兆しがみられる。
・半導体部門は、足下では市況の悪化が続くものの、中長期的な需要拡大も見据え、先端分野の工場新設など各地で前向きな
投資の動きがみられる。今後、これらの進捗に伴う関連資材・設備の生産増加にも期待がもてる。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、1月▲0.2、2月+3.5、3月+1.3、4月+1.3、5月+0.4。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、6か月ぶりに下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、1月+2.5、2月+1.5、3月+3.3、4月+1.6、5月▲1.3。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。
先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要が
ある。
・23年1-3月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+4.5%)となった。
・消費はこのところ持ち直している。
・生産は、持ち直しの動きがみられる。
・輸出は持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・固定資産投資はこのところ伸びが低下している。
・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 韓国では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。
○ 台湾では、景気は減速している。
○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
○ タイでは、景気はこのところ持ち直している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は緩やかに回復している。
先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要
がある。
・2023年1-3月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+1.3%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・5月の失業率は3.7%となった。
○ 設備投資は緩やかに持ち直している。
○ 消費は緩やかに増加しており、自動車販売台数は持ち直している。
○ 住宅着工・住宅価格ともにおおむね横ばいとなっている。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。
・23年1-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.4% (イギリスは+0.5%、ドイツは▲1.3%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はおおむね横ばい、イギリスは上昇している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.8%(5月)、イギリス+7.9%(4月)。
○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。
2023年
5月
25日
木
月例経済報告(R5.5.25) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な 金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しする リスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に 十分注意する必要がある。
|
世界経済
○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
・アメリカでは、雇用・所得環境の着実な改善がみられる中で、2023年1-3月期は消費の増加等がけん引しプラス成長が続くなど、
景気は緩やかに回復している。
・中国では、感染収束に伴う経済活動の回復の下で1-3月期はプラス成長となり、4月は一服感がみられるものの、消費を中心に
景気は持ち直しの動きがみられる。
・欧米の失業率はおおむね横ばい。労働市場のひっ迫が続く中、金融引締めが継続している。世界的な金融引締めに伴う影響等に
よる下振れリスクに引き続き留意が必要である。また、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。
日本の実質GDP成長率
○ 2023年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比+0.4%(年率+1.6%)となった。供給制約の緩和を通じた自動車販売の増加や
ウィズコロナの下でのサービス消費の持ち直しなど、内需が牽引した。外需は、アジア向けの輸出減少等によりマイナスに寄与
した。
○ 名目GDPは、輸入物価上昇の転嫁が進むことで、コロナ禍以前の過去最高水準(19年7-9月期)を3年半ぶりに更新するなど、
堅調に増加した。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直している。
・新車販売が増加するほか、持ち直しが遅れていた高齢者の外食消費も増加した。
・家計動向をみている景気ウォッチャーの評価は、現状・先行きともに4月にさらに上昇した。
5月も、新型コロナの感染症法上の位置づけ変更等も背景として、GWの交通機関の利用実績は新幹線や国内線航空でコロナ禍
前の水準まで回復し、4年ぶりに各地でイベントが通常開催されるなど、コロナ禍から平時への移行が進展した。
・実質総消費動向指数は、前期比で、1月0.0%、2月+0.1%、3月+0.1。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、12月+1.3%、2023年1月+0.3%、2月+0.0%、3月+2.6%、4月+1.5%。
・3月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.5%となった。
物価
○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。
消費者物価は、上昇している。
・国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーターは、原油価格の下落等に伴い輸入デフレーターの押下げ
寄与が縮小したことで、23年1-3月期は前期からプラス幅を拡大させている。
・輸入物価は、石油やLNG等の価格下落に伴い、4月の前年比はマイナスに転じた(2年2か月ぶり)。
・消費者物価は、4月の前年比は3.4%。食料品の値上げなど財を中心とした上昇が続く中、サービスもこれに遅れて徐々にプラス
寄与を拡大している。一方、エネルギーは、昨年の原油価格下落等が時間差を伴って反映されるのに加え、電気・ガス価格激変
緩和対策の効果もあり、マイナスに寄与した。
・消費者の物価予想は、電気・ガス代といった生活に身近な価格が抑えられたことも背景に、「5%以上」と大幅な上昇を予想する
割合が足下では減少の動きとなっている。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、底堅い動きとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、12月+0.5%、2023年1月+5.5%、2月▲3.8%、3月+2.0%。
・持家着工数は前月比で、12月+0.7%、2023年1月▲0.8%、2月+3.6%、3月▲8.0%。
・貸家着工数は前月比で、12月▲1.0%、2023年1月+0.1%、2月+1.0%、3月+9.8%。
・分譲着工数は前月比で、12月+1.9%、2023年1月+20.0%、2月▲15.1%、3月+0.1%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、12月+0.9%(出来高+0.2%)、2023年1月+0.9%(出来高+2.1%)、2月+51.7%(出来高+0.5%)、3月▲22.8%
(出来高▲1.2%)、4月▲4.1%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、持ち直している。
・就業率は全体としては横ばいである中、足下では女性で高まりがみられる。
失業率は足下で上昇したが、失業期間別にみると、23年1-3月期は長期的な失業が前年比で減少する一方、3か月未満の短期的
な失業が増加した。経済社会活動の正常化に伴い、新たに労働市場に参入する者が職探しを始める中で、一時的に失業が増加
している面もみられる。
・一人当たり賃金は、緩やかに増加した。こうした中、転職市場では処遇改善を目的とした転職者が増加しており、転職によって
賃金が1割以上増加した者の割合は上昇傾向となっている(7四半期連続)。
・構造的な賃上げの実現に向けては、リスキリングの促進、失業者のマッチング強化や職業訓練等の支援充実など、処遇改善を
伴う労働移動の円滑化の取り組みが重要である。
・有効求人倍率は、11月1.35、12月1.35、2023年1月1.35、2月1.34、1.32(正社員は1.02)となった。
・完全失業率は、10月2.6%、11月2.5%、12月2.5%、2023年1月2.4%、2月2.6%、3月2.8%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。
・上場企業の決算をみると、23年1-3月期は、売上高が前年比で増加となる中、本業の動向を示す営業利益は増益が継続している。
経常利益の前年比は減益したものの、2022年度計では過去最高となった。
・業種別の営業利益をみると、素材関係の製造業は市況の悪化を受け前年比マイナスとなる一方、ウィズコロナの下での人流回復
や供給制約の緩和等を背景に、陸運・空運や輸送用機器で好調が続く。
・企業の景況感は、サービス業を中心に改善が継続。原材料コスト増等を受けて22年以降は低下が続いていた製造業も、輸入物価
の下落や生産の増加等を背景に、このところ改善傾向にある。
○ 設備投資は、持ち直している。
○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2022年6月+9、9月+8、12月+7、2023年3月+1、6月+3。
「大企業・非製造業」は、2022年6月+13、9月+14、12月+19、2023年3月+20、6月+15。
「中小企業・製造業」は、2022年6月▲4、9月▲4、12月▲2、2023年3月▲6、6月▲4。
「中小企業・非製造業」は、2022年6月、▲1、9月+2、12月+6、2023年3月+8、6月+3。
○ 生産は、持ち直しの兆しがみられる。
・製造業の生産は、持ち直しの兆しがある。世界的な半導体需要の軟化の下、メモリ等の電子部品・デバイスは在庫調整により減少
傾向となっている。一方、乗用車等の輸送機械は、供給制約が緩和する中で増加傾向が強まっている。
・鉱工業生産指数は前月比で、1月▲5.3%、2月+4.6%、3月+1.1%、4月(予測)+4.1%、5月(予測)▲2.0%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、12月+0.8%、2023年1月▲15.3%、2月+8.9%、3月+5.8%。
・電子部品・デバイスは前月比で、12月▲0.7%、2023年1月▲4.2%、2月+7.1%、3月▲10.6%。
・輸送機械は前月比で、12月+0.9%、2023年1月▲9.9%、2月+13.9%、3月+4.9%。
外需
○ 輸出は底堅い動きとなっている。輸入はおおむね横ばいとなっている。
・財輸出は、昨年秋以降、半導体需要の軟化や中国の感染拡大等を背景に弱含みが続いてきたが、このところは生産の増加を受けた
自動車輸出の増加等によって底堅い動きとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、12月▲0.7、1月▲0.2、2月+3.5、3月+1.3、4月+1.3。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、5か月連続で上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、12月+0.5、1月+2.5、2月+1.5、3月+3.3、4月+1.6。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。
先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要がある。
・23年1-3月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+4.5%)となった。
・消費はこのところ持ち直している。
・生産は、持ち直しの動きがみられる。
・輸出は持ち直しの動きがみられる。
・固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。
・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率は低下している。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 韓国では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。
○ 台湾では、景気は減速している。
○ インドでは、景気は持ち直している。
○ タイでは、景気はこのところ持ち直している。
○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は緩やかに回復している。 先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに
伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。
・2023年1-3月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+1.1%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・4月の失業率は3.4%となった。
○ 設備投資は緩やかに持ち直している。
○ 消費は緩やかに増加しており、自動車販売台数は持ち直している。
○ 住宅着工はおおむね横ばいとなっており、住宅価格は下落している。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
○ 財輸出は緩やかに増加している。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。
ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。
・23年1-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.3% (イギリスは+0.5%、ドイツは+0.2%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは弱含んでいる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.3%(4月)、イギリス+7.2%(3月)。
○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。
2023年
4月
25日
火
月例経済報告(R5.4.25) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。 〈先行き〉 ・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、 景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め 等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動 等の影響に十分注意する必要がある。
|
世界経済
○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。
・2023年の成長見通しは、世界全体ではわずかに下方修正となったものの、欧米では上方修正された。
・中国では感染症の収束、政策効果の発現を受け、生産、消費、輸出共にプラスになるなど、景気は持ち直しの動きがみられる。
・消費者物価の上昇に一服感がみられるが、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた金融引締めが継続される見込みとなっている。
・今後とも世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意が必要。また、金融資本市場の変動の影響を引き続き
注視する必要がある。
日本の実質GDP成長率
○ 2022年10-12月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比0.0%(年率+0.1%)となった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。
・財が弱めの動きとなる中で、サービスの持ち直しが消費全体の回復を牽引した。足下では居酒屋での飲食や海外旅行などコロナ禍で
遅れていた部門でも徐々に回復の動きがみられる。
・消費者マインドは、22年は物価上昇の下で低下傾向だったが、コロナ禍からの経済社会活動の正常化や賃上げの進展も背景に、
このところ持ち直しの動きがみられる。
・こうした中、民間調査によると、GWの旅行者数はコロナ禍前を上回り過去最高となる見込み。引き続き消費の回復が経済を牽引する
ことが期待される。
・実質総消費動向指数は、前期比で、12月▲0.1%、1月+0.1%、2月+0.2%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、11月▲1.3%、12月+1.3%、2023年1月+0.3%、2月+0.0%、3月+2.6%。
・2月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。
物価
○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。
消費者物価は、上昇している。
・国内企業物価は、資源価格の下落等を受けて電力・都市ガスや鉄鋼等の上昇率が縮小する中、3月は前年比上昇率が3か月連続で
低下となった。
・消費者物価は、2月以降の電気・ガス価格激変緩和対策事業により押し下げられる中、3月の前年比上昇率はコアで3.1%。
物価上昇の大半は財によっている。サービスの上昇率は徐々に高まっている。
・企業の価格転嫁の進捗を疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)でみると、1年前と比べて幅広い業種で改善している
が、製造業部門(財関連)と比べ、サービス関連では相対的に価格転嫁に遅れ。。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、底堅い動きとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、11月▲2.9%、12月+0.5%、2023年1月+5.5%、2月▲3.8%。
・持家着工数は前月比で、11月▲1.5%、12月+0.7%、2023年1月▲0.8%、2月▲+3.6%。
・貸家着工数は前月比で、11月▲2.5%、12月▲1.0%、2023年1月+0.1%、2月+1.0%。
・分譲着工数は前月比で、11月▲2.2%、12月+1.9%、2023年1月+20.0%、2月▲15.1%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12月+0.9%(出来高+0.2%)、2023年1月+0.9%(出来高+2.1%)、
2月+51.7%(出来高+0.5%)、3月▲22.8%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、持ち直している。
・失業率は2月に2.6%と5か月ぶりに上昇したが、増加した失業を理由別にみると、より良い条件を求める等の自己都合離職や、
新たに求職活動を開始する者が増加しており、労働移動の動きもみられる。
・企業の人手不足感は全産業で高まっており、中でも、経済社会活動の正常化に伴い業況の改善が進む宿泊・飲食サービス業で
顕著となっている。こうした中、パートタイム労働者の賃金は一般労働者を上回るペースで上昇した。
・春闘の賃上げ率を企業規模別にみると、第4回集計時点において、中小企業を含めすべての規模で3%を上回る大幅な賃上げが
見込まれている。
・有効求人倍率は、10月1.35、11月1.35、12月1.35、2023年1月1.35、2月1.34(正社員は1.02)となった。
・完全失業率は、9月2.6%、10月2.6%、11月2.5%、12月2.5%、2023年1月2.4%、2月2.6%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。
・企業の業況判断は、引き続き「良い」が「悪い」を上回り、持ち直しの動きが継続している。ただし、前期からの変化で
みると、製造業では海外需要の鈍化等を背景に電気機械や素材系業種で悪化する一方、非製造業ではコロナ禍からの経済
社会活動の正常化に伴って幅広い業種で改善するなど、業種により状況は異なる。
○ 設備投資は、持ち直している。
・設備投資は、機械投資は足下で持ち直しの動きに足踏みがみられるものの高水準で推移しており、ソフトウェア投資は緩やか
な増加が続くなど、全体として持ち直しの動きとなった。
・こうした中、日銀短観によると、22年度の設備投資は前年度比で二桁増と高い伸びとなる見込みとなっている。
23年度も当初計画としては22年度を上回るなど、企業の投資マインドは引き続き力強さがみられる。
○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。
・ 倒産件数は、増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2022年6月+9、9月+8、12月+7、2023年3月+1、6月+3。
「大企業・非製造業」は、2022年6月+13、9月+14、12月+19、2023年3月+20、6月+15。
「中小企業・製造業」は、2022年6月▲4、9月▲4、12月▲2、2023年3月▲6、6月▲4。
「中小企業・非製造業」は、2022年6月、▲1、9月+2、12月+6、2023年3月+8、6月+3。
○ 生産は、このところ弱含んでいる。
・鉱工業生産指数は前月比で、12月+0.3%、1月▲5.3%、2月+4.6%、3月(予測)+2.3%、4月(予測)+4.4%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、11月▲6.0%、12月+0.8%、2023年1月▲15.3%、2月+8.9%。
・電子部品・デバイスは前月比で、11月+0.5%、12月▲0.7%、2023年1月▲4.2%、2月+7.1%。
・輸送機械は前月比で、11月▲0.5%、12月+0.9%、2023年1月▲9.9%、2月+13.9%。
外需
○ 輸出は弱含んでいる。輸入はおおむね横ばいとなっている。
・我が国の輸出は、中国の経済活動回復等を背景にアジア向けが減少傾向から横ばいに転じたものの、全体としては弱含み。
こうした中、製造業の生産も弱含みとなっている。一方で、2月は自動車等の輸送機械を中心に増加しており、部材供給不足
が緩和される中、今後の回復に期待感がもてる。
・サービス輸出であるインバウンドは堅調に増加。3月の訪日外客数は19年比で66%(中国を除くと84%)まで回復した。
旅行消費額でみると1-3月期に1.0兆円と、19年比で88%の水準。1人当たり単価は円安もあって19年比で4割超上昇した。
引き続き、インバウンド需要の拡大が期待される。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、11月▲1.8、12月▲0.7、1月▲0.2、2月+3.5、3月+1.3。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、11月▲1.3、12月+0.5、1月+2.5、2月1.5、3月3.3。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。
先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要がある。
・23年1-3月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+4.5%)となった。
・消費はこのところ持ち直している。
・生産は、持ち直しの動きがみられる。
・輸出は持ち直しの動きがみられる。
・固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。
・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率はこのところ低下している。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。
※各種の政策措置
○ 自動車購入
・地方都市の購入補助金(23年1月)
・環境基準の厳格化(23年7月)
○ 輸出促進策(23年4月)
・ASEAN等の市場の開拓、 先進国向け輸出の安定化
○ 金融政策
・預金準備率の引下げ(23年3月)
○ 不動産支援策(22年11月~)
・ディベロッパー向け融資安定化、 住宅引き渡し支援、住宅ローン 支援等。
○ 韓国・台湾では、景気は弱い動きとなっている。
○ インドでは、景気は持ち直している。
○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。
○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。
ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。
・2022年10-12月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.6%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・3月の失業率は3.5%となった。
○ 設備投資は緩やかに持ち直している。
○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。
ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。
・22年10-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは+0.5%、ドイツは▲1.7%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは弱含んでいる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.5%(3月)、イギリス+7.2%(3月)。
○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。
2023年
3月
22日
水
月例経済報告(R5.3.22) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。 〈先行き〉 ・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、 景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め 等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動 等の影響に十分注意する必要がある。
|
世界経済
○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しがみられる。
・世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。
・中国では輸出が減少する一方、感染が収束して生産・消費に持ち直しの動きがみられる。
・ユーロ圏では設備投資は持ち直してきたがこのところ一服感がみられ、消費は持ち直しに足踏みがみられる。
・財貿易量は低下傾向となっている。欧米の景況感は製造業で引き続き悪化となったものの、非製造業は改善がみられる。
・欧米の失業率はおおむね横ばい。消費者物価の上昇に一服感がみられるが、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた
金融引締めが継続している。世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに引き続き留意が必要である。
また、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。
日本の実質GDP成長率
○ 2022年10-12月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比0.0%(年率+0.1%)となった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。
・個人消費は、雇用者所得が実質ではマイナスとなる中でも、緩やかに持ち直した。22年後半以降、財は弱めの動きとなる一方、
サービスの持ち直しが回復を牽引した。
・景気ウォッチャー調査(街角景気)の先行き判断は2月も引き続き上昇となった。物価上昇への懸念は下押し要因となる一方、
新型コロナの5類移行やマスク着用ルールの緩和が先行き期待の押上げに寄与した。
・訪日外客は堅調に増加し、2月は19年比で57%(中国を除くと77%)の水準まで回復した。引き続き、インバウンド需要の拡大
に期待できる。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、9月+0.5%、10月▲0.1%、11月▲0.4%、12月▲0.9%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、10月▲0.9%、11月▲1.3%、12月+1.7%、2023年1月+0.7%、2月+0.1%。
・1月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.4%となった。
物価
○ 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。
消費者物価は、上昇している。
・国際商品市況は、引き続き、原油・LNG・石炭の価格がロシアによるウクライナ侵略前の水準を下回って推移している。
・国内企業物価は、石油・石炭製品の価格下落に加え、電気・ガス価格激変緩和対策事業の効果により、前年比上昇率が2か月
連続で低下するなど、上昇テンポが鈍化している。
・消費者物価は、食料等の身の回り品で今後も上昇が見込まれるが、2月の東京都区部速報値では、「電気・ガス価格激変緩和
対策事業」の効果が前年比上昇率を1.0%pt引下げた。これと同様に、2月の全国でも前年比上昇率は低下する見込みとなっている。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、底堅い動きとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10月+0.9%、11月▲2.9%、12月+0.5%、2023年1月+5.5%。
・持家着工数は前月比で、10月▲4.4%、11月▲1.5%、12月+0.7%、2023年1月▲0.8%。
・貸家着工数は前月比で、10月+1.7%、11月▲2.5%、12月▲1.0%、2023年1月+0.1%。
・分譲着工数は前月比で、10月+2.5%、11月▲2.2%、12月+1.9%、2023年1月+20.0%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、10月▲3.5%(出来高▲1.0%)、11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12月+0.9%(出来高+0.2%)、
2023年1月+0.9%(出来高+2.1%)、2月+51.7%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、持ち直している。
・名目賃金の上昇率は、1990年代末以降、物価上昇率と同程度又は下回る傾向となっている。
一方、2022年の名目賃金上昇率は、過去の春闘結果と名目賃金の関係を上回るなど、物価上昇の下で賃上げが進展している。
・こうした中、23年の春闘の賃上げ率は第一回集計で3.8%と、1993年以来30年ぶりの高い伸びとなった。デフレ脱却と民需
主導の持続的な成長の実現に向け、物価上昇に負けない継続的な賃金上昇が重要となる。
・女性の年収は、正社員と非正社員とで大きな差がある。また、正社員の定期給与は、年齢が上がるほど男女間での差が拡大
している。女性の正社員化や男女間格差の縮小を進めることは、平均的な賃金水準の押上げにつながる。
・有効求人倍率は、9月1.34、10月1.35、11月1.35、12月1.35、2023年1月1.35(正社員は1.03)となった。
・完全失業率は、8月2.5%、9月2.6%、10月2.6%、11月2.5%、12月2.5%、2023年1月2.4%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。
・2022年の経常利益は、売上増加や円安による押上げ効果もあり過去最高水準。
四半期ベースで業種別にみると、10-12月期は輸送機械や運輸等で好調が続く一方、食料品や素材関係の製造業では原材料コスト
増の影響等により前年比で減益となった。
○ 設備投資は、持ち直している。
・企業の設備投資は、22年度の実績は当初計画を上回る見込みとなり、23年度の計画も22年度並みの伸びとなっている。
好調な収益の下、企業の投資マインドには引き続き力強さがみられる。個社の投資計画では、デジタル化や脱炭素化投資のほか、
市況悪化の一方で中長期的な需要を見据えた半導体関連の投資もみられる。
○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。
・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2022年3月+14、6月+9、9月+8、12月+7、2023年3月+6。
「大企業・非製造業」は、2022年3月+9、6月+13、9月+14、12月+19、2023年3月+11。
「中小企業・製造業」は、2022年3月▲4、6月▲4、9月▲4、12月▲2、2023年3月▲5。
「中小企業・非製造業」は、2022年3月▲6、6月、▲1、9月+2、12月+6、2023年3月▲1。
○ 生産は、このところ弱含んでいる。
・製造業の生産は、市況悪化に伴う半導体の在庫調整と、それを受けた海外での半導体製造装置の投資先送り等により、電子部品・
デバイスや生産用機械でマイナス傾向となるなど、このところ弱含みとなっている。
・コロナ禍で大きく成長した我が国の半導体製造装置の売上高は、中長期的には拡大が見込まれるも、当面は需給の調整局面となり、
23年度は前年度比マイナスの見込みとなっている。
・こうした中、企業の景況感は製造業で低下傾向となっている一方、サービス業では上昇傾向が続いている。
・鉱工業生産指数は前月比で、11月0.2%、12月+0.3%、1月▲5.3%、2月(予測)+8.0%、3月(予測)+0.7%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、10月▲5.4%、11月▲6.0%、12月+0.8%、2023年1月▲15.3%。
・電子部品・デバイスは前月比で、10月▲4.1%、11月+0.5%、12月▲0.7%、2023年1月▲4.2%。
・輸送機械は前月比で、10月+4.5%、11月▲0.5%、12月+0.9%、2023年1月▲9.9%。
外需
○ 輸出・輸入ともに、弱含んでいる。
・我が国の輸出は、半導体市況の軟化等を背景として、アジア向けを中心に全体として弱含みとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、10月+1.5、11月▲1.8、12月▲0.7、1月▲0.2、2月+3.5。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。
・物価上昇への懸念が引き続き下押し要因となる一方、インバウンド拡大に加え、新型コロナ5類移行が先行き期待の押上げに
寄与した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、10月▲2.8、11月▲1.3、12月+0.5、1月+2.5、2月2.5。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、、不動産市場の動向等を注視する必要
がある。
・22年10-12月期の実質GDP成長率は前期比で0.0%(前年比+2.9%)となった。
・消費は持ち直しの動きがみられる。
・生産は、持ち直しの動きがみられる。
・輸出は減少している。
・固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。
・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率はこのところ低下している。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。
○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。
○ インドでは、景気は持ち直している。
○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。
○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。
先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意
する必要がある。
・2022年10-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.7%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・2月の失業率は3.6%となった。
○ 設備投資は緩やかに持ち直している。
○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。
○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。
ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。
・22年10-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.1% (イギリスは+0.1%、ドイツは▲1.7%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.4%(2月)、イギリス+6.7%(1月)。
○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。
2023年
2月
21日
火
月例経済報告(R5.2.21) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。 〈先行き〉 ・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、 景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め 等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動 等の影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある。
|
世界経済
○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しがみられる。
・2022年10-12月期の実質GDP成長率は、ドイツはマイナス、中国と英国は0%となった一方、アメリカはプラス成長
が継続した。
・2022年末にかけて、世界的な半導体需要の鈍化や中国の景気減速があり、韓国、台湾、タイでは生産・輸出が減少し、
景気に弱さがみられる。
・欧州では暖冬やエネルギー消費抑制策もあり、天然ガスの在庫確保が進展した。こうした背景もあり、エネルギー価格
は下落し、欧米の消費者物価の上昇に一服感がみられる。ただし、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた金融
引締めが継続している。今後も世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意が必要である。
日本の実質GDP成長率
○ 2022年10-12月期の実質GDP成長率は、前期比+0.2%(年率+0.6%)となった。
・ウィズコロナの下で、旅行・外食等のサービス消費を中心に個人消費が増加するとともに、水際対策の緩和に伴う
インバウンドの増加もあって外需がプラスに寄与した。
・コロナ禍前(19年10-12月期)対比での先進各国の実質GDPの回復状況をみると、我が国は他の先進国と比べて遜色
ない水準となっている。
・実質GNI(国民総所得)は、輸入物価下落による交易条件の改善や海外からの所得受取増により、実質GDP(国内
総生産)の伸びを上回る水準となった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。
・財消費が底堅く推移する中、外食・旅行等のサービス消費の回復が継続している。
・宿泊者数(延べ人数)は、全国旅行支援の効果やインバウンド再開により、12月にはコロナ禍前の水準をほぼ回復
した。
新車販売は、供給制約が徐々に緩和される中で、振れを伴いつつ、このところ持ち直してきている。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、8月0.0%、9月+0.5%、10月▲0.1%、11月▲0.8%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、9月▲1.7%、10月▲0.9%、11月▲1.3%、12月+1.7%、2023年1月+0.7%。
・12月の実質総雇用者所得は、前期比で0.0%となった。
物価
○ 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。
消費者物価は、上昇している。
・国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーター上昇率は、昨年末にかけての原油価格下落等に
伴い輸入デフレーターの押下げ寄与が低下する一方、価格転嫁の進展により消費や投資等の内需デフレーターの
押上げ寄与が拡大した結果、2022年10-12月期にプラス転換した。
・国際商品市況は、欧州の暖冬等を背景に、原油・LNG・石炭の価格がロシアによるウクライナ侵略前の水準まで
低下している。
・ 23年1月の国内企業物価は前月比で横ばいとなっている。電力・都市ガスのプラス寄与が縮小するとともに、石油・
石炭製品の価格が低下してマイナスに寄与した。
・消費者物価は、財に加えて、一般サービスにおいても上昇するなど、物価上昇に広がりがみられる。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、底堅い動きとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲5.0%、10月+0.9%、11月▲2.9%、12月+0.5%。
・持家着工数は前月比で、9月+1.9%、10月▲4.4%、11月▲1.5%、12月+0.7%。
・貸家着工数は前月比で、9月▲1.1%、10月+1.7%、11月▲2.5%、12月▲1.0%。
・分譲着工数は前月比で、9月▲13.7%、10月+2.5%、11月▲2.2%、12月+1.9%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、8月+1.4%(出来高+1.1%)、9月+3.2%(出来高▲0.7%)、10月▲3.5%(出来高▲1.0%)、
11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12月+0.9%(出来高+0.2%)、2023年1月+0.9%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、持ち直している。
・一人当たり賃金は、2022年は前年比で2.1%と31年ぶりの高い伸びとなった。月次でみると、12月はボーナスの増加を
受けて大幅なプラスとなった。また、22年の冬のボーナスは31年ぶりの伸びとなり、事業所規模別にみても、中小企業
を含めて全般的に高い伸びとなった。
・大企業の今春の賃上げについて、各社の個別動向をみると、物価上昇や人手不足の状況下で積極的な賃上げの動きが
みられる。また、中小企業は過半が22年度に賃上げを実施したが、その理由をみると、物価上昇を理由にする企業割合
が増加した。物価上昇を意識した賃上げの機運に高まりがみられる。
・物価上昇を超える賃上げの実現に向けては、原材料やエネルギーコストのみならず、賃上げ原資も含めた適切な価格転嫁
が重要である。
・有効求人倍率は、8月1.32、9月1.34、10月1.35、11月1.35、12月1.35(正社員は1.03)となった。
・完全失業率は、7月2.6%、8月2.5%、9月2.6%、10月2.6%、11月2.5%、12月2.5%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。
・2022年10-12月期の上場企業の決算をみると、経常利益は、為替変動による評価損で営業外収支が縮小して 前年比
マイナスとなるも、引き続き高い水準で推移している。本業の動向を示す売上高と営業利益は、ウィズコロナの下での
人流回復や供給制約の緩和などを背景に堅調に増加している。
○ 設備投資は、持ち直している。
・企業の設備投資は、名目ベースでは過去最高となるなど持ち直し基調が継続している。ただし、資材価格上昇の影響に
より、実質ベースでは回復が緩やかとなっている。
投資の内訳をみると、機械投資は足下で持ち直しの動きに足踏みがみられるが、ソフトウェア投資はデジタル化の進展等
を背景に堅調に増加した。
○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。
・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2022年3月+14、6月+9、9月+8、12月+7、2023年3月+6。
「大企業・非製造業」は、2022年3月+9、6月+13、9月+14、12月+19、2023年3月+11。
「中小企業・製造業」は、2022年3月▲4、6月▲4、9月▲4、12月▲2、2023年3月▲5。
「中小企業・非製造業」は、2022年3月▲6、6月、▲1、9月+2、12月+6、2023年3月▲1。
○ 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・鉱工業生産指数は前月比で、10月▲3.2%、11月0.2%、12月+0.3%、1月(予測)0.0%、2月(予測)+4.1%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲1.8%、10月▲5.4%、11月▲6.0%、12月+0.8%。
・電子部品・デバイスは前月比で、9月+0.4%、10月▲4.1%、11月+0.5%、12月▲0.7%。
・輸送機械は前月比で、9月▲10.3%、10月+4.5%、11月▲0.5%、12月+0.9%。
外需
○ 輸出は、このところ弱含んでいる。
・我が国の輸出は、半導体市況の軟化や中国の感染拡大を背景にアジア向けで減少し、全体として弱含みとなって
いる。こうした中、製造業の生産も持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・2022年の経常収支は、秋ごろまでの資源価格上昇や円安などを受け、貿易収支は過去最大の赤字幅となっている。
一方、所得収支は過去最大の黒字幅となった。貿易収支を月次の季節調整値でみると、昨年秋以降は原油価格の下落
等を背景に鉱物性燃料の赤字幅が緩やかに縮小し、1月は前月比で横ばいとなっている。
・訪日外客数は堅調に増加した。国別に19年比での回復状況をみると、23年1月は多くの国で7割程度かそれ以上の
水準まで回復している。
○ 輸入は、このところ弱含んでいる。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、9月+2.9、10月+1.5、11月▲1.8、12月▲0.7、1月▲0.2。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。
・物価上昇への懸念が引き続き下押し要因となる一方、インバウンド拡大に加え、新型コロナ5類移行が先行き期待の
押上げに寄与した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、9月▲0.2、10月▲2.8、11月▲1.3、12月+0.5、1月+2.5。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、このところ弱さがみられる。
先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、感染拡大の影響の長期化による下振れリスクに留意
する必要がある。
・22年10-12月期の実質GDP成長率は前期比で0.0%(前年比+2.9%)となった。
・消費はこのところ弱含みとなっている。
・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・輸出はこのところ減少している。
・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。
・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。
○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。
○ インドでは、景気は持ち直している。
○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。
○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融
引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。
・2022年10-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.9%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・1月の失業率は3.4%となった。
○ 生産はこのところ弱い動きとなっている。
○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。
○ コア物価上昇率はこのところやや低下した。
○ 財輸出はこのところ弱い動きとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。
ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。
・22年10-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.4% (イギリスは+0.1%、ドイツは▲1.0%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.0%(1月)、イギリス+6.7%(1月)。
○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。
2023年
1月
25日
水
月例経済報告(R5.1.25) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。 〈先行き〉 ・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、 景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め 等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の 影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある。
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世界経済
○ 2023年の世界経済は、1月公表の世界銀行の見通しでは先進国を中心に減速が見込まれている。今後も世界的な金融引締めに伴う
影響、中国における感染拡大、物価上昇等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。
・中国では感染再拡大の影響により消費の弱さが続く中で輸出も減少し、景気はこのところ弱さがみられる。
こうした影響を受けやすい韓国、台湾では、世界的な半導体需要の鈍化もあり、景気は弱い動きとなっている。
・欧米では、消費者物価上昇率は総じて高いものの、エネルギー価格等の下落を受け、アメリカに続きユーロ圏でも
一服感がある。雇用面では、求人数はこのところ緩やかに低下した。
日本の実質GDP成長率
○ 2022年7-9月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%(年率▲0.8%)となった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。
・ウィズコロナの下、感染状況がサービス消費を下押しする傾向は弱まっており、22年秋以降は概ねコロナ禍前より
高い水準で推移している。
・足下の動向について、カード支出を見ると12月後半にかけて財・サービスともに改善しており、年末年始の交通機関
の利用実績を見ても航空(国内線)や新幹線はコロナ禍前水準に近づいている。
・外食についても、忘年会等の自粛が続くことで居酒屋等では回復に遅れが見られるが、総じてみれば概ねコロナ禍前の
水準を回復した。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、7月+0.2%、8月0.0%、9月+0.5%、10月0.0%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、8月+2.3%、9月▲1.7%、10月▲0.9%、11月▲1.3%、12月+1.7%。
・11月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。
物価
○ 国内企業物価・消費者物価は、ともに上昇している。
・輸入物価は、昨秋以降、国際商品市況が不安定ながらも下落し、円高が加わり下落した。国内企業物価は、輸入物価
から遅れて変動することから、足下では引き続き上昇している。
・消費者物価について、品目別の価格変化の分布を見ると、上昇率ゼロの品目の割合が減少し、プラス幅の大きい品目の
割合が増加した。また、当面は、食料品等の値上げが見込まれる。一方、1月に電気・ガス価格激変緩和対策事業が
開始、支払い月の2月から電気・ガス代の引下げ効果が発現する見込みとなっている。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、底堅い動きとなっている。
・住宅建築費が上昇する中で持家着工は弱含んでいるが、貸家着工は、床面積の大きな賃貸住宅を中心に持ち直しの動き
がみられる。
・金融環境を見ると、固定型の住宅ローン金利は上昇傾向となっている。一方、金利タイプ別割合を見ると、相対的に
低利の変動金利型が多く、住宅ローン返済額の可処分所得に対する割合も低下傾向となっている。ただし、住宅ローン
残高は増加しており、金利変動の影響には留意が必要である。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8月+9.4%、9月▲5.0%、10月+1.5%、11月▲3.7%。
・持家着工数は前月比で、8月+3.1%、9月+1.9%、10月▲6.6%、11月▲1.0%。
・貸家着工数は前月比で、8月+7.9%、9月▲1.1%、10月+3.5%、11月▲4.5%。
・分譲着工数は前月比で、8月+14.6%、9月▲13.7%、10月+4.5%、11月▲2.6%。
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8月+1.4%(出来高+1.1%)、9月+3.2%(出来高▲0.7%)、
10月▲3.2%(出来高▲1.0%)、11月▲12.7%(出来高▲0.5%)、12月+0.9%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、持ち直している。完全失業率は低水準で推移し、有効求人倍率は持ち直している。
・労働需給がタイト化する中で、パート募集時の平均時給が改善しており、一般労働者の現金給与総額を見ても、
21年半ば以降、時給の改善が現金給与総額の増加に寄与している。
・処遇改善や会社の将来性不安を理由とした自発的な転職では、転職を通じて賃金の伸びは高まり、仕事に対する
意欲も改善傾向となっている。
・有効求人倍率は、7月1.29、8月1.32、9月1.34、10月1.35、11月1.35(正社員は1.04)となった。
・完全失業率は、6月2.6%、7月2.6%、8月2.5%、9月2.6%、10月2.6%、11月2.5%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。
○ 設備投資は、持ち直している。
・投資は、足下で、資本財総供給の持ち直しの動きに足踏みがみられるが、ソフトウェア投資は引き続き緩やかに
増加した。企業による設備投資計画によると、設備投資意欲は引き続き強い。
○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。
・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。
・ 中小企業の資金繰り環境は緩和的となっている。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2022年3月+14、6月+9、9月+8、12月+7、2023年3月+6。
「大企業・非製造業」は、2022年3月+9、6月+13、9月+14、12月+19、2023年3月+11。
「中小企業・製造業」は、2022年3月▲4、6月▲4、9月▲4、12月▲2、2023年3月▲5。
「中小企業・非製造業」は、2022年3月▲6、6月、▲1、9月+2、12月+6、2023年3月▲1。
○ 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・輸送機械に持ち直しの動きがみられる一方、生産用機械(半導体製造装置等)の増勢が鈍化するなど、総じてみると
持ち直しの動きに足踏み。
需要先を鉱工業出荷でみると、輸送機械工業は供給制約の影響で回復が遅れており、その他業種の輸出向けの出荷が
生産の増加に寄与している。
・鉱工業生産指数は前月比で、9月▲1.7%、10月▲3.2%、11月0.2%、12月(予測)+2.8%、1月(予測)▲0.6%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8月+6.2%、9月▲1.8%、10月▲5.4%、11月▲6.0%。
・電子部品・デバイスは前月比で、8月▲6.4%、9月+0.4%、10月▲4.1%、11月+0.5%。
・輸送機械は前月比で、8月▲1.0%、9月▲10.3%、10月+4.5%、11月▲0.5%。
外需
○ 輸出は、このところ弱含んでいる。
・我が国の輸出は、アジア向けがこのところ減少し、全体として弱含みとなっている。
一方、貿易収支を見ると、鉱物性燃料の輸入価格が下落し、赤字幅は縮小した。
・水際対策の緩和を受けて、12月の訪日外客数は2019年平均の半分程度まで回復した。10-12月の訪日外国人消費額は
国別に見ると、一人当たり消費額の増加により、一部で2019年水準を概ね回復している。
・2000年半ば以降のサービス輸出の動向を見ると、デジタル関連サービスの伸び悩みなどから、世界に比べ成長に遅れが
みられる。デジタル人材育成やスタートアップの支援等を通じたデジタル関連産業の競争力強化が重要である。
○ 輸入は、このところ弱含んでいる。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、8月+1.7、9月+2.9、10月+1.5、11月▲1.8、12月▲0.2。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月+6.6、9月▲0.2、10月▲2.8、11月▲1.3、12月1.9。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、このところ弱さがみられる。
先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、感染拡大の影響の長期化による下振れリスクに留意する
必要がある。
・22年10-12月期の実質GDP成長率(前期比)は0.0%となった。
・消費はこのところ弱含みとなっている。
・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・輸出はこのところ減少している。
・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。
・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率は低下している。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ低下した。
★ 中国の貿易措置緩和(1月8日~)
・新型コロナの感染症分類を引き下げ、隔離措置・濃厚接触者の判定・高リスク地域の設定等を取りやめ。
感染者数は月に一度の発表に変更。
・医療機関における新型コロナ関連死者数は、12月8日~1月12日は5万9938人、1月13~19日は1万2,658人と発表。
・当局は、本年の春節前後(1月7日~2月15日)の旅客数を延べ20.95億人(2019年比29.7%減)と予測。
○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。
○ インド・タイでは、景気は持ち直している。
○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締め
に伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。
・2022年7-9月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+3.2%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・12月の失業率は3.5%となった。
○ 生産はこのところ弱い動きとなっている。
○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 設備投資は緩やかに持ち直している。
○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。
○ 財輸出はこのところ弱い動きとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。
ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。
イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。
・22年7-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.2% (イギリスは▲1.2%、ドイツは+1.6%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。
○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.9%(12月)、イギリス+7.1%(12月)。
○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスは弱含んでいる。
2023年
1月
01日
日
あけましておめでとうございます。
皆様には、輝かしい新年をお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。
令和5(2023)年の干支は、癸卯(みずのと・う)です。
「癸(みずのと)」は、大地を潤す恵の水を表し、「卯(う)」は、「開かずの扉を力で押し開ける姿」を表している
といわれております。
一昨年に続き、昨年も新型コロナウイルス感染症が私たちの生活に大きな影響を与えた一年でした。
一方で、ワクチンの普及と接種の効果もあり、徐々にではありますが感染状況が好転し、経済回復の兆しが
見え始めた年でもありました。
また、昨年は、ロシア政府のウクライナ侵攻等、政治経済や軍事にわたる各国の競争がより顕在化した年でも
ありました。
新型コロナウイルス感染症や国際情勢の変化と緊迫化、それに伴う原材料物資の価格上昇等、 国内外の
さまざまな課題から国民の皆様の不安を払拭しなければなりません。
政府与党では今、日本経済の再生を最優先の課題として「物価高・円安への対応」、「構造的な賃上げ」、
「成長の為の投資と改革」といった3つの重点分野を積極的に推進し、激動する国際情勢に真正面から立ち
向かい、コロナ禍・アフターコロナの時代の経済・産業が健全に進展していくための施策に果敢に取り組んで
おります。
「癸卯(みずのと・う)」の今年は、様々な困難を打開し、更なる成長を遂げるための大切な一年になるといえる
のではないでしょうか。
旧年中は大変お世話になりました。
昨年3月30日、田中角栄先生や金丸信先生を始め仰ぎ見る先生方が会長を務められた「全国治水砂防協会」
の9代目会長に就任しました。国土強靭化や国土の保全及び土砂災害防止等を担う重責に、身が引き締まる
思いであります。
治山治水は、国の基本的なインフラです。昨今の気候変動に伴う災害の激甚化・頻発化に対応し、国民の
生命・財産を守り社会インフラの重要な機能を維持するためにも、災害に強い国土づくりに精魂込めて努めて
まいります。
また、8月10日の自民党役員人事で選挙対策委員長を拝命いたしました。党四役という大変な要職に、あらた
めて責任の重大さを感じつつ職務にまい進しております。
先の第210回臨時国会で、衆議院小選挙区の定数を、5都県で10増、10県で10減ずる、いわゆる「10増10減」
の公職選挙法改正案が成立いたしました。選挙は、民主主義の根幹であります。選挙対策実務の統括や、
「10増10減」という大幅な衆議院小選挙区の新区割りを受けてのルール作りや候補者調整等、与野党交えて
広く意見を聞きながら、これまでの経験を活かして取り組んでまいります。
まもなく、第211回通常国会が召集されます。国際情勢が日本に与える影響や新型コロナウイルス感染症の
変異株の流行を注視しつつ、少子高齢化や国土強靭化等、国政の諸課題に果敢に立ち向かってまいります。
引き続き、ご指導くださいますようお願い申し上げます。
昨年2月24日、自民党は「食料安全保障に関する検討委員会」を創設し、私が委員長に就任いたしました。
人口減少で産業構造が弱体化してきている中で、新型コロナウイルスの感染拡大やロシア政府によるウクライナ
侵略といった新たなリスクの発生により、食料安全保障上の懸念は高まりつつあり、「お金があれば物や食料が
買える」という時代ではなくなってきつつあります。農地や資材の確保・流通、消費の合理化等、国政の多岐に
わたって、リスクを再整理し、食料や生産資材の輸入依存脱却など、日本の農政の大転換を計っていかなけれ
ばなりません。
その意味でも、私の故郷であり、選挙区の大隅・霧島・熊毛は素晴らしい可能性を秘めた地域です。
昨年10月、地元・鹿児島県で開催された第12回全国和牛能力共進会は、私も8月の鹿児島県の最終予選会
から、全共本大会に連日出席し応援させていただきました。鹿児島県が2大会連続の和牛日本一に輝き、栄え
ある内閣総理大臣賞を、姶良地区の牛が受賞いたしました。選挙区の和牛が日本一の原動力となったことは
私の誇りでもあります。その黒毛和牛をはじめ豚、ブロイラー等は、日本有数の産地であり、各市町村の農業
生産額も伸びてきております。
シラス台地で、園芸作物の栽培が困難であった大隅半島では、農業用水の確保が大きな課題でありましたが、
国営かんがい排水事業を導入し、水のある農業を推進してきたことにより、いまや全国有数の茶産地となり、
ピーマンやサヤエンドウはじめとする新鮮な農作物が全国に向け出荷されております。
甘藷(サツマイモ)については、その名の通り一大生産地であります。このところのサツマイモ基腐病につきま
しては、生産者の皆様や関連産業に携わる皆様にご心配をおかけしておりましたが、何とか解決の目途がつき
そうなところまでこぎつけました。
このほかにも、大隅・霧島・熊毛地域には、ハマチ・ブリ・カンパチ、さらにはウナギや鮎、サーモンの養殖に
代表される水産業をはじめ林業や施設園芸等、多くの産業が育ってきています。日本の食料供給基地として
大隅・霧島・熊毛地域の果たすべき役割には大きなものがあります。
人口減少が進行し、地方の過疎化が進みつつある昨今、「地方創生」により地域社会の維持発展を図っていく
ことは、国政の喫緊の課題でもあります。
新型コロナウイルス感染症は、国民の皆様の生活・経済活動に未曽有の影響を与えましたが、地方の良さが
見直されるきっかけにもなりました。地域が大きく動き出していることをひしひしと感じております。地方の再生
なくして国家の発展はありません。地方の元気は日本の活力の源であり、地域の元気が日本の未来をひらき
ます。
今後とも、「大隅・霧島・熊毛の元気が日本の未来をひらく!」を政治信条に、ふるさと・鹿児島と国家の
進展のために、精魂込めて努力して参ります。
本年も引き続き、皆様のご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます。
令和5年元旦